平和
ネネの城に近い山の中に転移したルーシーとデリアは洞窟を見つけて中に入った。
「汚い洞窟だな、龍は綺麗好き、ってのはなんなんだ」
「招かざる客だな、ネネに聞いたのかそれともヤトノか」
「ネネだ。いつまでもすねてないで出て来いよ、皇帝やヴァレンティーナは怒ってない」
「そういうわけじゃない、自分の気の短さに嫌気がさしたんだよ」
「気の長い龍なんて聞いたことが無い、一生この穴でゴロゴロしているのか」
「なんだよ、ようがあるならさっさと言え」
「お前が暴れた国と戦争になるんだ、それでむこうと霧のトンネルを作ってほしい」
「せいぜい10人程度だぞ、軍隊を送り込みたいんだろうが残念だったな、よそをあたってくれ」
「そういうのはいいんだ、何千人何万人でも通れるのは知っている」
「人で押して攻め落とすのか。皇帝が飛んで行って王城をつぶせばすむだろ」
「むこうの奴隷の子供を連れて来るんだよ、数千人ほど」
「また子供か、お前たちが食うのか」
「そういうのは今はやらん、暗黒大陸で飼育して大きくする」
「それから食うのか」
「食わん、繁殖させて農耕なりさせて税金とるんだろ」
「ましな選択ってやつか、いつやるんだ」
「そのうちだ、じゃあ迎えに来るよ」
「・・」
暗黒大陸の王城でも戦争の用意をはじめていた。ヴァレンティーナと旦那がとりとめのない会話をしていた。
「昔の鎧が入らないんだ、鍛冶屋に広げてもらわないと」
「妊娠中に結構たべていたからな、しかし今回は出なくていいみたいじゃないか」
「そうもいかん、メイドのミア殿まで動員されている。これは総力戦だ」
「戦略的に呼ばれているだけだよ、それほど大きい戦争にならないから」
「いやそうはいかん、子供らはまかせた、私は行く」
「メイドと私でなんとかなるが。捕虜とかこっちに送られてくるから、すぐこっちが戦場みたいになるぞ」
「じゃあ私はどうしたらいいんだ」
「ここにいたらいいだろ」
東の魔女の居城では皇帝とミアが魔女と後継者と打ち合わせをしていた。
「数日後に奴隷の子供を全員連れて来る、そうするとあそこの王様は切れて船で攻めて来る、そこで船を沈めてしまわないで上陸させる」
「そこで殲滅する、というわけですね」
「最終的にそう見えるだろうが、奴隷として参戦している連中は忠誠心など無いから、こちらに寝返らせる。そして土地を与えて農耕とかをさせる」
「国民として迎え入れるのですか」
「そう、結界が消えてから雨もふるようになったからね、まだ土地は痩せているけど農耕もできる。これでどうだろう、君たちの土地だ」
「いいでしょう、うちの兵隊もこちら側に移ってから農耕させています。土地はあまっていますからいくらでも受け入れできます。それでむこうの王に忠誠を誓っている連中はどうします」
「それは捕らえて交渉材料にする」
「どうでしょうね、捕らえられた兵には死ねというのでは」
「それならこっちで農耕しながら兵隊するなり生きる道を与えるさ」
「では特大の牢屋と城壁を低くした部分を作ってください」
「ああ、了解した。登って来た連中の相手はミアと後継者殿にあたってもらおう」
「メイドの仕事を大きく超えていますよ、これでマーシャとしての最後の勤めにさせてもらいます」
「レイたちもつけるから、そこはまた話し合おうリリはまだ小さいから」
帝都ではルーシーが黒帝を連れてソフィアに戦争前の挨拶に来ていた。
「まあ立派になりましたね、さあこっちに」
黒帝を膝の上に乗せたのだが。
「あれ、妖精さん?」
妖精はソフィアと目が合うと素直に後頭部から離れた。
「そのままでも良かったのに」
そういいながらソフィアは黒帝の頭をなでた。
「まあ、黒帝という名前をもらったの、いい名前ね。そしていろんな経験をしたのね。あなたの妹は暗黒大陸でヴァレンティーナのメイドをいています。あなたも暗黒大陸に行ってヴァレンティーナを助けてあげてください」
ルーシーは最終的な試練が終わっていないと言ったが、ソフィアは
「これから暗黒大陸で色んな試練に立ち向かうでしょう、ルーシーさんには感謝します、黒帝にはこれからヴァレンティーナの従者として勤めてもらいます」
ルーシーは平伏した。立ち上がったルーシーに黒帝は抱き着いて涙を流した。ルーシーは無言のまま頭をなでて暗闇に消えて行った。
魔王城に帰ったルーシーにデリアは
「北方の山に人族や魔物を1000体は食っているスライムがいるそうです、こいつなら黒帝の相手にちょうどいいのでは」
「あれはもういいんだ、黒帝はマーラ様にかえしてきたよ。マーラ様は満足していた」
「そうですか、ではレイエに黒帝の食事はいらないと伝えないと」
デリアが奥に消えて、かわりにケリーにヒュドラーがすりよってきた。
「ケリーにヒュドラーも遊び相手がいなくて寂しいか・・妖精を置いてきたが、まあいいか、そのうち帰っていくだろう」




