魔物の帰還
議会場で調査結果が報告された。
調査官が建物の模型の位置を示しながら
「帝国内外の総ての観測地点におけるエネルギー量の積算値から時間のズレを修正してマスバランスをとったところ、先日の遠征で5体の魔物を討伐した際に同時に破壊された建物はトリア国の魔導研究所と断定でき、建物内には魔物の塊がおよそ100体いたと試算されております」
「100体の魔物は、魔物討伐において皇帝陛下が放ち、裂けめに吸い込まれたエネルギーによってすべて爆発消滅したと推察されます。爆発消滅した魔物のレベルはエネルギーの概算値を算出し、この計算式から中程度を最高とし、以下低位の魔物で構成されていたと考えるのが妥当です。通常自然状態では低位の魔物が大量に集積されることは無く上位の魔物が率いるものですがそれは観測されておりません。このことから魔物は人為的に作成された可能性が高く、その方法は魔界への出入り口を作りそこで魔道具を触媒として作成されたものと考えられます」
「現状では触媒の効率は落ちています、ですが観測点の魔力が増大していることからまだ魔物を作りだしている状態です」
以上の報告をうけてハイエ宰相はトリア国に疑念を伝えたがいまだに魔力の増大が続いており、これは帝国に対する戦争行為と断定できる、と言った。
「ただし、なにがしかの実験中に反応が暴走している可能性も否定できないので現在魔導士の派遣を検討している」
とのことであった。まあようするに私の婚約者の国が魔物を使って攻めてくる可能性があるのか。婚約を進めておいてなんだろう。まあ今できるのは侵攻された場合の対処方法なので、将軍達と本来の団体戦のフォーメーションの確認を行った。
宰相、騎士団、魔導団と私が
補給陣地
宰相(三種の神器)
皇帝
魔導団
騎士団
敵
こう並んで、魔導団が砲撃とシールドを維持しながら敵の陣地を騎士団がとっていくのだが、大きな陣地は私がつぶして戦略の変更を宰相が行うことになっている。場合によっては魔導団が空路輸送して後方におろしたりするのだが。侵略と侵攻はこれでいいとして、城を攻める場合のシミュレーションも行った。まずは私が敵の魔物を製造している建物と城門を破壊して騎士団が侵入、その間に魔導団が敵の王様とお后をとることになっている。トリアの魔導団は爆破で壊滅状態なのでわりとはやい決着が出来るのではとのことであった。本来魔導団と皇帝は飛行するのだが私が出来ないので魔導団に持ち上げてもらうことになった。
ちなみに魔王および魔王将軍戦は皇帝との一騎打ちで決着がついたら負けた方を殲滅する。
いっきにきな臭くなった。マーシャは、何かの間違いでしょう、と言っていた。なぜか説得力がある。だが、戦争が始まったらダンジョンへの道を閉鎖してくれるようウズに言ってくれとミアに頼んでいた。母親は私を膝の上にのせて、トリアの姫とメイドを助けてあげてほしい、と言っていた。なにかつながりがあるのかもしれない。
戦争の準備をしながら過ごす日々が続いて忘れていたのだが、ミアが
「ダンジョンにあなた様に会いたいというエルフが来ていたので連れてきました」
廊下に出るとフードをかぶった私ぐらいの背格好の少女と同じくフードをかぶった大柄な男が立っていた。
少女と男がフードを外しながら
「あなたが9番目のアスカムね、よろしく1番目のアスカムの母で、リーシャ・アスカム」
「俺はコイツの兄貴だ、コイツの護衛でもある、そして1番目のアスカムのおじさん、いや兄弟で、ガイル・アスカム」
エルフは長寿だと聞いていたがこんなことがあるのだな。生き証人だ。見た目は少女と青年だ。
「まあ育ての母ですけどね」
「あいつはコイツが森で拾ったのだよ、俺は捨てていけって言ったんだけどな、コイツが育てるってうるさくて、人族はすぐに死ぬからやめろって言ったんだ、実際根源の寿命より早く死にやがった」
ミアがお茶を出してくれた、やはり同じアスカムなので興味があるようだ、かたわらで聞いている。私が
「わざわざお越しいただいてありがとうございます、これまでの皇帝にもお会いしていたのですか」
リーシャは
「いえいえ、私たちはずっとダンジョンまでは来ていたのですよ、ですがダンジョンに来たものがいなかったので会いませんでした。それにアスカムでしたが違う根源なので、あなたは一番目のアスカムの根源を持っているとウズから聞いたので、ウズもあなたが一番目のアスカムの根源を持っているのでダンジョンまで通したと言っていましたよ」
ガイルは
「お前の根源はもう浄化されているなあ、魔王にけがされた根源を何世代もかけて生死を繰り返させて浄化したんだよ、お前の肉体にいた前の根源が離れたとき女神が日本の持ち主から抜き取ってお前に入れるべくセレストにわたしたのだよ、慌てたのかまっさらではなく前の持ち主の色が残っているが、まあいいだろう悪くないよ、生き返る可能性もあったが、これも運命よ」




