魔物の帰還
エルフとはこんなにすごいのか、まるで神に会っているようだ、すべてを見ていたのか、私は何を聞いていいのか分からなくなったが
「私には何か役割があって今ここにいるのですか」
リーシャは
「ええっと、勘違いしないでね、私たちエルフは聖霊達と話をすることが出来るのでよく聞いているだけですよ、いろんな噂話をね、天界に行く聖霊もいるので。あなたが生まれたことも私が洗濯物を干しているときに聖霊から聞いたし、死んで蘇ったことはご飯の支度をしていたときに聞いたのですよ」
ガイルは笑いながら
「お前がもやもやしているだろうことを話しただけだ。そして俺らは懐かしくて会いに来たんだ、お前がどんなつらをしているか見たくてな。そしてちったあまともなつらなら、おまえから預かっていたものを、人に託してもよかったんだが、お前が前の命をもう一回途中からはじめられるように、我々に託したものをお前に返しにきたんだよ」
ガイルがそういうとリーシャが剣を取り出した。
「あなたの根源が所有する剣、あなたが多くの犠牲と努力を引き換えに神からもらった聖剣を返しにきました。今のあなたは幼いので振ることは出来ないでしょうが、あなたの根源が天に帰った後も消滅せずに地上にあったので、そのうち帰ってくるのだろうと思って持っていました。
・・さてと、こんな物騒なものを持っているのは疲れましたよ、私たちの仕事はおわりました」
聖剣が旗印となって人族同士の戦乱になることを危惧してエルフに預けたようだ。立ち上がろうとするエルフに、ミアが
「あの、よろしかったら泊まっていかれませんか、肉を使わない食事も用意できますし」
私がそう言うべきなのだが、私は何がどうなっているのか分からなくて言えなかった。エルフたちは、一泊しに来たのだよ、いつ誘ってくれるか待っていた、と言いながら、懐かしい城の中を見ながら神官長をしている知り合いに会いに行くと言って、神殿に向かった。
神殿ではセレストが対応した、神官長は初代皇帝の勇者時代からの仲間でヒーラーをしていた。人族だが神官職なので長寿なのであるが、長すぎる。
ガイルは笑いながら
「美貌を誇ったお前もすっかり婆だな、もう生きているだけだろ、さっさと死んで戻って来いよ」
セレストは少し怒り顔になったが平静をよそおって
「神官長様の体調はよろしいのですが、すこしお優しくお願いします」
困り顔のリーシャは神官長に話しかける
「お久しぶりね、あなたのことは聖霊達から聞いていました、ずっとこの国を見守ってくれてありがとう、聖剣を皇帝にわたしたのですぐにいけるでしょう」
セレストは自分の耳を疑った。神官長はしっかりした口調で
「この糞ガイルが苦しんで死ぬところを見たかったがそれも叶いそうもないのが心残りだ、しかしすでに糞いまいましい魔王の呪いもとけるのを感じる。リーシャととりあえずガイルには感謝しかない、長い時を超えて私のあの戦争に幕をひける。
セレストに次の神官長を任せましょう、皆を集めてください、宣言しましょう。
リーシャと、もう一人いたな、ああ、ガイルか、お前も見届けてくれ」
ガイルは大笑いしながら
「まだ元気そうじゃないか、昔のままで安心したよ、まあ、死ぬのだけどな。
お前は良く働いたよ、神の名のもとに参戦したお前を殺すことが出来なかったのだから、あいつらは頭にきて最後に呪いをかけたのだよ、美しいお前が老いさらばえるのを無限に見続ける不死の呪いを、それから解放されるのだ、祝わずにどうする」
セレストは意味が分からぬまま神官たちを集めた。神官の人事は専権事項なのでこの場で決着がついた。即日公に宣言してセレストは神官長に就任する。
セレストは神官長に対して、自分に重責が務まるのでしょうか、と質問した
「あなたなら大丈夫ですよ、天使様とお会いしているし、ここの誰よりも資格があります。すでに私のすべき仕事をすべて代行していますから。癒しの力は無限です、あなた次第でいくらでも伸びます、これからも精進してください」
丁寧な口調で言った。セレストは名前を捨てて神官長となった。
その夜、エルフたちは皆と食事をしながらたわいの無い話をした。リーシャが
「もう一人いませんでしたか、エルフがダンジョンに。あれはどうしました」
私が
「自分の村に帰りましたよ、ウズがそうしてくれと言ったので、エルフの森に近いところだと思います。最後まで名前を言わなかったので、ハーフエルフと呼んでいました」
リーシャが困り顔で言った
「あれもアスカムですよ、あなたと同じ血を持つ」




