少年皇帝
神官長はトリアから帰って来た。魔物をとらえて塔の牢屋につないでいることを告げられると魔物を見に行った。そして見ると言った
「どうしてこんなところに囚われたままでいるのですか、逃げるのは簡単ですよね」
魔物、ベーゼルは特に何も表情をかえずに寝転んで言った
「確かに逃げることは出来るが、ここにようがあるのだよ。ただ逃げるのは簡単ではない、なぜなら聖剣がさやから抜かれた状態なので私の魔力はかなり落ちている」
いぶかしげに顔を覗き込む神官長は
「前の神官長様から聞いたことがあるのですが、あなた、ベーゼルは魔物にして初代の皇帝に仕えていたのではないですか。私は信じられなかったので冗談かと思っていたのですが」
ようやくわかるやつが来たと言った風に神官長に向かって下から見上げながら話をはじめた
「ほお、知っているのか、確かにそうだがあまり知られていない、私は外見が人族に似ているので魔力の無いものは誰も私を魔物とは思わなかったからね」
神官長は初代皇帝が転生したのでまた仕えるのか尋ねた。ベーゼルはめんどくさそうに天を仰ぎながら
「魂とか根源がそうだからって肝心のことを覚えてないのは悲しいね、私は今のところ様子見さ。奴が思い出さないとなあ、お前はあの話を知らないだろ、知っていたとしても黙っていてくれ、これは私と奴との問題なのだから。ただヒントをやるのはいいだろう。頭をひっぱたいて思い出すようにうながすのもいいだろう」
そういうと笑いだした。神官長も笑いながら
「あれは今の皇帝様も気付いていてなんとかしたいと思っているようです。あなたはいいパートナーになれますよ。しかしここに来るということはあなたのもう一人の主人であった魔王は転生してないのですね」
神官長がさぐりをいれると
「それは私にもわからない、モロとルーシーが転生していたとしてもわからんよ。魔王様が転生していたとしても人族の誰かとして生まれて自我に目覚めるまで本人も自分が魔王と分からないのだから」
まじめに話すベーゼルに対して神官長は
「自我に目覚めた魔王が人族をころして地上の征服に立ち上がるまでのつなぎですね。初代皇帝の時は魔王が討伐された後であなたは皇帝に従ったわけですが状況がちがいます」
ベーゼルは鋭い目で神官長を見て首をふった
「魔王様は必ずしも地上征服とか考えないよ、もしかしたら温かい人族の家庭に育って人族が好きになっているかもしれない、そうすると邪悪な私達を殺しにくることも十分にあるさ。そんな時に私は魔王様の友達になれるようにしたいのさ。もちろん邪悪になった魔王様にも使えることができるが。だから初代の皇帝は人族の生活の安定をかかげて国造りをしたのだろ、どこに生まれるかもしれない魔王様が優しい魔王に育ちやすいように」
神官長はゲームを楽しむかのようなベーゼルの態度に怒りを覚えた
「あなたは馬の繁殖と飼育をこの国に残して皇帝様が死ぬとともに姿を消した。今度の仕事についてそれとなく伝えておきます」
ベーゼルは舌打ちをして目をむいて言った
「まったく頭のいい女だ、だが言っただろ、その先は皇帝に気付いて言ってほしいのさ、魔法の呪文だよ、この俺様を従わせる」
ベーゼルは神官長に背中を向けて寝てしまった。私はそのころ魔力のコントロールが上手くいかず魔導団長の熱血指導を受けて気分が落ち込んで、不安や痛みを食べてくれる猫を連れてくればよかった、と考えていたころであった。
私はこんな劣等生だとは、予想はしていたが。大空を飛ぶことも干物をあぶることも出来ない皇帝様だ。ミアやヴィオラは妹やメイドと食事を作ったりして楽しそうだ。私はご飯が楽しみでしょうがない、他に楽しみが無い、達成感が無いのだ。だが魔力は増大しているらしいが気晴らしに大きいのを撃つのは禁止されている。




