戦争
西の魔女の領地ではネネとルーシーが化物が来るのを待っていた。まわりには数十人の魔族のギャラリーが噂を聞きつけて集まっており、ベーゼル達がジャーキーや酒を売っていた。
「うちは帝国からの入植者をあてにしているから助かりますよ。帝国の肥えた土壌と比較すると見劣りしますから」
「あれなら当分肥料に困らんだろ」
「でも一か所にドーンではなく、ばらまいてほしいです」
「それならデリアに頼もうか」
デリアは黒帝が雷撃をくらわす前に腕を一本一本切って落とした、するとまた生えてきたのでまた一本一本切って落とした。
「2本特した感じだな」
「これってまともに戦うと不死な印象があって手ごわかったのでは」
「そうだろうな、だが仕掛けた相手が悪かったよ」
幼女がルーシーに抱きついてきたので抱き上げた。
「死なずにすんで良かったな、ところで私には仕掛けていないよな」
「仕掛けるのを忘れていたよ」
「お前は冗談が下手だな。そろそろ来るぞ」
黒帝が魔導団に抱きかかえられて飛んできた。
「皇帝はどうした」
魔導団が数人がかりで持っている籠にのせられて先を飛んでいた。デリアが飛んで戻ってきた。
「あの状態では眠れないんでしょう、皇帝はだいぶまいっていますね、今なら勝てますよ」
「もともと皇帝の寝首をかくのはたやすかったぞ、人族は寝ないと死ぬからな。聖剣を抜いてから難しくなったし、今はどこで何をしていても私達には不可能だ。だがこの子に仕込んだら可能かも」
「うちも今では皇帝は守護者だから無理ですよ。神なら殺せるでしょうね」
「神ねえ、あいつらはまだまだあいつを使うだろう」
黒帝が雷撃をくわえると化物が膝をついて倒れた。轟音と共に爆風に近い突風が吹くと魔族のギャラリーは歓声をあげて喜んでいた。
「これはいい、金がとれますよ。毎月やってくれるといい収入源になる」
「王国の魔法使いに化物の作成を頼むしかない。これは大魔法だ、マーラ様ならできるだろうが我々ではやり方すら分からん」
王国では王様が大魔法士と貴族を集めて侵攻の報告を受けていた。
「化物は暗黒大陸に上陸して破壊を行っています。すでに3体は失いましたがいまだ2体は進撃を行い皇帝を追い詰めているもようです」
「うむ、魔法士どのは良くやっている、帝国は規格外の皇帝さえやればあとは大人しくなる。では騎士団の報告を聞こうか」
「・・上陸した騎士団は降伏したか死亡、生き残った者の話ではドラゴンがいるとのこと、噓か本当か分かりませんが皇帝よりもメイドの地位が高く皇帝をあごで使っているとか」
「皇帝よりメイドの地位が高いなどあり得ぬ、王よりも奴隷が偉いなどそのものは頭がおかしい。それよりもドラゴンか、それを捕らえることは出来ぬものか」
「以前、王国にいたドラゴンの10倍はあろうかという大きさで火を吐いているとのこと、我が方の今の装備でとらえることは困難だと思われます」
「皇帝もメイドもドラゴンの配下なのであろう。至急ドラゴンの捕獲、あるいは討伐方法を考えるのだ。それで東の魔女はどうした」
「剣士の話では東の魔女は戦闘には参加せず、後継者がすべての兵を相手にしたとのこと、ずば抜けて強いが王国の正騎士には及ばないとのことです」
「それは良い情報だ、捨て駒もいい働きをしたな。今度は東の魔女のターンだ、あいつらはプライドが高いから城を取り返すのに帝国の力を借りないだろう、後継者を殺して老いさらばえた東の魔女を捕らえて領土を我々に渡すと言わせたら帝国には戦争を継続する理由がなくなる。最後に笑うのは我々だ」
王が自室に帰った後、重臣たちがさらに話あった。
「時間をかけるか、皇帝は調子にのって捕虜を沢山とった、飯やらなんやらで向こうの兵糧が心細くなるころに軽くつっついてこちらに攻めてこさせるといったシナリオだろう」
「10か月ぐらいか、こちらは奴隷をとってくれたおかげで兵糧に余裕がある、長期になると不利だが、中期ならこちらに利がある」
魔法士長が話に割って入った。室内だが深くフードをかぶった老人でうつむいていた。
「戦争は適当なところで終結させるがよかろう、あちらには魔族の長がついておりそれはそれは強いつながりがある。戦争を長引かせてその配下が参戦してくるとなると私では抑えることが出来ぬかもしれぬ」
「今回の規格外の化物の作成などなどあなた様に不可能があるとは思えませんが、心にとめておきます」
「南の蛮族どもにも何がしかの守護者がついたと思われる。皇帝をあなどってはいけない、さしでがましいことを言えば、東の魔女に城をわたして帝国と和平協定を結ぶのが最良の方法である」
「それはできません、ドラゴンを返してもらうことを棚上げにできませんし、とられた奴隷も棚上げにできません、なにがしかの代償が必要です。東の魔女だけではなくヴァレンティーナとその従者のクビぐらいないと王様に和平交渉の選択肢はないでしょう」
「何がしかやってはみるが、今回は国難だ、皆もしくじると国がなくなると思っていどまれよ」




