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皇帝とサキュバス  作者: テクマ
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ダンジョン探索

帝都に居残っていたメイドに導かれて初めて居室に入り体を洗われた。仁王立ちして両腕を広げて前後から大きなスポンジでゴシゴシとこすられ、お湯をかけられた。かなり臭かったのか途中クンクンと匂いを嗅いでいたがなんとか納得のいく状態になったようで洗車状態から解放された。

休む間も無く重要物品の返却セレモニーが宝物殿で行われるので呼び出された。


先ほど就任したばかりの将軍達が声をそろえて言った


「お借りしていた初代皇帝様から受け継いできた神器をお返しします」


フォースアーマ、マジックエンハンスメント、グッドラックと呼ばれている剣である。戦場のどこかにあったのだろう。これを抜くと軍団の戦闘力、魔法攻撃および耐性、謀略の効果が数倍にあがるそうだが将軍達は抜くことが出来ないので旗印として用いている。


ここにはいろんな剣がある。ほとんどの剣は初代皇帝が集めたり作らせたものである。その中でも私でももてそうな剣があった。鞘が紐で巻かれ抜けないようにしたその剣を手を取ろうとしたところ。宝物殿員が


「それは挑発の剣と呼ばれ、これを抜くと近隣の魔物が集まってきます」


あ、危ないやつだった。じゃあ隣のは・・


「これは癒しの剣です。抜くと気力が回復しますがリラックスして寝てしまいます」


どんな時に使ったのだろうか。修行するときだろうか。精神と時の部屋とかありそうだが。

などと冗談を言ったら、やはりあった、築城するときに地下にダンジョンを作ってドラゴンの住処としたそうだが。そこにたどり着くには時間のとまった通路を歩かなければならず、精神の弱いものはドラゴンのいる部屋にたどり着けない。仮にドラゴンにたどり着いても殺されるのだろうけど、これを超一流の騎士を目指していた初代皇帝の部下は行っていたのだそうだ。そこに行ったあかしとしてドラゴンが魔剣をくれるのだが、これまで2本持ち帰ったものがいてそれが初代皇帝とエーリッヒ将軍の先祖だそうな。ちなみに定期的に挑戦者がダンジョンに潜るが行方不明になるものがいるのでやがて挑戦者はいなくなった。だが10年前に一人ダンジョンに入った強者がいたがこれも帰ってこなかったので、今日では何かのトラップがあるだけの神話と考えられている。立ち入り禁止の入り口まで見せてくれたが入る気はないのでその先は見ずにそそくさと立ち去った。


帰還当日ということで祝勝パーティが早めに終わって寝ようとしたら添い寝係としてミアが枕を持って寝室に来た。しかし


「帰ってきてから少し寝ていたのであまり眠くないんですよ」


私も興奮状態で眠くない。ダンジョンの話をしたら乗り気なので入口まで行ってみることにした。寝ずの番のメイドもついてきたがミアほど乗り気ではない。


「ここ入れますよ、ほら鍵かかってない」


ミアが入っていくと


「私たちはここで待っていますね」


ちょっと困り顔で答えた寝ずの番のメイドたちに


「この先の入り口まで見てくるよ」


笑顔で答えて私も入って行った。あれ、ここはいったいどこだ。そこはすでにダンジョンの中で、後ろにあるはずの扉は消えていた。ミアは


「どうしましょう、先に進むしかないですよね」


  苦笑いしているが、楽観的だ。あ~やってしまった。しょうがないので霧がかかった通路をはぐれないように手をつなぎながら降りて行った。途中登りがあると帰り道かなと思って登ったりしたがすぐに下りになりしばらくこれを繰り返した後に前方に何か見えた。人かな、階段に座ってうなだれている男だ。私は声をかけた


「あの~今日は」


階段に座っていた男は驚いたように立ち上がると


「お、お前たちは俺の救出に来たのか。ありがとう。さあ帰ろう、いくら下に行っても何もないのだ。道はどっちだ、お前はまだ小さいな、おれがおぶってやろうか」


10年前に行方不明になった人かと思って聞いてみたが2時間前に入ったと言う。試しに皇帝は何代目かと聞いたら、8代目、と父の話をはじめたので10年前に入った人に間違いないだろう。時間は止まっているのだ。私達は救出のためではなく意図せず入ったと告げるとかなり落胆していたがあきらめて一緒に下に向かって行った。


「君たちはメイドとその弟か。わたしは騎士の見習いで、アルバン・エーリッヒ、剣の道を究めるために古の剣豪が行った鍛錬方法を色々と試している。その一つがこのダンジョン攻略で、ゆくゆくは皇帝の剣として民のために役立ちたいのだ」


エーリッヒ将軍の血縁かな。無策なのにダンジョンに突撃するような家系に見えなかったけど。まあ自分たちも人のこと言えないが。


「私は、ミア・アスマスです、そして弟は・・」


  皇帝や家長は絶対無二の存在なので名前が無い、私の場合は正式にはアスマス9世だが、ここで皇帝と名乗っていいのかどうかミアは迷っている。


「私はコーヘ・アスマスです」


皇帝陛下をもじってコーヘとした、ミアは少し笑っている。


「そうか、アスマスを冠する家系の者か、では道中よろしく頼む」


アルバンはポット出の私とは違い志が高い。身長も高いがミアと私のあいだぐらいの年齢かな。だがしばらくすると階段の先に光が見えてきた。すこし急ぎ足になってそこまでたどり着くと鉄格子の扉があった。扉をミアが開けて中を覗き見ると広い空間になっていて中央部には高い天井から水が滝のように落ちている。ミアが先頭になって私たちが後ろから続く。そこから数歩下ったとき、深い霧の中で何かが光った。そう思った瞬間こちらに炎が迫ってきた。ミアが


「危ない」


そう言って私達二人に覆いかぶさった。


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