奪還
「あなたではありません」
メイドは後継者の剣をはらうとはねのけた。ミアはなんとなく流れが分かったので
「まあまあ、もうあけ渡すと言っているじゃないですか、やめましょう、意地の張り合いで殺しあうのは良くありません」
だがボイスたち魔族は腹が決まったのか口汚く煽った。
「めんどくえんだよ、さっさと出て行けばいいだろ、なにが殺してくれだよ、膝ついてクビ差し出せってんだ」
「おい殺されるぞ」
「どっちがだよ、こっちが殺すんだ」
まったく勝算が無いわけではなく、かたわらにいた黒帝の背中をポンポン叩いていた。
「え?」
「電撃いけ」
「電撃?」
「妖精、お前じゃねえよ」
「あれは強すぎですよ、誘いに乗っちゃダメだよ黒帝くん、本当に殺されるよ」
「でも、さっきから電撃してるよ、でも効いてないみたい」
「じゃあもっと強いのがあるだろ、それで殺していいんだ」
「外に出ないとここのみんな死んじゃうよ」
「じゃあそこのサキュバスメイド外に出ろよ、・・私達がまず外に出るか」
「逃げるなよボイス」
「逃げてないだろ、先に出て待っている、と言っているんだ」
「まったく駆け引きを楽しめないのですかね。あなた達に緊張感が無いのはわかりました、私の相手はそこのリーダー格のメイドさんですよ、まったく」
「すいません、メイドは私以外に5人いますが」
「間違いなくミア様のことですよ、私達はキャップもエプロンもしていませんから、メイドと認識されていません」
「おいおいおーい、メイドが本職のミアさん選んでどうするんだ、おまえは死ぬ気ないだろ」
「ああうるさい、いいからミアさん抜いてください、そのレイピアを」
「ああこれですか、もしこれが欲しければ差し上げますよ、ただし立ち去ってくれたら、ですが」
「いりません、さあはやく」
「私が抜いたからと言って切りあう気はありませんからね」
そういうと剣を抜いてさし上げた。
「ああ、やはり、あなたを主人に選んだのですね。それは良かった」
「抜いたのは私以外にソフィア様もいますよ、魔剣ですがほぼ誰でも抜けるのでは」
「そんなことはありません、私にはもう抜けないでしょう」
「おやおや、昔の持ち主ってあなたですか。それならこれをわたすから謝りに行けばいいじゃないですか、誰とは言わないけど分かっているんでしょ、謝る相手は」
「あなたに渡したのですよね、その剣をあの方が、それならあなたに私を殺せと言っているのですよ」
「そうはならないと思いますよ、なぜなら私は誰も殺さないから安心してこのレイピアをわたしたんですよ」
「そんなこと、私はどうしたらいいんですか」
「小さいことは気にしない方でしょうからじかに行って誤ればいいのでは、ただあそこは基本として魔族は立ち入れないのでそのうち外に出てきたら謝罪すればいいのですよ」
「そうですね、そうします」
「すげえ、懐柔しやがった」
「ボイスも見習わないとな」
「ほんとだ、どこで逆転したんだ」
「ハハハッ、もともと争う種なんて無いにひとしかったんですよ、まあウズ様ならもう何があったか忘れているだろうし」
「ミア様、サキュバスメイドには私達魔族から後で謝る相手を教えておきます」
城を奪還したミア達はまだ納得いかない東の魔女の後継者とサキュバスメイドと結界内の掃除をしていた。
「おっさんばかりで使っていたから汚い、汚い。サキュバスメイドさんは掃除してなかったな」
「正直言って何もしていません、この王国はメイドと奴隷の区別がないので意識は低いのですよ。食堂はゴミ箱より汚いですよ」
「それなら本格的にメイドになってください、そしてメイド会議の会員になれば特典もあります」
「得点とは何ですか」
「各国のメイドしか知ることが出来ない裏の情報が聞けるのです」
「例えば」
「色恋沙汰からクーデターの計画までありとあらゆるゴシップです」
「それは興味がありますね」
「では、ここのメイドで決定ですね」
「はあ、いつのまにこうなったのか全く分かりませんが、むしろこちらからもお願いします、正直、国民のいる国の運営とか統治が初めてなので身の回りまで手が回らなくなりそうなのです」
「それはすぐ慣れますよ、商業ギルドのブリジッドさんも来るでしょうし、肉を売りにベーゼルさんも来るから宰相に色々とやらせればいいんですよ」
「うちに宰相はいませんよ」
「ネネ様のところにお一人いましたよ」
「あれはルーシー様が宰相をおけおけうるさいので置いたと聞いています。
もともとやる気のある人だったのですが、あまりにもやることが無くてだいぶ変人になったみたいですね」
「では私が王国から引き抜いてまいりましょうか。最強の宰相になると思います」
「それは心強い」
「それでは、さっそく行ってまいります」
「頑張って。これですべてうまく行きそうです、私ははれて国に帰れますよ」
サキュバスメイドはレイピアを帯びて王国に転移した。




