彼岸
餌やりがあるからとベーセルは帰った、その後で洞窟の入り口から大勢の人が入って来た。
「もう終わったのか、休暇のヴァレンティーナ殿がいるとはな、趣味が戦闘ってのは本当なんだな」
「おお、アルバン殿に騎士団の諸君、助けに来てくれたのか」
「ギルドに弟が依頼を出したのを聞いてきてみたがすでに終わっているのか、後かたづけでもするか」
「それで頼まれてほしいのだが、この子供たちを神官長のもとに運びたいのだ」
「それなら魔導団の連中が来てるいから頼んでみよう、残党の索敵をしているがすぐにかたがつく」
切り殺したゴブリンを洞窟から運び出して火をつけて燃やした。しばらくすると洞窟を探索していた兵士から歓声があがった。
「お宝発見です」
無造作に積み上げられた金銀財宝が発見された。
「これは襲った村から奪ったのだろうな、キラキラしているから持って来たんだろうけど使い方を知らないからたまって行ったと思われるよ」
「持って帰ろう、持ち主がいたら返せばいい」
洞窟から財宝を持ち出すと、まだのこっていた冒険者たちが
「ああ、ずるいぞ、俺たちにもよこせ。帝国が独り占めするのか」
「お前たちはキングのクビがあるだろ、お宝は私達がいただく、最後まで戦ったものに権利がある」
レンが勝ち誇ったように言うとハナが大きくうなずいてみせた。もちろん嘘だが冒険者たちは納得した。
ヴァレンティーナは後の処理を任せるとラアラたちのいる牧場にむかった。大きな牧場だが馬はいない、すべて隠しているようだ。人の住む建物らしきものがあるが鎧戸がおりており人の気配がしない。だが歩み寄ると中から人の声がした。
「おいとまれ、言葉がわかるなら名を名乗れ」
「バランだ、喧嘩屋のラアラと用心棒のリオニにようがあって来た」
「そんなものはいない帰れ」
「言い直そう、貴婦人のラアラとリオニ令嬢に会いに来た」
「はいるがよい、コソ泥のバランよ」
三人は抱き合って再会を喜んで、子供や夫を交えて楽しい夜を過ごした。
神官長は子供を受け取るとヒールによる処置を行った。数日たつと顔の形がはっきりとしてきたのでよくよく見ると誰かに似ていた。
「これは・・子供のころの皇帝陛下にそっくり、でも皇帝陛下より下の年齢でご落胤はいないはずだけど・・その子供かしら」
前の皇帝に聞きに行くか、でもまだ完全に正気に戻っていないとも聞いているし・・それなら
「持ち帰った宝物の中に何かないか見てきてください」
神官たちに指示したところ
「このようなものを見つけました、帝国の紋章である龍の爪と豊穣のつるの首飾り、婚礼の儀式につかうものでは」
「少し簡略化しているようにも思えますね、女児に見せてみましょう」
神官達と遊んでいた妹の幼女のもとに首飾りを持って行った神官長は幼女を膝にのせて聞いた。
「これは誰の物か知っているかな」
「・・カータンが大事にしていたネックレス」
幼女は目を輝かせて首飾りを抱きしめると大粒の涙を流した。
「間違いないでしょう、この子たちは孫にあたるのでしょうね、前の宰相とマーシャさんに聞いてみましょう」
「この子たちの親の親が前の皇帝と、その、関係を持ったとしたら先々代のマーシャ様であるお后さまがお知りでしょう」
マーシャの言うとおり首飾りを手放そうとしない幼女を抱っこしながらお后のところに行くと、お后は幼女ごと首飾りを受け取り、幼女を抱っこしながら頭越しに首飾りを見ながら
「ああ、私が作らせたいくつかの首飾りの一つです。これは確か伯爵家の令嬢に渡したものですよ、ほら黒い石がある、あの娘の目の色です。あのころは前の皇帝はまだ王子で領内の視察と称して各領地の貴族の屋敷に泊まってそこの娘に・・・。それはまあいいでしょう、その娘の子供の子供で孫と言うことですか。しかし貴族の娘がさらわれたとは聞きませんね、それに嫁いだ先からいなくなったとも。問い合わせてはどうですか」
お后は幼女が気に入ったのか抱きしめて離さないのでそのまま面倒をみてもらうことにした。神官長はその貴族のもとに使者を送ったら返事が帰って来た。
内容は、母親はすでに別の貴族に嫁いだあとでいなかったが両親が言うには。母親は子供にネックレスをわたし辺境の里に住まわせていた。そこで育ち里の男との間に出来たのがこの子供達であったが、両親ともにゴブリンに襲われて命を落としたのである。
神官長はすでに領主は変わっているのであずけることも難しいと考え城で面倒を見ることにした。
「女の子のほうはメイドで面倒みることはできますが男の子の方はダメです、男子禁制なので。ですがお后様が幼女をたいへん気に入っているのでお二人ともしばらくあずけたらどうですか」




