灰
「圧倒的な戦力差を見せた方がいいのではないか、巨人の化物を一撃で倒すところを見ていないだろう」
「悪魔を領内に引き入れて倒させるのか、どこからあの悪魔を連れて来るんだ」
「あの悪魔はまだ子供だ、南方の村にいるシャーマンが召喚できたと噂されている」
「シャーマンごときに出来たのなら魔術士様なら容易いだろう」
「自演することになるな、まあ化物だけでも自演だが」
「東の魔女の後継者が悪魔を放って化物をつぶすんだ、それでいいだろう」
魔術士は貴族の革新派を取り込んだのはいいが、これといった案がでないので困っていた。
「あの悪魔は侮ることなかれ、高位の魔族が後ろ楯じゃと思う。しくじれば国がなくなる」
「ではもっと低位の魔族ではどうだろう、正直分からんだろう見た目では。派手にやってくれれば良いのだから」
サキュバスメイドが王様が子供の頃に魔王様を恐れ敬うように言い聞かせたとの話を聞いたので、悪魔の登場によって弱気にさせようとしていた。この方が他の王公諸公も従いやすいだろうとの思惑もあった。
「やってみましょう、化物も作って、悪魔も連れて来ましょう」
化物を生成する陣を組むと魔界にそれらしい者を探しに行った。
「悪魔らしい悪魔か」
極彩色の森を歩いていると1人の子供がいたので話しかけた。
「やあ坊主、暇そうだな」
「それほど暇ではないが、あんただれ」
「私は、旅の老人じゃよ」
「魔族で長命なのは賢者か腰抜けだ、あんたはどっちだい」
「ワシは賢者じゃよ」
「それにしては知らないな、見たことがない」
「ワシは地上で生活していたから魔界では名前が知られてないのだろう」
「それは物好きなことだ、で、なんのようだ」
「人族の国で化物が暴れて困っている、ひとつ手を貸してもらえまいか」
「退治するのか、だが、あんたでもできるだろう」
「ワシは攻撃魔法があまり得意ではない」
「どんな化物か知らないが、たぶん倒すことが出きるだろう。だが見るからに弱そうな俺になぜ頼むんだ」
「それは、地上では悪魔と呼ばれている強い子供がいて、ワシはそのものが魔族かとにらんでいたので探しに来たんじゃよ」
「それはオレではない。人族の黒帝だよ。ルーシーのところにいる」
「ルーシー?後ろ楯がか、どうなっているんだ高位魔族どころの話ではない」
「有名な話だぞ、それにその上からの命令だ」
「その上とは先代のルシファーか、それでは年齢が合わん」
「ならば1つだろう、と、予想がつくだろ」
「ルーシー様の行っている人族の再構成に繋がっているのか」
「さあどうだろうな俺は頭が悪いから分からん。代役ではなく本人に頼めばどうだ、ルーシーは魔王城にいてのんびりしているらしいぞ」
「そっちならいいか、だが断られたらまた頼みにくるぞ、名前はなんだね。あるのだろう」
「俺はモー、ダ、そうモーダ」
「大戦の英雄からとったのか、ワシは王国の魔術士で名前は無い」
「昔は官職もちは無いんだっけな、魔王城は動物園だぞ、毒に耐性がないと死んじまうから気をつけろ」
「ヒュドラーでも飼って居るのかね」
そう笑いながら魔王城に転移した。
「おお、これは王国の長老様ですかな、お初にお目にかかる、で良いのだろうか」
「それですな、お初にお目にかかる、私は王国の魔術士をしておるものです、少しおねがいがあって参上しました」
「長老様から聞いておりますよ、ご友人だそうな。私にできることなら何でもおっしゃって下さい」
「さっそくですが、今回の戦争で王国の敗戦濃厚ですが、このままですと最後まで戦うことになりそうでして、私としてはそうなるまえに手を打ちたいのですよ。そこで王公貴族の前で黒帝殿が化物を倒す所を見せて戦争への意欲を削げないものかと思いまして。出来ましたらそれによって時代の変化を読み取らせ国の体制もかえることは出来ないかと」
「人族の国に入られている魔族は気苦労が絶えませんな。黒帝はマーラ様が肝いりで教育をして参りました。マーラ様の意思にそうものであればお使いいただくのはかまいませんが。マーラ様にも計画があるかもしれません、ここはしばらく私にあずからせてください。少し探ってみますので」
「これはありがたい、私からでは意を探ることもできません、よろしくお願いいたします」
大喜びで帰ってサキュバスメイドに報告した。
「マーラ様には何か計画がおありのようだ、まかせてしまうのが最善の策である」
「どのような策でしょうね、少し心配です」
「君は心配性だな、最悪王国は消滅するのだが、そんなことをするならはじめから暗黒大陸をあのような手数をかけて絡めとりはせん、このまま時間をかけておやりになるなら私たちももっと時間をかけてやればいい、それは君が望むやり方だろう」
サキュバスメイドの顔は明るくなり
「やはりマーラ様は私たちのことを考えてくださっている」
そう言って帝国の方に向かって手を合わせた。




