オアシス
「しかし、人がいないな、かなり昔にいなくなったようだ、廃墟だらけだ」
石づくりの家は風化して中には何もない。さらに歩くと泉があった。
「これはオアシスだな、だが動物の足跡も無い、ここは生き物がいないのかもしれない、死の世界だ」
「だが結界があるから化物はいるのだろう、それに幼女を連れて行けとネネ殿が言ったから」
「しかし安心したな、修羅の国とか超近代文明とかあるのかと思ったが、何もないのは想定外だ。
結界を張っている中心に向かって行くか」
ヴァレンティーナの言葉に皆うなずいて歩いて行った。
歩いて行くと徐々に建物は高くなったが生き物は何もいない。2日ほど歩くと王宮のような建物があった。
「ここの建物から結界が伸びています」
先行していたレイが言った。跳ね橋は朽ち落ちている、門も無い、人の気配はない。飛べるものが飛べないものを運んで全員で城の中に入った。
「城塞都市だな、何かから守っていたのだろうがなんだろうな。神殿があるから何かを信仰していたのだろうが、あとで行ってみるか偶像があるかもしれない」
「ヴァレンティーナ様、結界の発生源はここではありませんね、神殿の方でしょう」
王座のある部屋には何もない、石でできた椅子があるだけだ。
「ゴーレムあたりが出てきそうな雰囲気だな、だがここまでトラップも無い、最後まで人が生活していたのか」
神殿の建物にはいると正面に半分崩壊した女神像があった。
「人族の神殿だな、だが人はいない。結界の出どころは地下だな行ってみよう」
神官達の納骨堂のさらに下の階に牢屋があった。そこに男がいた。
「やっと来てくれたか、何千年まっただろう、さあ殺してくれ、遠慮はいらん祟ったりしないさ」
「お前は誰なんだ、ここで何をしている」
「私は、その昔、神殿長をしていた。王の頼みでこの国を守るための結界を張ったが止めることが出来なくなった、いや、止めさせてくれなかったと言った方が正解か。それによって他国との交流が出来なくなり国は飢饉になって多くの国民が死んでいった、みなは私を殺そうとしたが化物が阻止した、私も化物として生きながらえてしまった。そのうち化物たちがこの国を食い物にしたがいよいよ人がいなくなり化物も共食いして死んでいった」
「最後に残ったのがお前と生き残った化物なのか、だがここでお前を攻撃すると結界が攻撃者を殺すぞ」
「わかっている、だがこの胸に刺さった杭が止めることを許さんのだ。
だがこの国が崩壊する直前に国のまわりに東方、西方、南方、北方に逆に化物を閉じ込める魔女を配置した、その誰かが数百年に一度わたしの様子を見にこさせることになっている、いるのだろお前たちの中の誰かがそうだ、私と刺し違える覚悟を持ったものがいるのだろ」
男が絶叫するとインバに抱かれた幼女の目が光った。
「この子が私を終わらせてくれるのか、ありがたい」
男が目を閉じると空間がねじれて男はその中心に飲み込まれるように消えてしまった。
「その子も刺客だったのか、ここは私の方が結界からの攻撃発動前にやってしまえるからお先にやらせてもらったよ、ボイスも、そしてインバもこれでいいだろ」
皇帝が淡々としゃべると、ボイスは
「私はデリア様から皇帝のお役にたつよう働けと言われただけだ」
「ああ、エイドの宰相の言葉攻めにギリギリ耐えたからな、なかなかの働きだよ。ここに来ることを認めさせた」
インバはぐったりした幼女を抱きしめながら
「ヤノトからあんたがしくじったらチャンスがあればやれ、とは言われてはいたがこの子が刺客だとはな、驚いてしまってまったく手がでなかったよ」
「さあ地上にもどろう、生き残っている化物が集まって来る、掃討戦だ」
大陸全体を覆っていた重たい空気がいっきに晴れた。散らばっていた化物たちは楽園の守護者を殺された恨みを晴らしに神殿につめかけた。そして久しく食べていなかった人がいるので我先におそいかかって来た。だが皇帝の戦力は強く次々に倒して行った。ヴァレンティーナも奮闘して斬りまくったが。
「しかし、すごい数だ、これで生き残った残党なのか、トリアの魔物の数をはるかに超える、どうします皇帝」
「ネネにここにはもう人がいなかった、東西南北を守る魔女で話し合って国を建てるように言ってくれ」
「今ここで言うことですか」
「しばらくはここを守らねばならない。私はすこし飛んで行くけど追って来るな、化物の数を減らすから手当たり次第に爆発させる」
そういうと飛び立った、化物たちはそれに従うようについて行き、追いついた化物が皇帝を取り囲んだところで皇帝はさらにまっすぐ上に飛んだそして雲より上に来たとき下を向いてエネルギー弾をはなった。地鳴りのような炸裂音がしてほとんどが消滅したがまわりで爆発に巻き込まれた化物の血肉が雨のように降り注いだ。何回も繰り返しているうちに追って来る化物もいなくなった。
しばらくまわりを見渡しながら空中で休んでいると、レイとヴィオラが皇帝に近づいて来た。
「魔導団と騎士団を城まで誘導してくれ、騎士団は地下通路の出口付近からこちらに向かっているはずだ」




