彼岸
男の子の傷はすっかり治って妹と一緒に城の中を遊びまわっていた。だが決まった時間になるとソフィアかお后のところに集まってお茶やお菓子をもらっていた。ソフィアとお后も二人を気に入っており膝にのせて甘やかしながら一緒にお茶をするのを楽しみにしていた。ある日、ルーシーが来てソフィアとお茶をすることになった。ソフィアは男の子を膝にだいてルーシーに女の子をわたして膝の上にのせた。
「お久しぶりですソフィア様、そしてお坊ちゃまにお嬢様。うーん、お坊ちゃまは皇帝様に似ていますね」
「あら気付きましたか」
・・ああやってしまった、子供にもどしたのか。まあ本物の皇帝をぬいぐるみのようにしたいのはわかるのだが、これはどうかなあ。そう思っていると。
「ああ、ルーシーさんいらっしゃい、ごゆっくり」
そういって皇帝が通り過ぎて行ったので、安心したような顔をすると。
「そんなことはしていません、血がつながっているので似ているのです」
「そうですか、そうですね。そんなことできるわけありませんよね」
笑いながらお茶を飲むと女の子がお菓子をせがんだので口に運んであげるとおいしそうに食べるのでルーシーも嬉しくなった。
「でしょ、癒されますよね」
「ええ本当に」
「ルーシーさん、一人いかがです」
「エッ」
「なーんて」
ソフィアは本気とも嘘ともつかない感じで話すと、笑いながらお茶を飲んだ。そこに休みがあけたヴァレンティーナが入って来た。
「長いお休みをいただきありがとうございます。今日から復職いたします」
「ちゃんと休めましたか、いろいろと活躍していたのを聞いています、さあ二人も」
「ありがとうお兄ちゃん」
「・・・」
ソフィアは何か閃いた
「男の子の方をあなたの従者にしましょう、まだ幼いので私達が仕込みますが、そのあとはあなたが剣を仕込んでください。そうですねむこうの大陸への遠征から帰ってきたらお渡しできるようにしておきましょう。それでいいですねルーシーさん」
「は?はい、いいのでは、で、私は何をすれば」
「ヴァレンティーナは魔法がほとんど使えません、特に攻撃系が。だから子供に仕込んであげてください」
「私でいいのですか、私ですよ」
「あなたがいいのですよ、あなたが。振り分けてあげてください魔法の方向性を、素質はかなり高いので」
「はあ、まあ、わかりました。ですが、まあ、わかりました」
ヴァレンティーナは1年か2年先のことだしあまり気にせずに、これは心強い、と受け流していた。
「さあさ、これは忙しくなりますねルーシーさん。まずは移動系から召喚とか爆裂はもともと強いので、なあにコツをつかめばすぐですよ」
「あ、うーん、そうですね、攻撃系ですよね。混在して大丈夫なんですよね」
「は?」
「いえ、なんとかなるでしょう」
「ですよね」
ヴァレンティーナは自分とは関係ないことが起きていると言ったふうに退出した。あいさつ回りをすますとその日は日中に自宅に帰ることにした。ふだんは夜しか通らない何もない路地だが露店が出ている。すると
「そこの騎士さん、占ってあげようただでいいよ」
「おお、以前占ってくれたおじいさん、いや、おばあさんだったかな。あの時のは当たったよ」
「ハハハッ、そうだろう、そうだろう」
まわりで見ていた通行人も、おお本当にたまにしか出てこないまるで見てきたかのように当たる占い師だよしかしどうやって飯食っているんだよたまに占うだけで、と言いながら集まって来た。
「うるさい連中が集まって来たから、ほら手を出して」
ヴァレンティーナは手を出すと、しばらく黙っていたが。
「おお、やはりあのお方の加護を受けているのを感じる・・」
「・・あのどうしました」
「う、うん、それではだな、お前は近じか・・えらいところに行くな。ふう・・どうしたものか。ああ、お前は聖俗性の魔法が後天的に授かっている、怪我をしたときだろうな。まあ、おまえは剣以外興味がないバカみたいだから気付いてないが、それを聖職者に引き出してもらえ」
「あんたは引き出せないのか」
「私に聖俗性の魔法をどうにかしろと言うのか」
だがニヤリとして
「わかった、だが後で聖職者にも頼むんだぞ」
「そうか、では頼む」
「もう終わっている」
「そうか、早いな、ではありがとう。ただと言うのもなんだから上司からもらったお菓子をあげよう」
「なななっ、なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「嫌いだったか、このお菓子」
「もう返さないぞ。おまえ気前のいいやつだなさっきのを100倍くれてやる」
「そうか、ありがとう。もうもらったのだよな」
「そうだ」
占い師はうやうやしくお菓子を受け取ると懐にしまった。まわりで見ていた者たちが
「おい、俺も占ってくれ」
口々にいうので、横に並べて。
「お前は、結婚できる、できる、やばい、できないかもしれないががんばれ、できる・・」
と雑に言って路地裏に消えて行った。




