ソフィア
「ばっちい、ばっちい」
ハエの妖精が来ていらいリリが変な言葉を覚えた。
「なんか、ばっちい、ですよね。うん、ばっちい」
ミアたちが言っているからなのだが。特にどこがと言うのはないが魚の干物を食べるときに胃液を吐きかけて溶けたのを吸っていたのでどこかに飛び散っていないか気になってしょうがないようであれから毎日たんねんに拭き掃除していた。
「ばっちいんですよね、あそこでこう吐きかけたらここら辺まで飛んでてもおかしくないのでは」
「そうそう、むしろ家具とかクロスも溶かしてくれたらまだわかりやすいのですが」
「やっかいだな、ここらへんの絨毯を丸洗いしたいです、ほんとやっかいです」
「やっかい、やっかい」
リリはくりかえす。むしろ完全に見えないといいのだが中途半端にみえるのだから困ったものだ。まあたまに報告に来るらしいからもう慣れてもらうしかない。それに慣れないと肉も食べにくくなる。
さらに肉をうまく食べる方法も考えないといけない。あれはどうだったかな、肉汁に何かをくわえてソースを作っていたことを覚えている、なんとか再現したいものだ。
アルバンとハーフエルフは龍が住むと言われている火山のある山を縦走していた。
「おや、おや、こんな山奥で何をお探しですかな」
品のよさそうなおじいさんが話しかけてきた。アルバンは
「いやードラゴンを探しに来たんですが、見つからなくて、しかしおじいさんが散歩できるところなんですね。どこか別の山なのかな」
おじいさんはあごの髭をなでながらいった
「いやいやここのはずですよ、昔はたくさんいたのですが今はどうかな、いるのかな。ちょっと前、そこのエルフに似たエルフ族の少女も探していたのですが、龍のウロコをいくつか拾って帰っただけでしたかな」
アルバンはこれは無理そうだとあきらめかけていた。ハーフエルフがおじいさんを見て固まっていたので声をかけようと思ったが尋常じゃないのでそのままにして
「帰りますよ、できれば話したかったのですが、皇帝が会いたがっているので。魔族なら交流があるのかもしれないのでそっちのルートで分かったらまた来ます」
おじいさんは何かいいたそうだったがなにも言わずに来た方向に帰って行った。ハーフエルフはおじいさんが見えなくなるのをまって
「あれが龍ですよ、昔たくさんいた頃って数百年まえの魔王との戦争以前です、そんなに生きている人間なんて異常ですよ。まあセーレンさんとか呪いかけられてる例外はありますけど。それにリーシャばあちゃんが来たのは100年ぐらい前だし」
アルバンは、後ろをつけてみるか、そういっておじいさんが帰った方角に歩いて行った。アルバンは強気で
「むこうもヒント与えているから、ついて来たかったらどうぞ、って感じだろ」
ハーフエルフは、あれは強者の余裕です、と言ったがアルバンは行く気満々なのでついて行った。荒々しい岩肌がむき出した火山地帯から下って行き森林限界の向こう側にある森の中に入ると見失った。
「ああ、まあしょうがないか、こっちは道が良く分からない。ところでお前はあの爺さんに勝てるか」
ハーフエルフは、おじいさんが1時間ぐらい黙って立っているあいだ弓を撃ち続けたら勝てるかもしれない、と言った。
「おれは立ってるだけでも勝てるイメージがわかない、やはり帰ろう、ひとはよさそうだったがドラゴンなら分からんからな」
帰ろうとしたら、またおじいさんがあらわれて言った
「また会いましたね、じつは皇帝が会いたがっている、というのが気になりまして引き返してきました。あなた方がこっちに下山されるのであまり歩かなくてすんで助かりました」
アルバンは、詳細は皇帝から聞いた方がいいが要約すると仲良くしたいそうだ、と言うとおじいさんは、なるほど、と言った。
「では一緒に下山しましょうか、こちらなのでしょ。ところであなた方はドラゴンの討伐に興味はありませんか、たまに来るのですよねドラゴン討伐の称号がほしい冒険者が」
アルバンが話す前にハーフエルフが割って入って
「ありません、興味ありません」
そう食い気味にいうと、アルバンも
「討伐には興味ありません。しかし力試ししてみたいとは思いますが、今の自分の実力なら遊ばれておしまいですし、この剣は皇帝のためにささげていますから今は命をかけるときではありません、万が一にでも勝ったら何しに来たか分かりませんから」
おじいさんは、いい答えですね、と言って
「では皇帝から来られるならこの場所に来てください、私がここまで来てご案内しましょう」
おじいさんは消えており、キャンプしていた場所に戻っていた。ハーフエルフが
「ほらね、あれは龍ですよ、人に姿をかえられる古龍ですよ、この山全体に結界をはって惑わしてるんですよ」




