ダンジョン探索
帝都はお祭り騒ぎで私たちの帰りを今や遅しと待ちわびていた。メイドたちは椅子から降りて床に座り馬車の窓から目立たぬようにしているが誇らしげに微笑んでいる。先頭の騎士たちが門をくぐると歓声があがった
「我々の誇り皇国の守護神」
口々に騎士を称える言葉と花を投げかけた。私は窓から良く見える場所に座らされて背筋を伸ばすようにとメイド長から厳命を受けながら帝都の門をくぐると手を振るように促された。
私の馬車が門をくぐると歓声がいっそう大きくなり、人々が馬車に駆け寄り花を投げかけた。
「我らが世界皇帝万歳」
なかには
「おお、神は我々を見捨てなかった、先帝の闇は払われた」
等というのもあったがおおむね好意的であった。
帝都は広く居城にたどり着くまで30分は手を振っていた。途中だるそうにしている私の腕をミアが楽しそうに降ってくれた。
居城に入るとまず議会場に運ばれて諸侯と議員そして将軍達に会った。イギリス議会の会議場のような作りで一番高いところに座らされた。将軍は30人ぐらいいる、一緒に戦った6人もいた。代表として年配の騎士が私に挨拶した。
「皇帝陛下、今回の遠征お疲れ様です。兵士の損害軽微にして、想定していた魔物よりもはるかに多く、そして組織だった攻撃をもはねのけ、大きな戦果をあげたこと、我々一同敬服いたしました」
続けて言った。
「また魔物への反撃と同時刻に王城の一部が爆発炎上した王国を確認しました。さらなる調査をしているところです、追ってご報告申し上げます」
黒い穴に吸い込まれて消えたエネルギー弾の行き先だろうか。人同士の戦争に発展しそうな話になりそう。
私からは
「皆様、私が初弾で倒れる失態をおかし、遠征隊を窮地に追い込みましたが、皆が良く支えてくれ、最終的に大いなる勝利に結びつけることが出来ました。この勝利は皆のものであります。みなの献身的な努力に感謝します」
すこしヘリ下った内容なのでマーシャは、もっと上からで構いません、と後から言われたが、私の見たところおおむね好評だったように思われた。
続いて今回従軍した将軍のうち若い3人を正式な将軍に任命する儀式を行った。3人は借りの将軍で今回の戦果によって正式な将軍に昇任したのだ。
「騎士団所属、エーリッヒ団長補、貴殿は今回の遠征によりその統率力が優秀と判断されたのでここに騎士団の統帥権を引き渡し、団長補の任をとき、新に団長の任につける」
2mはありそうな大きな男で、今回従軍していた前任の団長であるエーリッヒ将軍の息子である。前任の団長は指揮権を譲るが将軍の地位を残し有事のおりには戦に参加して補佐役にまわる。世襲ではないそうだが、初代皇帝の時代から剣を磨き続け、優秀な遺伝子を取り込んで強い子孫を残してきたのでまわりを寄せ付けない強さで昇りつめたサラブレッドである。
「魔導団所属、アスマス団長補、貴殿は今回の遠征によりその統率力が優秀と判断されたのでここに魔導団の統帥権を引き渡し、団長補の任をとき、新に団長の任につける」
私と同じ名を冠する直系である。前任の団長は初代皇帝が冒険者時代にパーティを組んでいた魔法使いの子孫である。ここは魔力の強さによってたびたび人の入れ替えがある。180cmぐらいでエーリッヒ将軍が10代なのに対して20代である。正式な魔法は習得に時間がかかるのでわりと遅咲きの将軍が多いらしい。ちなみに子供が2人おり、妻とは死別している。
「戦争経済戦略担当集団、ハイエ宰相補、貴殿は今回の遠征によりその統率力が優秀と判断されたのでここに戦争経済戦略担当集団の統帥権を引き渡し、宰相補の任をとき、新に宰相の任につける」
帝国の頭脳集団であり、経済一般から戦争の戦費から戦略まで担当するエリートである。身長は170cmほどあり10代なかばで一番若い。出身のハイエ家は代々帝国の金庫番を務め多くの人材を輩出している。税金を担当することから庶民や諸侯そして他国からも煙たがられている存在。平和になった今は強い権力を持っている。
「以上3名、皇帝陛下の在任中、あなた様の手足となる新しい将軍でございます」
そう言って私からの言葉を促した
「アスマスに集う民のために一緒に戦いましょう」
民主的なことを言ってしまったかなとも思ったが建国の目的は民の安定した生活を守ることなので、これもおおむね、大丈夫だった。
前の皇帝の在位が短かったことからも先々代の皇帝から仕えていた将軍もいて将軍達が元老院を形成しているように見えるが、議員や諸侯の大使も遠慮せず発言しているいい雰囲気ではある。これは初代皇帝が偉大でありその遺志に従おうとする者が多いからなのかもしれない。




