魔王
魔王城ではアルバンとハーフエルフそして魔導士に冒険者が集まって話し合っていた。そこに帰って来た蠅の妖精が
「皇帝がアホみたいな速度で上空まで来て何かしていったよ、そしてあとはアルバンよろしく、って言ってこれまたアホみたいな速度で居城に帰って行った」
アルバンは、たいへんな人を野に放ってしまったな、と考えこんでいたが、ハーフエルフは口に出して
「皇帝は適当だなあ、魔物の気配がなくなったから退治したんだろうけど、とりあえず見に行けばいいのかな」
合流した魔導士は魔道具をあやつりながら
「触媒はまだ作動しているみたいです、早くつぶさないとまた魔物がたまってきます。この魔道具では触媒は1階下にあると測定結果が示しています、これはルーシーさんの透視に一致していますし、我々が行くべき場所はそこですね」
みんなでむかうことにした。魔王城にきたことのある冒険者たちは、前来たときとは部屋の配置がまるで違う、そう言って慌てた様子だった。
部屋の前で中をうかがうと中から声がしている、触媒を設置した人族が慌ててなにかしているようだ。すこし扉をあけて聞いてみると
「急に魔物が床に吸い込まれるように落ちたぞ、原因はなんだ、分かったのか。下の階にはいなかったが、少なくともこの結界の中から出たのなら危険だ、暴れだすぞ。触媒を回収して撤収する」
要約するとこんなことを言っていた。アルバンは魔物がどこに行ったかだいたい察しがついた、ダンジョンだ。魔術師が触媒を停止するのを待って室内にのりこんだ。逃げ出そうとしている魔術師を切り捨てて、ひるんだ2人を拘束した。
「魔王城にいるお前らの仲間はこれだけか。お前たちを雇ったのは誰だ」
そくトリア王国のカーサだと答えた。目的は魔物を生成する実験なのだそうだ。雇われただけの魔術師なのでよくしゃべってくれた。
カーサは以前ヴァレンティーナ達と共に穀物の種を帝国に受け取りに来た際、私の素行調査をするために居室に侵入したことがある。カーサの上席は宰相なのでそこからの指示であろう。だがトリアの宰相はすでに解任されており、カーサはヴァレンティーナの下についている。つまり責任はヴァレンティーナにあることになる。
トリアでは帝国から派遣された宰相が就任しており、この問題について前の宰相とヴァレンティーナに詳細な報告をするように指示をだした。
ヴァレンティーナはカーサに聞いた
「おいカーサ、おまえが魔術師雇って魔王城で魔物作らせたって言われているみたいだぞ」
カーサは、ああそういうこともあったなと言った感じで
「うちの魔導士が皇帝の一撃で全滅したから冒険者やなんやらを招集したんだよ。実験場がつぶれて使えないから魔王城に行かせて同じ業務を続けさせたのだよ。雇用責任者は私だ、だが王城があんな感じだから、お金が払えないので解散したはずだ」
ヴァレンティーナはああハイハイと言った感じで
「じゃあ、そんな感じで書いておくよ。お金を持っている前の宰相殿が継続したのだろう、まだ帝国への攻撃を継続する気だったのかもしれないな。まあそこらへんは憶測だから前の宰相殿にまかせるとしようか」
責任の所在は自分に無いと確信したヴァレンティーナはスラスラと書いて今の宰相へ報告書を送った。ヴァレンティーナとカーサは平民の出身で子供のころは市場で泥棒をして生活をしていた、そこを前のトリア王に捕まって教育を受けるか牢屋に入るかせまられて教育を受けて剣士の道に進んだ。ヴァレンティーナはカーサが子供のころからの親友なので特に疑念を持たなかった。
だが前の宰相は
「私は知らない、すでに公職にないので答える義務がない」
そう言って姿を消した。こうなるとカーサから状況を聞く以外方法がなくなった。皇帝の素行調査など汚い仕事もしていたのでカーサ自身の調査にも重点が置かれて軟禁状態になった。カーサはすっかりまいってしまい
「なんか悪い方向に向かってないか、私が腹斬らないとおさまらないとか無いよな」
ラアラは寝転びながら
「あのちび皇帝なら調べておしまいだよ、お前が丸見えで座っているのを放っておいて、飯食わせて酒飲ませて城の正門から帰したんだぞ。しかもこっちの仕掛けた触媒をつぶして姫や俺たちを助けて国をつぶさずにおいてあるんだ。ありゃけた外れのお人よしだから安心しろ」
そうこともなげに言ってのけた。
しかしトリア国内では宰相が逃げたので誰か犯人を突き出さないと帝国に国をつぶされるという憶測が民衆の間に出てきた。現在の宰相は必要ないと言っても徐々に調査から取り調べになっていきついに罪人としての扱いになりカーサとさらに連帯責任としてヴァレンティーナも牢屋に入れられた。
ソフィアは国王に助命嘆願したが3歳の国王には民衆を押さえる力が無く、魔王の生まれ変わりだ、と言うものまで現れて収拾がつかなくなった。




