ソフィア
「爺さん達しずかになりましたね。私の言うことを素直に聞くとは思えませんが、なにかたくらんでいるのかと勘ぐりたくなります」
ルーシーが眉間にしわをよせて言うと、デリアが少し間をおいて
「噂なのですが、なんでもアスカムの城下でマーラ様の声を聞いたと皆にふれて回っているそうです」
ルーシーは目を吊り上げて
「私があれほど言ったのに会いに行ったのですか、しかもそれが本当ならなぜ私ではなくあの爺さんに」
怒りが収まらないルーシーは魔王城の一部を吹き飛ばした、が、気を取り直してもとに修復した。
数年の時が流れた。私はまだ成人していないので結婚していないが、ソフィアとは仲良しになった。ある日のことお茶をしていると
「リオニがエーリッヒ将軍と結婚すると言っていますよ、龍族の国に行ったときに仲良くなったみたいです。あのおじいさんの占いは当たりますね」
ソフィアはウキウキしながら話しているので私もうれしくなって
「エーリッヒ将軍は将軍職をアルバンに譲って皇帝城と魔王城の中間地点で牧場をやるそうだよ。たぶんリオニもついて行くんじゃないかな、あのおばあさんの占いのとおりなら」
ソフィアは
「ほんとうに当たりますね、でもあれから見かけませんね、どこに行ったのでしょう。
そうそう、カーサの占いも当たっているのですよ、トリアでカーサを魔王という者は誰もいないんですよ、それは気持ち悪いぐらい皆の記憶から無くなっていて。
それでカーサは魔導団の男性と結婚してトリアに帰って国の再興に努めるそうです。
残ったのはヴァレンティーナとラキアだけになります、寂しくなります」
おばあさんの占いもあたるな、まあ同一人物なのだろうけど。私が、ブリジッドが増えたじゃないか、と言うとソフィアは
「ああ面白い人です、まるで押しかけ女房です。今は三人で暮らしているそうです、お金は要求しなかったみたいですが、ヴァレンティーナが仕事を紹介したみたいです」
ブリジッドはミアの手伝いをしてダンジョンから魚をもらってきて市場で売っている。スリムになったウズが大洋に出ている間も子供達から魚をもらっている。ミアがマーシャを継いだ後は本格的に商売を始めるらしい、そのために専用のダンジョンを作れとせっつかれている。
マーシャ就任後のミアの片腕はリリになりそうだがどうなるか、レイとヴィオラは魔導団に帰ったがリリはまだ小さくてたよりない感じがする。マーシャは私の父である前の皇帝の相手をさせている眷族がいる間はしばらく城にとどまるらしいが、父はもうそろそろ精力も減退してきているらしいので必要なくなると眷族と一所に魔界に帰るそうだ。
アルバンはハーフエルフことサーシャと結婚するのかと思っていたが、サーシャはエルフの国に帰ってリーシャのもとで精霊魔法をもう一度修行しなおすそうだ。なんでもハエの妖精以外の妖精も見えるようになったからマスターを目指すそうだ。
最近はルーシーがソフィアとお茶をしている。マーラが覚醒したわけでもないし、犬のケリーの首も2個のままだが、おじいさんから直接聞いたわけでもなさそうなのだが。
「ベーセルが繁殖させた肉が城下でも流通したみたいですね、鶏といっしょにソフィア様の結婚式にぜひ出したいですね」
ソフィアは私の方をチラッとみて
「いつになるか分かりませんがぜひぜひお願いします、それにエルフ国のリーシャ様からブドウの苗木をもらったのですよ、これからはおいしい実がとれて、それからお酒を造ることが出来るのですよ。ぜひ乾杯に使いたと思って一昨年から大規模に作っているのですが、今年あたり沢山出来そうなのです」
乾杯、と言う言葉にルーシーが反応して身を乗り出して、それはいいですね、と言っていたが、ソフィアは根源から指令が出ているのか、でも来年かな、などとルーシーをじらしていても何も気配をさとらせないのはすごい。
色々と問題はあるが初代皇帝が作った国はますます繁栄していきそうだ。この状態にマーラは納得してくれそうな気がする。まさか結婚式の場で盃を投げ捨てたりしないだろう。たぶん大丈夫だ。
最近になって私は自分の魂に刻まれた前世の記憶を少し思い出した、私は経済の勉強をしていた学生だった。ここまでの活躍は初代皇帝の魂が導いたチート級の幸運によるもので私は単なる入れ物だった。だからこれから先の国を作るために経済の知識を役立てろとの女神の意思なのかもしれない、もちろんたまたまなのかもしれないが。




