戦争
「指揮官は誰ですか」
「ミアかな」
「そんな分けないでしょう、東の魔女様でしょうに」
「ああ、そうだな、現場はヴァレンティーナのかわりだからレイと東の魔女の後継者。受付にメイドだな、変なのが来ると困るからデリアさんにも頼んでおくか」
「黒帝くんはどうするんですか」
「インバと奴隷の子供を迎えに行ってもうよ」
インバと黒帝は奴隷の子供達を迎えに霧を通って牢屋に侵入し、事前に子供たちに話しておいたとおり子供たちは脱出して行った。
「国王は怒り心頭だろうな、このまま国王を殺してもいいが、誰かが後をつぐだろうし、そのあとつきが善人とはかぎらない。仮に善人だとしても奴隷の存在は当たり前だから継続するだろう」
インバと黒帝が最後に消えようとしたとき、看守が見回りに現れた。
「おいお前、なにをしている、こっちに来い。奴隷はどこに行った」
インバはとめたが、黒帝は看守に近づいて行った。
「お前は奴隷じゃないだろ、血色のいい顔しやがって」
看守は鉄格子越しに黒帝のクビをつかむと黒帝の顔を鉄格子に打ち付けた。インバは、黒帝そいつをヤレ、と言った。黒帝は何度も鉄格子に顔を打ち付けられているうちに雷の魔法を放った。弱い魔法を放ったつもりだったが看守は黒焦げになった、それを見た黒帝は
「ごめんなさい、誰かに治してもらって」
そういってインバと霧の中に消えた。
「おまえは優しすぎる、もっと人族やひたしい者や動物でもいい、それを殺さないと非情になれない」
「ルーシーやソフィア様に、これでいい、と言われた。さっきのはやりすぎた、もっと手加減できた」
「おまえなあ、基本、何もしないか、あるいは完全に殺さないと憎しみがのこる。皇帝や魔族の長のようにお互いに殺しつくした後で和解などありえん、あれは特殊なんだ、看守は治癒した後にお前を殺すことを生きがいにするだろう、そんなもんだ」
「それは困る、でも殺すとソフィア様に悲しい顔をされるのでは」
「気にするな、お前をそういうふうに仕込んだあいつらに責任がるんだ。偽善だよ」
暗黒大陸では子供たちがご飯を食べていた。たくさん食べた後は寝転んたり遊んだりしてくつろいでいた。東の魔女は子供たちに囲まれながら
「こういうのは苦手です、あなた達が相手なさい」
「もうしばらく子供たちの相手をしてください、村に帰りたい子供を転移させるので手が離せません」
ミアとメイドは子供たちの希望をとってインバやボイスに座標を指示するのに忙しくしていた。東の魔女はしょうがないので子供の相手をすることにした。そこに偵察をしていたセーレが帰って来た。
「王国はお前らがやったことに気付いているぞ、王様はカンカンだ、おもしろい化物も用意してこっちを楽しませてくれそうだ」
「王国の軍隊は船でくるんですよね、それなら予定どおりです。
ああ、あなたも転移できるんでしたっけ、じゃあこの子供達をこの座標まで連れて行ってください。その袋の中の財宝はどこかに置いてからでいいですから」
セーレは、はい、と言って袋を置くと子供達を村に送り届けた。
「後継者の方は兵隊と海岸線の警戒を続けてください、必要ならそこで寝ている皇帝様をおこして戦力として使ってくださってけっこうですから。
黒帝くんはしばらく休んでからでいいので子供たちの転移を手伝ってください、夜まで置いておくと夕食もださないといけないので帰りたい子はそれまでに帰してください」
夕食までに子供達の大半を送り届けると、皇帝はおきだして警備の任務についた。東の魔女の後継者は鎧をまとって寝ずの番をしていたので皇帝は話かけた。
「飛行系の魔法使いが夜襲を仕掛けて来るかと思ったがその気配はないね。力で押してくるのかな」
「龍が王室を焼いてから戦争の用意をしていたようなので数日で来るかもしれませんね」
「そうか、じゃあ明日からは畑用のくわとかスコップ作らないと、たくさん労働者がくるからね。今からなら穀物を植えることができるよ」
「いいのですか、敵の墓穴を掘らなくて」
「ほとんどの兵隊にそこまで忠誠心は無いだろう。奴隷の兵隊以外にも土地を与えたらどこでもいいというのは多いと思うよ。
戦争が終わったらここに港を作って対岸の城も取り戻そう。そして貿易をおこなうといいよ、そうすれば穀物を売ってお金がはいる」
「あとはギルドがやってくれるでしょう、私達は必要なくなります」
「海の安全を保障する仕事をすることになる、そして内陸の治安を保障する仕事も。今よりも忙しくなるよ」
王国では不足した子供の奴隷を補充するため近くの村に兵隊を送った。しかしエルフが街道に配置したドロドロくんとトゲトゲが行く手をさえぎり、先に進んだ兵隊はモエモエちゃんとピカリンに黒焦げにされた。王国では人族を黒焦げにする悪魔が出没すると噂になり、それは黒帝であると断定して悪魔として恐れるようになった。




