停滞
帰還したヴァレンティーナはソフィアに面会すると。
「ええ、ええ、だいたい聞きました。本当に龍族は気が短いですね。笑ってしまいました。
あなたは気にする必要はありません、もともと帰ってきたらこうするつもりでしたから、ちょっとはやくなっただけです。
それで、メイド長に聞いたところ、今独身でイケメンとなると、宰相殿の部下の第2席で剣も魔法も使える方があなたの伴侶にいいかと思って。どうかしら」
「はあ、今聞いたばかりなのでなんともどうしていいのかわかりませんが、・・前向きに検討したいと思います」
急なことで頭が混乱している、家に帰って整理しようと思ったが。ラキアが身を乗り出して
「おねえちゃん、ソフィア様から結婚相手を紹介されたんですって、これはめでたい、めでたい」
「おまえもこれで大手を振ってアルバン殿と結婚できるというところだな。私もうれしいよ」
「それはそれ、それでいつ結婚するの」
「それは分からんが、そのうち返事をしないと」
「まだ煮え切らないみたいだね、アルバンもその人はいい人だって言ってたよ」
「呼び捨てかよ、まあいいさ私もまったく結婚する気が無かったわけではないのでここらへんで区切りをつけるかもな」
ヴァレンティーナは完全に納得することが出来ないが受け入れる決意をしてソフィアに伝えるため王城にむかった。途中の城下で
「また会いましたな、そこの騎士殿」
「おお、占い師の人か。こんな朝早くからせいが出ますな」
「なにか悩み事かな、占ってやろう、タダでいい」
「ああ、だが我が主人があまりいい顔をしていないので遠慮するよ」
「なんということだ、すこし出過ぎたのか、これからは慎重にしなければ。・・まああんたは安心したまえ、今度はバレないようにする」
「バレないように?・・では」
「んん・・ああ、あそこの国は滅ぼされる、まあ望めばだが」
「それでは困る、友好的にいくのだ」
「そうか、これならあのお方にも分からないのだが。
では次の、悩みは。結婚すればいい、そして、気にいらなかったらすぐわかれたらいい。これを逃せばもう無いだろう」
「やはりそうなりますか、子はつくりたいのだが」
「それは叶うだろう」
「子の成長を見たいんだ、旦那になる人はほとんど知らないので愛着は無い、今はそれだけだ」
「なるほど、お前は家庭に入らないからいいメイドが必要だな。だがそのうち見つかるだろう」
気が楽になったヴァレンティーナはソフィアに会って自分の意志を伝えた。
「ああ、またですか、まあいいですよ、さずかった例の魔法は使わずに済んだのでしょ、まったく」
「はい、それで決心しました、結婚します。家族を作りたいと思います」
「まあ、それは良かった、では話を進めますね」
「はい、よろしくお願いします」
魔界では黒帝が次のステップに進んでいた。
「地蟲で殺すことになれただろうから次は・・花魔王か、だがまだ身体が成長していないのでこれは無理かな」
「あれはすぐに食わないから元に戻せばいいのでは」
「そうだな、即死は無いからいいか。黒帝よ、ではこの奥に行くか」
花畑の地蟲を始末した黒帝を連れてルーシーとデリアはカマキリに似た花魔王を倒しに花畑の奥に進んだ。妖精が道案内をしていたが
「とまって、あそこにいる、見えますか」
「黒帝、感じるかあの気配」
ルーシーが言うと黒帝は大きくうなずき、指をさした。そこには花に擬態した大きなカマキリがじっと獲物である妖精を待ち構えていた。
「花魔王は強いですよ、もちろんルーシー様やデリア様では一撃でしょうが、魔族の子供が食われることもあります」
「黒帝よ、殺してこい、首を落としてすぐ決着をつけてもいいが色々試してみるといい。私達はここで待っている」
黒帝は小さくうなずくと、花魔王の方に進んでいった。そして花魔王のすぐそばまで行くとファイヤーボールを手のひらに作った。
「あ、いけない、これでは感づかれる、よけてー」
妖精が叫ぶと同時にファイヤーボールを作った黒帝の右手は切り落とされた。膝を落としてうずくまったところに花魔王が首を狙ってカマを振り下ろしたがその前にデリアが花魔王の首を落とした。
「まだアサシンとしての心得を教えてなかったか」
「そうでございますね」
ルーシーは黒帝の腕をもとにもどすと妖精に
「他にまだいるか」
「はい、まだたくさん」
「では案内してくれ」
ルーシーは黒帝の手を握り
「自分の気配を消すんだ、相手が戦闘できなくなるまで。気配の消し方は、かくれんぼ、だ、ケリーとよくやっているだろ。腕でも首でもすぐ元に戻すので思いっきりやれ。帰ったら自分で元に戻す方法を教えてやる」
次の花魔王がいるエリアに来た、ルーシーは
「今度は見つけるところからやってみろ」
黒帝は真剣な目で大きくうなずいて花畑の中に歩いて行った。そして今度はウインドカッターをはなった。しかし花魔王は一瞬はやく気付いて胴体をひねって致命傷を負わずに反撃してきた。黒帝の肩口を切り裂くと同時に黒帝の放ったウインドカッターが腕を切り落とした。取っ組み合いになりながらも最後には花魔王の首を落とした。
「グダグダだがまあいいだろう」
「まだ体が小さくて動きが鈍いですがよくやりました」
「今日は帰って反省会だ、体の修復方法も教えないと」
「えー帰るんですか、また来てくださいね」
ルーシーとデリアが黒帝の手を引いて暗闇の中に消えて行った。




