ソフィア
「ちょっとあなた、キスしたわよあの二人。飛竜隊を飛ばしてムードをもりあげておいてよかったわ。これは一生の思い出になるわあ」
ガーシャのいるベランダを見渡せる塔にゴズたちは集まっていた。クリカラは偶然見かけたと言ってはいたが、ずっと見ていた。ゴズはチラッと振りかえって
「そりゃ婚約しているんだからキスぐらいするだろ、しかしこれが勇者と魔王の根源を持っている者どうしなら話がちがう。それでどうするんだ」
ニヤニヤしながらルーシーをみながら言った。ルーシーは目を細めながら
「だから分からないんですよ、お前だって見えないんですよね。見えて言ってはいないのでしょう」
ゴズはうなずきながら、酒を飲み干して言った
「ああ、お前から聞いていたから言ったんだが釣れなかったな。だがどうしてあのお姫様が魔王の根源を持っていると思ったんだ」
ルーシーは苦悩しているような顔つきになって
「トリアで魔物を作っていることが分かったので見に行ったのですよ、そのとき会ってはいないがソフィア様からわずかだが魔王様の魔力を感じたのです。いつもは痛みや苦痛を食べる幻獣の猫を抱いているのではっきりと分からないと思っていたのですが、今回連れてきていないのに何も感じません。まあお前らの魔力が邪魔をしているのもしれませんがね」
ヤトリも続けて
「魔王はそれぐらいの偽装はするでしょう。だが普通ではないのは確かです、あの娘からは何も感じないときもあるし、空間転移も普通に通り過ぎましたな、おびえてもよさそうなものでしたが。何か確かめる方法はないものですかな」
ルーシーは
「トリア城で魔物が暴走したときソフィア様は殺されかけたのですよ、幼い時から護衛をしていたヴァレンティーナ達がいよいよ食われるとなったときに何か発動すると思っていたのですが皇帝のガーシャが助けてそれは無くなりました。いま双頭の犬をソフィア様にわたしてあります、あれは飼い主が幸せなら頭が増えるのですが、それにはあの犬にとっての幸せでもなくてはなりません、つまり元々の飼い主の魔王様と一緒にいるときが至高なのですから、間接的な証明になるでしょう。
まあ、どちらに転ぶか分からないのです、おそらくこの流れならガーシャの望んだ社会の継続かもしれませんが、どの程度をうまくいったと言うのか魔王様の判断を聞かないとはっきりとわからないんですよ」
ゴズは
「また人族との戦争になるならはやくした方がいいよ、皇帝が剣をふるえるようになると厄介だ、それに魔王も人の体なら幼いうちは剣で戦うのが不利だ。
お前がやる気なら、うちも北方の監獄を復活させて駒をおいておくよ、今は南氷洋に送っているがな」
ルーシーはクビを大きく振って
「お前は勘違いしています我々は魔王様と戦う気がまったくありません、我々には人族をつぶす方向にむかうことは簡単なのですよ、その時は魔王様が旗頭になり一つにまとまればいい、だが今の状態でも不満のある魔族の長老は多く人族と共存するなら私達の力でねじ伏せないと」
ゴズは、人族同様おまえらもめんどくさいんだな、そうつぶやくと寝っ転がってクリカラの膝枕でブドウをたべた。
皇帝城ではメイド達が騒いでいた。
「いやあこんなことは今後無いかもしれません、皇帝様もマーシャ様も外出ですから」
午前中に仕事をすますとお昼は皆でお惣菜をもちよって昼食会をしていた。ミアはソフィアからあずかっている双頭の犬にもおこぼれをわたしながら頭をなでていると
「ん、三つめのクビが生えてきてないかい」
と言って首の又あたりをなでてみた、そこには手のひらほどのこぶが生えてきていた。
「そんなこと無いか、どっかにぶつけたたん瘤かな。痛くはないようだけど後で薬でも塗っておくか」
そういって何気なくリリが抱いている猫を見ると、たくさんしっぽが生えているので、ミアがリリの額に手をあてて熱をはかったり口を開けさせたりしたがなんともなく、リリ自身も上機嫌なのでほうっておいた。
「おかしいな、今日はノーストレスデーなのに」
これは楽しすぎて熱がでているんだろう。なにも問題ないぞないに違いない。晩御飯は鶏の毒見をしておくか、万が一毒があると困るし、まあそんな話は聞いたことが無いが。そう思って鶏担当の少女を見るとメガネをかけて笑っているので。あれ、まえってメガネかけてなかったのに、と思ってその近くに目を移すとお后もまじって笑っているので、ああこれはもう公式な行事だな、と納得して鶏を〆ることにした。たりない分はダンジョンの魚を甘辛いタレをかけて香草を添えたものと秋の幸も大皿でだそう。これは収穫祭だ、と一人でもりあがっていた。
だがあずかっている犬にこぶが出来たのに薬を塗っただけでソフィアにかえすのもどうかと思い夕食の支度にかかる前に神官長にヒールをかけてもらい綺麗に治しておいた。




