再構築
「ウオオオオオオオッ、なんだあのカミカミの俺は、恥ずかしい、恥ずかしすぎるぞ、殺してくれ、今すぐ殺してくれぇ!!!」
「まあまあ、それほど悪くなかったよ、それほど」
「しょうがねえだろ、ふだんは牧場の親父なんだから」
「おまえにしては良くやったよ、しかしメモしてあれかよ」
「俺は認めるよ、茶番だな。笑ってくれよ天使どもも笑っていいんだよ、早く笑エエエエエエッ」
「心配するな遠慮なく笑っているだろうよ」
「真面目な話、これで方向性は変わったから、うちらは撤退するぞ。ここからは長老の仕事だ。
せっかくだから何人かさらっていくか」
ルーシーは奴隷の給仕をふたりさらって魔王城に帰った。
「ここはどこですか、私たちを帰してください」
「君たちを奴隷のみぶんから解放するためにさらってきた」
「私達は奴隷ではありません、王女様付きの侍女です」
「だが奴隷だ、そして今の君達は自由だ、どこにでも行っていい」
「あそこから離れて生きていけません、帰してください」
「生活の基盤ってことか、じゃあうちでメイドをするか。簡単だいくつかのルールを守ってくれ。まず、そこの蛇には近づかない、犬はさわっても大丈夫で、後は普通だよ」
「普通じゃありません」
「ヒュドラーぐらいだろ形が変なのは」
しぶしぶメイドとした働きだした二人はてきぱきと仕事をこなして行った。
「優秀だな、王城にメイドがいただろ、あの人は何でそういった仕事が出来ないんだ」
「あの方は私たちよりも身分が上で貴族とかわりません、そして王子様の乳母として私達を使っていたからです」
「あの人はどうだ嫌な人だったか?」
「いえ、優しく接してくれました」
「そうか、あの人の所はどうだ、あの人のところに行くのはどうだ」
「さらわれてから城に帰るのならはやくしてください、へんな噂がたちます」
「いや、東の魔女の城だ、あの人はそっちに移るから一緒に行ったらどうだ」
二人はお互いに顔をみあわせて
「それならば行きたいです」
「ではそうしよう、だがすぐではない、あの人は自由だからいつ行くか分からん、しばらくここにいてくれ。他に連れていきたい仲間はいるか?」
「3人いますが、王女様のお世話がいなくなりますから」
「じゃあ王女も一緒に連れて来るか」
「それは無理です」
「もう1人さらってくると新しく3人侍女になるから2人連れてこよう、これで王女は安心だな。同じように王子の侍女もさらってこよう」
「あの方達にはご不便をかけることになると思いますがそれならば」
「おまえ達は外で働く奴隷に比べて王国に帰属する意識が強いな」
「生まれてからずっとこうしていました、違いが分かりません」
「そうか、ではデリアを手伝ってくれないか」
二人は夕食の支度を手伝って食卓にお皿とナイフとフォークをおいた。しかし自分達の分は置かないでそばに立っていた。
「お前達も一緒に食べるんだ」
「あなたはそれなりに身分が高いようですが私達と食卓を共にして気分が悪くなりませんか?」
「いやまったくない、君たちがどこかで何者かを殺して来て手が血に染まっていたら洗ってこいとは言うだろうが」
二人はお互いに顔を見合わせてから食卓に自分達の皿とナイフとフォークを用意した。そしてデリアや黒帝達も食卓につくと食事をはじめた。
「ちゃんとマナーを知っているじゃないか」
「あの方から教わりました。貴族はこうして食べるんだよ、って」
「ふーん、貴族じゃなくともこう食べるんだよ。
そして王族でもこんなに汚なく食べる」
そう言って黒帝をみた。
「貴族的な食べ方、は出来るよ。でも今はしない。これが美味しい食べ方だから」
「これが自由だよ」
二人はホークを逆手にとって肉を突き刺すと口にはこんだ。
「選択肢があるのが自由だよ、お前達も自由になった」
次の日からボイス達が侍女をさらってきたが王宮では何の騒ぎも起きなかった。そのうちいつさらってくれるのか期待する侍女まであらわれた。王女様や王子様がさらわれないので何事もないように人が消えていった。
「ちょっとやり過ぎたかな」
「女学校のようになりましたね」
「暗黒大陸のバレンティーナ殿のところにも声をかけてみよう、そうだ東以外の魔女たちにも。王国はいったい何人侍女の予備軍をもっているんだ」
「そもそも雇用しているわけではないので数は問題ないのでしょう、いたらいるだけ便利だな、ぐらいでは」
「何か魔族らしい職を身につけさせるか、全員をメイドにするのは無理だ。とりあえずサキュバスはダメだな、楽器とかの才能があればそっちがいい。人族も豊かになればそういうの娯楽も必要になるだろうし」
「人族らしい、の方も探さないと」
「あいつらは何をしているんだっけ、鶏の飼育とか裁縫か、それか商業ギルドか、バレンティーナ殿に頼むか」




