戦争
朝になった。
東の魔女の後継者とミアは城壁の上に立って水平線のかなたを見ながら話し合っていた。
「まだ一日はあるだろうが、ここからでもはっきりと見えます」
「ええ、思ったよりも強敵なのかも、皇帝様をおこしますか」
「もうちょと寝かしてあげましょう」
水平線の向こう側に頭のてっぺんが見えていた。巨大な化物だった。
「魔導団の知らせでは船を従えているらしいのですが、化物の上方からではアリ粒ほどの大きさだとか」
「攻城兵器でしょうか、城の城壁ならひとまたぎです」
「あれを焼き尽くすには今から火炎魔法をあびせまくらんとここまで到達するぞ」
ベーゼルが隣にいた。
「ああ、オークジャーキーを納品しに来たんだ、東の魔女にチェックしてもらったよ。それでついでに見に来たんだが、面白いことになっているな」
「やってきてくださいよ。お代は払いませんが」
「まだ皇帝から剣をかえしてもらってないからな。俺のコンサルタント料はまけといてやる」
そういってベーセルは帰って行った。心配になったミアは皇帝をおこしに行った。道端で寝ている皇帝をゆすっておこしたが。眠そうな皇帝は目を少しだけ開けて
「それならまだ時間がある、いま叩くと船も逃げて帰るからこちらまで来てもらうよ、それから黒帝にお願いする。あとは逃げ場がなくなった兵隊を誘導して、予定通り」
皇帝はまた横になって眠りについた。しかし時間がたつにつれて頭が増えていった、最終的に5匹いることが確認された。
「黒帝くんの勤務時間をリスケしましょう、このままでは到達時に眠くなって魔王城に帰っているかもしれません」
ボイスが魔王城まで調整に行った。
「巨人族のような化物が5体とは、あそこの王様を軽く見過ぎていた、これは黒帝の卒業試験にはいい見世物になる。どんな相手か見にいってみるか」
ルーシーはボイスを道案内にデリアを連れて化物の頭の上に転移した。
「操縦している魔法使いはいないのか、中に入る穴もない。これが生命体とはな」
そういうと頭の上を少し切ってみた。化物は頭の上を手で払おうとしたので飛び上がった。
「ハハハッ、いいね、生きがいい」
「一体試しにやってみますか」
「いやぁ、過保護だろ。黒帝がやる前に、何人死ぬかの問題だ。皇帝がそれでいいならいいじゃないか」
ルーシーとデリアは目を合わせてニヤリと笑って魔王城に帰った。
「ヒュドラーの毒でも打ち込めばどうです」
「あれを打ち込むと解毒されずに死ぬ、そうすると毒の残った死体は何にも利用できませんよ」
リーシャとサーシャが黒帝と食事をしていた。
「もう耳に届いていますか、今見てきましたがかなり巨大ですね」
「皇帝ならやれるでしょうから、あの子は余裕なんですよ、まあ任せたらいいのでは」
日が暮れてまた朝日が昇った、化物は浅瀬に来て膝から上が海から出ていた。魔導団や冒険者の魔術師が火球をぶつけてもびくともせずどんどん近づいて来た。ミアはたまらず皇帝をおこしに行こうとすると、皇帝はすぐわきに立っていた。
「大きいから近くに見えるけどもう少し時間がかかるよ。でも黒帝は呼んでおかないとね、お菓子でも用意して食べさせておけばいい」
「倒れたら津波が来ますよ、皆に避難を」
「海では倒さないでおこう、せっかく王様からの贈り物だから、ちゃんと陸にあげなれば。東の魔女殿はどの辺に新しい農場を開かれるおつもりですか」
「この城から放射状に、ですから、北の方が手つかずなのでそちらに」
「では一体はそこで、残りは歩かせますか」
化物は城壁をまたいで陸地にあがった。皇帝は黒帝を抱えて飛ぶと化物を誘導して内陸にゆっくりと飛行して黒帝につぶやいた
「後方の一体に最大の雷撃を」
黒帝が雷撃をくわえると膝をついて倒れた。
「いいよ、いいよ、私のエネルギー弾では身が無くなってしまう。あの死骸はここの土地を肥沃にしてくれる」
「他のは?」
「北の魔女の土地から西、南とまわってから中央まで一匹づつ倒していく」
「ここで生活するの」
「黒帝は狙われてないから、数日のんびりしていいよ」
そういうとレイが迎えに来て黒帝を連れて帰った。
東の魔女の城では王様の兵隊が攻城をはじめていた、化物が城壁をこえて向こう側で暴れていると思っているので士気が高かった。一か所低くなっている城壁から簡単に城内に入ることが出来たが。そこには数百人の兵隊と龍がいた。中央にメイドが数人立っておりミアが冷静に
「はい、武器をこちらに置いて、みなさん話を聞いてくださーーい」
王様の兵隊は武器を置いて膝をついた。
「化物は一体倒しました、これから肥料にします。他はよそまで連れて行って同じように肥料にします。そこで農耕に従事する人を募集します。農耕を行う人には帝国または東西南北のいずれかの魔女の国民としての地位と土地を与えて収穫までの食を保障します。希望する人は右側の部屋へ、それ以外の人は左側の部屋へどうぞ」
「左に行くとどうなるんだよ」
「知りません」
ほとんどの兵士は右側の部屋に入って行った。
「これで500人ぐらいですか、あと」
「5000人はいます」
「じゃあ交代で行きましょう、次はリリ」




