ダンジョン探索
「ちちー帰ったよ。獲物―」
「ははー帰ったよ。エルフの漁師からクラーケンのゲソもらったよ」
ちっさなシーサーペントが2匹現れた。
と言ってもクジラぐらいある。
各々獲物を持っており誇らしげである。
「お子さんですか、父と母がいるからあなたのような巨体の親がもう一体いるのですか」
私が言うと
「我々には雌雄がないから好きに呼んでいるだけで私しかいないよ」
「ちちー、エルフの漁師が、クラーケンが繁殖して他の魚が捕れないからそろそろ出てきてくれないか、って言ってたー」
「ああ分かった、で、こちらは上から来た人族の人達だよ」
「ははー、また落ちてきたの?」
「歩いて来たんだよ、階段をね」
「ちちー、じゃあ英雄だね、初めて見たー」
「違うよ、今は違う呼び方をするんだ。さあ魚とクラーケンを焼きなさい」
良く分からない会話だな。
「ところで先ほどの頼みだけど、人族とエルフのハーフが嘆きの井戸から落ちてきたんだ。まだ開いている井戸があるようなのだ、帰そうと思ったんだが海からでは息が続かないし、たとえエルフに頼んで岸まで運んでも元々いた場所まで帰るには魔物がいる地帯を通るので難しいようだ。君が来たところから返すにもいきなり出ていったのではおかしいだろ。そこでそろそろ君たちが来るだろうから待っていたのだが、できれば庇護して上から帰してくれないか」
それくらいなら出来るだろうと
「わかりました、帰るときに一緒に行きましょう。それでそのハーフさんは、どこにいるのですか」
案内されて霧の奥に行くと、魔族の骨が積みあがった場所に家のようなものがあり煙突から煙が出ていた。入り口には骨で作ったドアチャイムがあったので叩いてみた。奥でドタバタ音がして駆け出してくる音がする。
「人だー、助かったー、助けに来てくれたのですよね。ありがとう、ほんとにありがとう」
自分で釣ったとおぼしき魚を手に、魚の皮と魔族のウロコのような物で作った服を着たエルフ耳の女性が出てきた。だが我々が圧倒されていると
「あー、もしかして遭難しましたか。私もここで遭難しているので、出口なら分かりませんよ」
残念そうに笑って言った。
「私たちはもうすぐ帰るのですが一緒に帰りませんか?出口は居城の中になりますが私たちと一緒なら問題ありません」
「うううっ、うわー、本当に帰られる」
そう言って大泣きしていた。お土産として自分で採った魚の干物を袋に詰めて私達についてきた。私たちにも魚の干物をくれるというので一枚だけもらった。
ウズは
「ゲソと魚も焼けたし、これを食べてお別れパーティとしよう」
みなでゲソと焼き魚を食べながら今の地上の状況や子供のサーベントのエルフ国の話を聞きながら楽しい時間をすごした。そのなかでもウズは今ではおとぎ話として語り継がれていることがほとんど事実なのだと言った。特に人族の初代皇帝の妻はエルフ国で一緒に育ったエルフで結果生まれたのが私たち子孫である。エルフの血はあまり表面には出ていなことからみな忘れているのであろうとのことであった。
エルフはこの世界で知的で最強の種族であり、魔王と人族が戦争していた時もエルフの国は平和な国家を維持していた。魔王も手を出せなかったのである。
ウズは私たちに慣れてきたのか角がかゆいからかいてくれと頼んできた。角を近づけてきたのでかいてあげると大いに喜んでいた。
「これはいい、しばらく残って話していかないか」
そう言われたが丁寧に断った。
いよいよ帰る時間になると、ウズはゲソの残りをミアに持たせようとしたが断られていた。しかしハーフエルフはもらっていた。
ところで、と、ウズは切り出した
「ハーフエルフの村にある開いたままの嘆きの井戸を閉めてくれないか、このままだとまた誰か落ちてここにくる」
そう私に頼んできた。私は快諾した。どうせハーフエルフを村まで送り届けなければならないから、ついでにやればいいだろう、そう思っていた。そして井戸を閉める呪文をおしえてもらった。
「来た道を登って行けばいい、10分とかからないだろう、おおよそお前たちが出立してから6時間後に帰還できるだろう。アルバンには申し訳ないが10年前に帰すことは出来ない、一緒に帰りアスマス達と同じ時間を生きてほしい」
アルバンは諦めていた帰還が叶うのならば些細なことだと承諾した。
我々は、お土産を持って階段を登った。ミアはレイピアを置いていこうとしたがウズに見つかって怒られていた。
我々が扉から出た後、子供のサーペントは言った
「ちちー、エルフの漁師が、消化が悪いなら薬を作る、と言っているがどうする」
「ああ作ってもらおう、こんどエルフの漁師に会ったら頼んでくれ。どうやら外の世界は面白くなりそうだ」




