東方遠征
「龍はなんで高いところに巣を作るんだろうな、対峙するころには太ももが笑ってそうだ。ところでセーレは強いのか」
「まあそれほどでは、強さは魔物の上位ぐらいでずる賢さはその上でしょうか」
ボイスが笑いながらいうがセーレは無視して前を歩いて行く、少し歩いて行くと開けた場所にでた、ここが龍の巣なのだろうか何かの骨が散乱している。ヴァレンティーナは骨を剣でつつきながら
「何もいないな、そして娘も。龍は移動しているのだろうか」
「わかりませんね、セーレに聞いてみましょう、どうせ娘を取り返すためにエイドに召喚されたのを相手が強いから先延ばしにしていたんでしょうから、知っているはずですよ」
セーレが無視したのを怒っているボイスは意地悪な言い方をした。
「ここの龍はちょっと変わっているんだ、観察したところ好戦的ではない、こちらの戦力が上回っているから隠れたのかもしれない」
「しかしいないな、気配もしない、こっちは話し合って娘をかえしてもらえばそれでいいのだが」
しばらくまわりを見回していると遠くのほうから誰かが近づいてくる気配がしたのでみな身構えた。
「やあ、ここら辺に龍がいると聞いたので討伐に来たのだが君たちもそうなのかい」
わりと華奢な青年が笑いながらこちらに近づいてきてそういった。
「私は帝国の騎士でヴァレンティーナだ。討伐は場合によるが見つからなくてね。それよりも龍がさらった娘を取り返したいのだがどこかに幽閉されていそうな場所はしらないかな」
「それならむこうに洞窟があったな、一人では入る気になれなくて中を見ていない」
「そちら側か、もしよかったら案内をしてくれないか。龍を討伐したら手柄はそちらでいいよ、こちらは色々あってむこうからおそいかかってこない限り手をかせないんだよ」
「龍がお好きなんですね、ワイバーンはなつくみたいですが、龍はなかなかそうはいきませんよ」
「あんがい良い龍かもしれないからな」
青年は腹を抱えてわらった。気分を良くした青年はおしゃべりしながら洞窟まで皆を連れて行った。
洞窟の前まで行くと伝令に出ていたレイが帰って来た。
「ヤトノさんからゴズさんに聞いてもらいましたが、そのはぐれ龍は煮るなと焼くなとご自由に、とのことです、討伐してもいいそうですよ」
「そうか、では青年の助太刀ができるな。しかし同族を大事にする龍族にしては冷たい対応だな、よほど龍の国で悪さをしたのだろうか、悪い龍かもしれないな」
ヴァレンティーナは笑いながら青年の顔をみた。青年は微笑みながら
「ヴァレンティーナ様は龍の国に行かれたことがあるのですか。その族長に会ったことが」
「ああ、あるよ、霧の中を通って皇帝様と一緒に行った、そして剣の手ほどきをしてもらったよ。ゴズ殿は強かったね、軽く遊ばれてしまったよ」
「そのような豪傑とは、恐れ入りました。見込みのあるものしか相手にしないのですよ、あの御仁は、私は最初の一太刀で足蹴にされました」
「君も行ったことがあるのか、クリカラ殿の飯はうまかったよ、ドラゴンスレイヤーの称号をとるためにあそこに行くとはたまげたね。何年かかたのかなあそこは裏側だから」
「あそこで生まれたのですが、ここに来るのは一瞬でした」
セーレはそわそわしながらヴァレンティーナの顔を見ながら何か言いたそうにしていたがずっと黙っていた。
「セーレどうした龍でも見つけたか」
「ヴァレンティーナ様、それが龍ですよ」
「わ、分っていたさ、好戦的ではないので切りかかる必要もないし話を続けていたんだ。娘は連れて帰っていいのだな」
「失礼した、相手を見極めておりましたがあなたは良い人のようだ、私はゴズとクリカラの息子、インバ、と言っても島流しにあっているところですが。
娘は捨てられていたのを助けたのですが帰るあてが無いので住まわせていました、どうぞ連れ帰ってください」
インバは洞窟から幼女を連れてきてヴァレンティーナに引き渡した。
「お前の名はなんというんだ」
「・・・」
「セーレ、名前は聞いているだろ」
「名はしらないそうだ、だがあそこの最後の跡取りだから大騒ぎして探していたのさ」
「まいったな、この子を連れて行っても分からないだろ」
「じゃあ、どうする。とりあえずセーレが連れて帰って渡したらどうかな。それだと龍のクビが無いと信じないかもしれないな。だがそれはできない。となると、セーレが前もって龍が連れてくると告げておけばいいだろ。そのあとインバが龍の姿でこの子をどこかに置いて行くところを見せればいいか、めんどくさいがしょうがない」
「ああそれでいいよ、殺されたらたまらんからな」




