魔王
ミアは窓に向かってだるそうにハイハイとうなずいていた。リリは楽しそうに空中に向かって棒を振って何かを叩き落そうとしているようなしぐさをしている。私はというと日課のハイエ宰相との打ち合わせである。ふだん打ち合わせはサボりがちなので食い下がってくるのである。ミアはハイハイハイとうなずいてこちらに来た
「お話し中もうしわけありませんが、そこに来ている蠅の妖精がこれを至急あなた様に渡してくれと」
そして私にメモを渡した。よく見るとそれっぽいのが浮かんでいる。魔王城にいるアルバンから魔物がまた大量に作られているので討伐してくれとのことだった。宰相は将軍を集め対策を考えると言って席をたった。そのあいだ私は飛行魔法を使って見に行くことにした。安定して飛べるようになったので試したいのだ。それにフルスピードなら1時間以内で行って帰ってくることができる。
「蠅の妖精くんに道案内を頼めないかな、聞いてくれないか」
ミアにそういうと、目を細めながら
「勝手に飛ぶとまた魔導団長に怒られますよ、この前もアルバン様のかわりに魔王城に行こうとして止められていたじゃないですか」
最近の私は反抗期なのでこれはしょうがない、ということにしよう。私はミアがとめるのも聞かずに蠅の妖精の手をつかむとフルスピードで飛び立った。
うお20分切りそうだ、と喜びながら魔王城の上空につくと私はスピードが速すぎてぐったりした蠅の妖精に聞いた
「魔物がたまっているのはどこらへんですか」
蠅の妖精は魔王城を見渡しながら
「はっきりとはわかりません、ここはラビリンスになっていてアルバン殿と私達はしばらく同じ場所にいたように思っていたのですが別の場所にいたのです」
それでは広域に、どこでも嘆きの井戸、を使って魔物をウズ達に食べさせてしまうのが手っ取り早い。これは名案だと思い魔王城全域に魔法をかけて魔物を井戸に落とした。後処理をアルバンにお願いするように蠅の妖精に頼んで急いで城に帰った。
まだ将軍達は集まっていない、急いでダンジョンの方に行くと様子が変だ。ウズがいきり立って
「こりゃ大物がきたなぁ、まだガキだがたいした魔力だ。子供たちでは相手ができねえ、下がっていろ」
子供たちは相手の恐ろしさをさとって、小声で
「父がんばれー、母がんばれー」
と応援している。ウズの相手はルーシーとメイドであった
「あなたのことは父からきいていますよ、ここに転移された経緯はわかりませんがここで怪物を潰すのも一興ですね。どうせ馬鹿の一つ覚えで火球なのでしょう」
そういうと氷の剣をとりだして振り下ろした。ダンジョンは炎と氷がぶつかりあう爆発音が響いた。ぶつかり合うたびに低位の魔物は蒸発するように消えていった。私はわけが分からないがダンジョンへの通路も開いたままになっているしなんとか戦いをとめないといけないと思い、二人の間にエネルギー弾をはなってひるんだところで割って入った
「ウズと誰かしりませんが、事前に知らせずに井戸に落としてもうしわけありませんでした」
ここに落ちてきたのなら魔物なのだろうけどベーゼルのように友好的な例もあるので、それであなたはどなたなんですか、と聞いてみた。
「私は、ルーシー、ルシファーの直系、今は魔王城の管理をしている。その化け物は私達の剣を奪うことの出来なかったデクノボウで、これからも変わらん」
ウズを挑発している。これはいかん、あそこに住んでいたのを一緒に落としてしまったのか。冒険者は魔王城には何もいないと言っていたのでやってしまった。トリア城の時も気をつかって使用しなかった魔術なのに調子に乗って使ってしまった。とにかくルーシーとウズを引き離さないといけない。ウズのボルテージが上がっていくのを背中に感じながら
「もうしわけない、魔王城に人族が魔物を作り出していると聞いたのでそれを退治したつもりだったのですが、一緒に落ちるとは本当に申し訳ない」
そういって強引にルーシーとメイドを城に連れて行った。ルーシーは目が座っているが素直に従いメイドと共に階段を登っていった。メイドも肝が据わっていて何事もなかったように登っていく。ウズは、あいつを食わせろ、とうるさかったがなんとかなだめてひとまずその場をおさめた。
城内に入るとマーシャが待ち構えていた。ミーシャが深くお辞儀をするとルーシーとメイドが同じように挨拶を返した。そしてマーシャが
「お着物が濡れてしまいましたね、ひとまずお召し物をかえて、お茶でもいかがですか」
私はいたずらをした子犬のようにマーシャを見ると意外にもマーシャはにっこりと笑ってかえした。二人はマーシャに連れられて客室に入って行った。それから将軍達が集まって話をしたがため息をつかれ
「軽率な行動はお控えください、今は皇帝側が絶対有利ですが魔王が復活して結束すると絶大な力を発揮しますから」




