ダンジョン探索
私はとっさのことで何も出来なかった。目をつむってミアにしがみついた。死んだと思った瞬間、火球は手前に立はだかったアルバンにあたって砕けた。アルバンは特に防御魔法を使った様子もなく根性で止めたのであろう、黒焦げである。
「何者だ。名乗りもせず攻撃してくるとは卑怯だろう」
アルバンが挑発しているあいだ、私は攻撃してきた方向に照準を合わせた。
かなり遠くの方から声がした
「・・まあ合格だ、こっちに来い」
声のほうに階段が現れたので私たちはそちらに向かって歩いて行った。
「アルバンありがとう、あれはヤバかった。でも君は黒焦げだ」
「気にするな、しかしお前は攻撃魔法が使えるのだな、私は魔法の才能は無いが強力なエネルギーを感じたよ、それに姉のミアは探索魔法なのか。何者なんだいお前たちは。
とりあえず相手がわからん、合格とか言っていたが試されていたのだろうか、しかしここにいるとしたら龍だと思うのだが」
こんどは私がミアの手を引きながらしばらく歩いていくと大きな顔が見えてきた、龍か、いや・・、鰻かもしれない。
客船ぐらいの大きさがある、それが巨大なプールから顔だけを出してこちらを見ている。
「まず、突然攻撃したことはわびよう。もう攻撃しないからそちらもやめてくれ、私は加減せずには出来ないだろう」
遠巻きに殺すと脅してきたが、ひるまずアルバンが
「お前は何者だ、ここには龍がいると聞いてきたが・・」
「お前は私が何に見える、クラーケンか、それとも巨大な蛇か。わたしはシーサーペント、リヴァイアサンとも呼ばれる海の龍、名はウズだ」
ミアは何かに気付いたように
「ウズ様とは・・、ウズ様は初代皇帝と共に魔王と戦い死んだのではありませんか」
「私はちょっと深い傷を負っただけだ、だが大げさなアスマスは城の地下にこのような部屋を作って、嘆きの井戸から餌となる魔物を滝のように落とし続けたのだ。そのうち奴は大魔法を使って大きな井戸を自在に作れるようになり数万の魔王軍をここに落とすようになったのだ」
「全部食ったのか、だがもう魔王軍は落ちてこないのになぜここにいるのかな」
「ああ食った、だが消化が悪くてな、腹にたまって膨らんでしまった、そして海に通じる穴から外に出られなくなっているのだ」
確かに長い胴が途中ぷっくらと膨らんでいる。笑うところなのかな、でもどうだろう300年から400年閉じ込められているわけだし。
「お前たちは魔剣が欲しいのだろう。ここに私が食らった魔王軍の雑兵から将軍クラスまでが持っていた剣がある、好きなものを持っていくがいい」
「お前が食うことが出来た魔族の剣ではないのか」
アルバンは挑発した
「そうだ、魔王が持っていた剣いがいがここにある。魔王が持っていた剣はアスマスが持っていた、今の皇帝が持っているだろうよ。それ以外だ、不満かな」
ウズは私の方をみたような気がしたが、私は持っているのだろうか、本当に分からない。
「いや失礼した。魔剣を一振りいただく、私にふさわしい剣が私を選ぶだろう」
アルバンは謙虚にそういった。
「お前がこの部屋の手前にいるのは知っていた、だが一人では意味が無い、それで2人がくるまで待たせていたのだ。まあ、魔法士の素養があるものが二人だがまあいいだろう、人族に完璧を求めたら何も出来ない、なにしろ人生が短いからな。
後の二人、ちっさい方も欲しいのか、女の方は私が選んでやろう」
「私たちはいりません」
アルバンはびっくりしながら
「いや持って帰れよ、壁に飾ってもいいぞ、飲んだ時に、まだ飲めないだろうけど、自慢すればいいし、俺は武者修行に持っていくぞ」
話を聞かずにウズは
「じゃあ、ちっちゃいのはこのちっちゃな短剣を、女の方は空間斬と探索が出来るレイピアでいいだろう」
ミアは本気でいらないので
「私はメイドですのでこのような物騒なものはいりません」
また話を聞かずにウズは
「そこに紐があるから後ろに背負えばいいだろう、そうだ持っていかないと元の場所に戻れないようにしよう、あるいは100年後とかに・・」
しぶしぶミアは受け取った、まだ納得していないようだが。私はめんどくさくなりそうだし軽い短剣なので受け取った。また宝物殿に陳列する剣が増えるな、などとは悟られぬように
「ウズ様ありがとう、この剣にはどんな魔力があるのでしょう」
「帰ってから剣を抜いてみればわかるよ。人に貸してもいいが、くれぐれも捨てたり悪人の手に渡すなよ、めんどくさくなる」
こちらの心が読まれているような気がした。めんどくさくなるのか。
アルバンは剣の山の間を歩きながら急に足をとめて納得したように大きな剣を拾い上げた。
ウズは
「いい選択だ、お前の未熟さを補い、そしてより高みを目指せるだろう」
少し時間をおいてウズは
「そこでお前たちに頼みがあるのだが」
と言った




