平和
「なんかあれだな、お前たちはうちのミノタウロスと戦えると勘違いしてないか。確かに戦えばいい勝負になるよ、だがもういいだろう、その小僧は十分に強いよ」
「そういわずにやらしてやってくれよ、お前の駒がヤバいと思ったら止めてくれたらいいよ、うちのは殺されたら生き返らせるから」
「それは討伐とは言わんだろ、巨人族とかに相手してもらえよ。あるいはゴーレムなんかいるだろ山岳地帯に」
「あれは雷属性と相性が極めて悪い。まあ、他の属性で戦えばいいのだろうが、それではシナリオが崩れるんだ」
「シナリオとか、余裕があるんだな、なら時間かけてガンバレ。お空の上から応援しているよ」
「おまえ、魔界の空から降りてこないのか?」
「ああ、こんな平和な世の中じゃあ退屈だ、空の上とそう変わらんだろ」
「お前は相変わらず暴れないと気が済まないんだな」
「そういうことだ」
「マーラ様の根源は転生しているぞ、それでもか」
「集合がかかったら行くさ、だが今は駒がそろっているだろ」
「そうか、まあたまに遊びに来てやるよ。先代のルシファーからお前の好きなお菓子も聞いているから」
「ああ、それは楽しみだな」
ルーシー達は軽く挨拶すると魔王城に帰った。
「こまった、ゴーレムも倒せないことはないが」
「雷を放ってゴーレムを磁石にして動けなくすればいいのですが」
「砂鉄を引きずって動けなくなるゴーレムか、そんな面白い討伐ではなんか違う。なあそう思うだろ黒帝」
「・・・」
「どこに行った」
「トイレですかね、あるいは食堂」
メイドのレイエに聞いたが
「わかりません、今日は朝食の後は見ていません。ご一緒だったのでは」
「いないのです、外でしょうか。いぜんハエの妖精と遊んでいたましたが」
「頭に花の妖精がついてからハエの妖精とは遊んでいませんよ。村の子供たちに会いに行ったのでは」
「ここからでは飛べないでしょう」
城の中にはいなかった。
「ヒュドラーが食ったのか」
「その気配はありませんでした、ケリーでもありません。妹に会いに行ったわけでもありません」
夕方まで探したがいないので村に聞きに行った。
「ああ、来たよ、来たけど王国の兵士に連れていかれた、週末には帰って来るだろう」
「抵抗してなかったのか、あれなら兵隊ぐらい倒すことはたやすい」
「村の子供たちは転移で帰って来られるから抵抗せずにつれていかれることにしているんだ、それにならったんだよ」
「それを気長に待っているのか」
「そうだ、殺し合いになるとむこうは数が多いからこっちは負けてしまう」
ルーシー達は待っていられないので探しに行った。奴隷として集めた子供を乗せた馬車の中に黒帝はいた。
「兵隊のクビを落として連れて帰りましょう」
「いや、それだとあの村が復讐される。それを我々で押し返してもことが大きくなる。村のやり方に従う方がいいだろう、なにより黒帝は楽しそうだ」
馬車が王国の城に入って奴隷達を集めている建物に入るのを待ってルーシーは黒帝を連れ出しに行った。
「おい黒帝、迎えにきたぞ」
「もうちょっとみんなといたい、朝食食べてから帰る」
「ここの飯を食べたいのか、おまえは変わっているな、では明日帰ってこい」
「うん、出来たらこの子たちを連れて帰ってほしい」
見るからに病気で倒れている子供たちを指さしてそう言った。
「村の子か」
「僕たちの村の子じゃない、村には連れてこないで、人が増えると飯がたりなくなるからこまる」
「お前たちの村じゃなければ城だな」
ルーシーとデリアは子供たちを城に連れ帰って治療した。そして次の日、黒帝はさらに10人の子供をつれて帰ってきた。ルーシーは、こうなるか、とため息をつきながら
「その子らは転移が出来ないのか、おまえが村に帰してやれよ」
「ここに置いてやってほしい、村に帰るとまた連れていかれる」
「あそこにいた2000人ぐらいの子供を全員連れて来る気か」
「そうしたい、それにあそこだけじゃない他にもいくつか部屋がある」
「戦争になるぞ、だがお前の意思ならもっといい方法を考えよう」
それから黒帝は毎日10人の子供を連れてきた。
「もう100人以上の子供が来たな」
「楽しそうに遊んでいるのもいれば、家に帰りたいと泣いているのもいるし、ここはそういう場所ではないのですが」
「ソフィア様に頼んでおいた、帝国で引きとってもらえるよ。暗黒大陸に街を作るそうだ、そこに住まわせて教育も受けさせる」
「皇帝は戦争をするのですね」
「ああ、しょうがない、むこうも奴隷が盗まれたら引けないだろうから間違いなく攻めて来る。
おい黒帝、しばらく子供を連れて来るな、私達の転移だと数が限られるが、気付かれる前にやめるんだ。戦争の準備の時間を稼ぐ、それから一気に連れて来る」
「龍族ですか」
「霧なら何千人でも兵隊を移動できる。あの引きこもりをお迎えに行くか」




