彼岸
ヴァレンティーナは剣で草をはらいながら進んでいた。
「今回はあまり山を登らなくてすみそうだな、ほらあそこにゴブリンがいる、おそらく見張りだろう。巣はこの先の山のふもとあたりじゃないかな」
「回り込んでやりましょう」
「ああ、私とドウジで回り込もう」
人よりも一回り小さいゴブリンが二体まわりをうかがいながら立っていた、そこにヴァレンティーナとドウジがおそいかかり切り殺した。
「他には気付かれていないみたいだな」
「ええ、もう少し行きましょう、巣の場所を見つけてから攻略方法を考えましょう」
しばらく歩くと開けた場所になっておりそこに洞穴があった。
「ヴァレンティーナ様、ゴブリンが4体いますね」
「入口はあの他にもあるのだろうな、周りをしらべようか」
「調査隊を出してすぐ攻め込みましょう、奴らは人族ごときなら蹴散らせばいいと思っているから最後の最後まで逃げないですよ」
「じゃあイントロンとエクソンのチームにまわりの探索にでてもらって我々が中にはいるか」
「いやそうはいかんぞ、我々が入る、お前たちは他の出口を探せ」
「・・それでもいいが、まあいいかじゃあ我々曙光が外を調べるよ」
イントロンとエクソンのメンバーは洞窟の中に入って行った。
「彼らは強いのか、ドウジ」
「ダメならすぐ逃げ出してきますよ、その場合はこの入り口に戻ってきます」
「ならいいが、食われでもしたらかわいそうだ」
「食われてから少し生きているからうまく行くと蘇生できます」
しばらくするとドウジの予言通り帰って来た。
「キングにクイーンまでいやがる、兵隊も数十匹はいやったがあいつらはダメだ、軍隊を呼ぼう」
「分った、今度は我々が行くよ、軍隊など呼べば冒険者の恥さらしだ」
今度は曙光のメンバーで洞窟に入って行った。
「キングとクイーンはもう逃げたんじゃないか」
「彼らは餌が来るのを待ってますよ」
「3匹は倒したみたいだな」
「彼らはセイフティファーストですからね、死ぬ気で行けばもっと頑張れただろうけど」
「奥に行くほどゴブリンの数が多くなっていくな」
「数十匹は切ったからそろそろですかね」
「レン、キングとクイーンに弱体化魔法を、ハナ、火炎魔法で顔を焼いたら我々で切り込もう、ハッサは膝をついたところを殴ってくれ」
洞窟の奥は広くなっており薄暗い中に火がともっていてキングとクイーンがいるのがうすぼんやり分かった。
「思っていたよりも大きいな、私達の5倍はあるか。それにまだ兵隊が30匹ほど残っている」
怖いものみたさに後を追ってきた他の冒険者たちも追いついて来た。
「でかい、これほどとはな」
「お前ら見たんじゃないのか」
「成体をキングとクイーンに勘違いしていたな、さあ逃げようなにもここで死ぬことは無い、死んだら飯が食えないだろ、俺たちは飯を食うために戦っているんだ」
レンは弱体化魔法をかけながらつぶやいた
「臆病者はされ」
「え?」
「帝国に臆病者はいらん、今すぐ立ち去れ」
「何言ってんだ、誰が色ボケの家来だってんだ」
「なんやと」
「レン、いいから火球行くよ、ソーレ」
キングとクイーンは顔に火球をあびてのけ反ったところにヴァレンティーナとドウジは切りかかった。ヴァレンティーナはキングのクビを半分斬ってひざまずかせた。そこにハッサが殴りかかり気絶させた。切り残した部分は他の冒険者グループが切り取って皆で抱えて勝ち名乗りをあげていた。それを見ていたレンが
「おい、それはこっちの手柄だろうが」
「最後に切り取った方のものだ」
「どこの口が言っとるんや、お前らも倒してやろうか」
「へっへー、クイーンはそっちにやるよ」
キングのクビを持って出て行った。残りのクイーンはドウジが肩を斬っただけでまだぴんぴんしていた。ヴァレンティーナはため息をついて
「まあクイーンに専念できるな、雑魚も倒してくれたし、ハナもう一回お願いする」
ハナが火球をはなつと。クイーンはよけて剣で切りかかって来た。
「学習しやがった、ドウジ、脚を狙え」
二人で脚を斬りつけるとよろけだした。
「ハッサもう少しだ、決めろ」
しかしクイーンは生き残っていた兵隊をつかむとこちらに投げつけて奥に走って逃げて行った。
「いかん、ハナ、エネルギー弾で奥をつぶせ」
ハナがエネルギー弾を撃とうとすると奥の暗闇から男が歩いて来た。
「おい、撃つなよ。ほらよクイーンだ」
ベーゼルはクイーンのクビを投げてよこした。
「金はいらないよヴァレンティーナ、お前らでギルドに持って行け」
「おおありがたい、ベーゼルどの」
さらにもう一つの何かを投げてよこした。
「腹を開いたら出てきたよ、まだ生きているかもしれない」
半分溶けた子供のようだ。よこの籠から声がした
「ニーニッ!」
「子供か、お前の兄上なのか」
「ヴァレンティーナ様、クイーンたちの食事です、人族の子供を食べられるのはあの二人なので」
幼女はおびえながらも兄を呼び続けた。レンが走り寄って幼女の目に包帯を巻いた。
「目を怪我しているのか」
「魅了の目です。兄は連れて帰りましょう、ここでは完全にもとにもどせません、神官長様の力を借りましょう」




