奪還
結界が展開されると東の魔女の後継者がその中の主となった。
「じゃあ小者は黒帝くんにまかせて、剣士とメイドが来るのを待ちましょう」
「とは言えなんの騒ぎもなく瞬殺ですから兵隊が来ませんね。
兵士を王座の間まで誘導しましょうか」
騎士団の剣士たちが、侵入者だ、とふれて回るとやっと兵士たちが集まって来た。
「では、黒帝くんお願いします」
兵士たちは気絶して拘束されると、すみに集められた。初戦の騎士団所属の剣士は
「これが戦闘なんですかね、土嚢を延々と運んでいるようです」
「近代戦です」
誰かが言った。
「しかし一人デカイ女が混じっているな」
「それも手枷をつけてこっちに」
「なかなか例の貴族とか言う剣士が来ませんね、そしてメイドも」
「もしかしてそのデカいのがメイドかな、だがメガネをかけていないし」
そろそろ初めに拘束した兵士が起きだしたのでミアは説明をした。
「あなた達は捕虜です他の国なら奴隷にするか焼き殺すところですが選択肢があります、東西南北の魔女の領地で国民として土地をもらって農業をして暮らしていくか、ここで王国の兵士として名誉の戦死をとげるかのいずれかを選んでください」
「おれには嫁と子供がいるから行けない」
「ひそかに取り戻してあげます」
「なら行くぞ」
「はい、ではココにサインをしてください。サインの終わった人は私の後に続いて霧の中に」
「ミア様、先導役は騎士団の私です、ヴァレンティーナ様から命令がありました」
「そうですか、ではお願いします。でも危なくないですか190名から行きますが」
「東西南の魔女様とヴァレンティーナ様がいますからその10倍でも大丈夫です」
「なら安心、残りの人もはやく決めてください」
「うちらは200人ちょいいます」
「土地には限りがありますから、残った人はここで名誉の戦死してもらいます」
みな我先に署名して霧の中に消えて行った。そこにメイド服姿の女性が現れた。
「あ、騎士様もすでにやられましたか」
「その大女が騎士か、残念、だが後継者殿はこれで完全に居城の奪還がはたせましたな」
「私の相手じゃないですか、なんてことをしてくれたのですか、はやく拘束をといて意識を戻してください」
「いや、もういいんじゃないかな。
メガネをかけたメイドがいる騎士は女だろうなと察しがついていたはずですよ」
敵のメイドは涼しい顔をしながらそういうとメガネをはずした。
「人族の女だけだからききませんよ」
「そうかしら」
ワイバーンがメイドにすり寄って行った、しかし、インバがワイバーンの胸倉をつかむと平手打ちをくらわした。
「ああ、首から上が飛んで行くかと思った」
「正気を保て馬鹿者ども、おまえらこうやってつかまっていたのか」
「突然だったからあれだが、女性よりになると大丈夫だ、だがあのメイドには悪い印象は無くなっているのだが」
メイドはすこしガッカリした感じでメガネをかけた。
「ワイバーンを暴れさせると少し面白くなったのに。まあ、私はメガネをかける必要は無いのですが。漏れ出た魔力で女性を魅了するとこまりますから、私にその趣味が無いので」
「女も魅了って、お前は魔族のサキュバスか」
「はい、そうです、良くお分かりですね、さすが魔族」
「ルーシー様配下のボイスだ、おまえはメイド会議で見ないな、野良サキュバス」
「まあルーシーちゃんの配下ですか、サキュバスは魔王様を崇拝する修道院にこもっているそうですね、もともとは人族の中で暮らして権力者をたらしこんでいたのがサキュバスですよ、あちらがおかしいのです」
「魔王様の意に従うのが我々の生きる道だぞ」
セーレがそわそわしだして
「やべえ、お湯を沸かしたまま来てしまった、帰ります」
「なに言っているんだ、お前は家など無いだろう」
「あれはルシファー様と同年代のサキュバスなら勇者と戦ったワルキューレだよ、私らじゃかなわない」
「なら婆だろ、見た目は若いが」
「しかもマーラ様の意に逆らったモーの一派なら黒帝くんにも容赦ないからもうダメ」
「じゃあ、話し合いだな」
しょうがないのでミアが
「引いてもらえませんか、あなたが強いのはそこの二人の良く聞こえるヒソヒソ話で分かったので」
「まあ引いてもいいのですが、そのデカい女を連れて行って下さい、その女が負けたということと私も負けて死んだことにするとだいぶ交渉しやすくなりますから」
「誰が」
「私の上にいる王様に近い魔法使いです」
「じゃああなたも一緒に来てください」
「いえ私は本当に死なないといけません、そちら側には行けません」
「勇者と戦争していた時代のことはみんな覚えていませんよ、楽しくやっていますから」
「そうはいかないのですよ、私の相手は決まっているようですし」
メイドは落ちていた剣を拾うと構えた。東の魔女の後継者が一歩前にでて
「この城は私の力で取り戻します」
そういってメイドに切りかかった。




