少年皇帝
「やはり魔法量の調節は急務ですね、もうちょっとで死ぬところです」
魔導団長はぼそりと言った。私とソフィアは抱き合ったまま陣地に帰り着いた。二人の体に巻いていた縄をはずそうとしたが結び目が固くてほどけない、魔導団長はすぐどこかに行ってしまった。ラアラが、俺が切ってやるよ、と言ったが、リオニが笑いながら
「だからお前はだめなんだ」
そういわれると、はいはい、と座り込んだ。しかしハーフエルフが何でも切れるナイフでスパッと切ってくれた。そこではじめて気づいたかのようにソフィアの家臣たちはいっせいに
「ご無事でしたか、姫」
と言ったのである。ソフィアはやつれたようなでも生気にあふれているような顔でみなをみて
「全員そろっていますね、良かった、ゆっくりしてください」
そういってソフィアも座り込んだ。私は今後の予定を聞くために宰相たちのところに行った。
宰相はトリア軍に対して城にいる魔物の掃討を急ぐようそくした。姫たちはすでに救出済みなので荒っぽい攻略方法が出来るからだ。そもそも城の高層部分は私が吹き飛ばしたので存在しない、仕事は少ないはずだ。なかなか攻勢にでないトリア軍にいらだった宰相は私の名前で王に親書を送るよう提案した。内容は、私達の精鋭が王城から仲間を救出するさい姫たちと家臣も救出した、いかがいたしますか、短いがこれで様子をみるようだ。
返事はすぐ来た、姫の救出感謝いたします、すぐに迎えに伺います、これに対して、では掃討戦がお済になったらおいでください、そうかえすとトリア軍は城の魔物に攻撃を開始した。戦略上姫たちを見捨てたと思っていたが実際に生還したとなると違うようだ。要求をのんだ国王に対して宰相は姫たちを交渉の材料としてメッセージを送った。魔物を生み出す触媒は私達が処分しました、触媒は何を目的に作りましたか。これに対する国王の回答は潔く、すべての責任は私にある、私は王座を降りて王子を新しい王にしたいと思う。王子はまだ3歳なのでこのままだと現在の王と宰相による院政になるだけである、そこで宰相をアスマスから出すことを納得させた。これによって属国まで行かないが庇護下に入るため他国からの侵入などの心配がなくなった。
気分を良くしたハイエ宰相は王子の妻をアスマスから出すことに取り決めた。はじめミアに声がかかったが、まだ3歳じゃないですか、と取り合ってくれなかったので相手は後ほど決めることにした。前の皇帝が作った子供で一番若いのは私なのでそれから下はいない。まあ誰かが生むまで待つことになるだろう。
ヴァレンティーナ達は日が明けるころには掃討戦に参加するために城に向かった。アルバンも、今回なにもしていないから、と言ってハーフエルフと共に城に向かった。
徹夜で駆けつけた騎士団が到着したころには日がのぼっていた。エーリッヒ将軍は
「大勢は決しましたか。私は何もできませんでした」
そう言ってさみしそうであった。トリアの諸侯は私のところに戦勝のお祝いにつめかけていた。そうこうしているうちに掃討戦も終わって、ソフィア達をトリアの新しい王の元に帰して私達も国に帰ることにした。トリアの宰相にはハイエ宰相の副官を任命した。
アルバンとハーフエルフはトリア国に残ってそこからさらに奥にある国に行くそうだ。そして神官長はトリアの神官に会ってから遅れて帰国することになった。
帰国する途中、馬車の中でミアが
「その猫すごくあなた様になついてますね」
・・連れてきてしまった。追い払っても追い払ってもいつのまにかまとわりついてくるので、もらってしまった。第四王女から奪ったような感じだが、第四王女も、私にも必要ありません、と言っていたので遠慮なく。苦痛とか痛みを食べるらしいが私からなにか出ているのだろうか。ソフィアは半年後にアスマスに来るそうである、本来なら成人する直前に結婚するらしいが、もう会って抱擁しているしいいだろうということになった。
短期間で2回目の凱旋であった。




