少年皇帝
捕らえた魔物はずっと何も話さなかった、だがあるとき皇帝に会いたい、と言った。言葉巧みに自分の側に取り込もうとするらしいが神殿内では魔力は発揮されないらしい、私は会うことにした。まがまがしい外見かと思ったが普通の姿をしている、私は
「こんにちは、私が皇帝のアスマスです、はじめまして」
魔物は、こちらを見ると
「何年ぶりか、私を覚えていないようだが、やはりお前は転生していたのだな」
一代目の皇帝と面識があるようだ、そして魂をみることが出来るのか、そこそこ高位の魔物のようだ。もしかしたら取り込もうとして嘘を言っているのかもしれないが
「もうしわけない、私は忘れているようだ、あなたの名前はなんと言うのか」
魔物は薄ら笑いをして聞き取れない言葉で言った
「・・・・だよ、本当に忘れているのだな、お前らはベーゼルと呼んでいたが」
私は少し思い出した気がした。初代皇帝ではなく前世の記憶かもしれないが
「ベーゼル・ブブさん、あなたは昔から存在するのだね、今回の触媒で生れたわけではなく呼び出されたということか」
ベーゼルは喜んで
「すこし思い出したようだが、そんな質問をしているようではまだまだだな。私は見に来たんだよ、自分の意志でね、お前のつらを拝みに。しかしチビだな、人族はすぐに大きくなるようだが、重臣どもにあやつられているだけだろう」
何か因縁があるのだろうか、初代皇帝の日記でもあればわかるのだが
「本当に分からないのだ、何か約束でもあったのだろうか、教えてくれないか」
ベーゼルは、話してもお前は信じないだろうお前が思い出さないと意味がない、そう言った。だが最後にヒントをくれた
「神官長が生きていたら教えてくれただろう、エルフ達はまだ生きているか、ただあいつらは私を良く思っていない」
前の神官長が良く思っていた、と言うのも信じられないが。色々なことを知っている古来の魔物なのでしばらくここに置いてみることになった。エルフ達に聞いてみなければならない、ウズは知らないのか。
ダンジョンでウズに聞いてみたが、知らない、とのことであった。ただ気になることを言っていた
「初代皇帝は嘆きの井戸にすべての魔物を落としたわけではなく、人族に有益な者は落とさずにいた、そういうのは聞いている。そいつに有益な何かがあるのかもしれないな」
こんどエルフに聞いておいてやると言っていた。はたして有益な魔物はいるのだろうか、常にいさかいを仕掛けて人族を食べる者たちとの印象しかない。
ハイエ宰相は今回の騒動はトリア国の王と宰相による触媒の設置と暴走だと結論付けた。もちろん触媒を暴走させたきっかけは私のエネルギー弾なのだが、そもそも自衛的な攻撃でトリア国が辺境の地に魔物を送り込まなければ何も起きなかった。今後は国家として存続させるが賠償を求めると言っていた。
しかしそれ以外に、触媒の力によって一国を破壊するまでに至ったことに周辺の国々は驚愕しそしてこの力を手に入れようとするだろう。さらにテロを企んでいる集団がこの技術を入手した場合は大変なことになると言っていた。今回アスマスで測定した魔法の周波数は触媒の作成のヒントになる、そしてトリア国の持つ触媒の組成も非公開として封印することにした。
もし触媒を手にできた国家または個人がいてもアスマスには触媒を吹き飛ばすことの出来る私がいるので攻められることは無いだろう。さいわいにして上位の魔物であるベーゼルはこの触媒によって生成されていないようなので、安心できる、せいぜい中位までなのだろう。
周辺国は有事を考えてアスマスと親交を結ぶために外交使節団を派遣して様々な贈り物を持って来た。様々な宝物に果物や肉に奴隷などである。山岳地帯に領土を持つ貧乏な小国は少女を贈り物として置いて行った、おそらく皇帝が好色だと伝わっているのであろう。ミアが、どうします、と言ったので、私はこういうことは悪いことだという意識と、そういう欲求がないので、国に送り返そうか、と言うと、国に戻ってもひどい目にあってしまいます、と言われたので
「マーシャになんとかしてもらえないかな」
そうお願いすると、ミアは、分かりました、と言ってメイドに組み込んでもらった。しかし少女は国から言い渡されていた使命と違うので、側室に加えてくれ、と頼みこんでいたが、マーシャが
「ここがそうです、皇帝様に気に入られたら夜の相手をします」
と言われて納得していた。そんなことがあったのは前の皇帝の時だけであるが。
少女と一緒に送られた鶏のような鳥が数羽いたのですぐに食べないで繁殖させるようにマーシャに頼んだ。少女が鳥の生態を知っていたので鳥の担当にして飼育小屋を作って世話をしてもらうことにした。




