小説家になろうで作品を完結させるメリット・デメリット〜ついでに完結作を増やす方法も考察したよ!〜
あくまで一個人の感想です。
エタる、という言葉があります。
これは、創作物(特になろう作品)が完結しないことを指す言葉だそうです。
語源は『エターナル』、つまり物語が永遠に完結しないから、永遠の意味があるエターナルより、エタるという言葉が生まれたのです。
この言葉が出てきてからというもの、その言葉だけがやけに取り沙汰されるようになったと思います。しかし、元より創作物が未完のまま放置されることはよくあること。それは、別になろうに限った話ではありません。
商業ラノベ、商業漫画などでは作者の死別というケースを抜きにしても、未完のまま物語が終わっていくなどということはよくある話です。
しかし、あいも変わらずネットの世界では『エタる』という言葉が散見され、数年動いていない物語ならまだしも、数ヶ月、ひどい場合は数週間空いているだけでも『エタりました?』なんて感想がつくこともしばしば……。
この状況に対して、何か出来ることはないかと思いたち、本エッセイを書くことにした次第でございます。
私は大したことのない作家ですが、『エタる』という言葉に対して、一応完結率100%として、小説家になろうで物語を完結させ続けた上で感じたメリット・デメリットをお話させていただきます。
そして、最後には全体を通じてエタ作品をいかにして減らしていくか、というのを読者側・作者側の視点の両方から具体的な行動とともに紹介させていただければと思います。
【その1】なろう作品を完結させることのメリット
では、さっそくメリットの方から見ていきましょう。
しかし、メリットを文章で書き連ねたところで読みにくいと思いますので、箇条書きで書かせていただきます。また、ここでのメリットとは、あくまでも作者の視点であることを納得していただけると幸いです。
メリット
・物語を完結させたという自信と、実力を得られる。
・完結時にPVが増える(1日平均2桁PVが完結してから5桁になることも)
・読者の方から『他が完結してるから安心して読める』と感想をいただける。
・逆お気に入りユーザーが得やすい(……かも)
これが、完結することで得られるメリットになります。
いかがでしょうか?
この中でも、私がエタ作家に強く言いたいのは二番目のメリット、即ちPVたくさん増えるよ! ということであります。しかし、それ以外のメリットに関しては正直、強く他人様にはお勧めできません。
というのも、再現性が薄いからです。
完結した作品のPVが増えるのは、『完結ブースト』という名前がつくほど、私だけではなく数多くの作家の方が経験している事象です。しかし、他のメリットについては私自身、他の作者様よりそういった話を聞いたことがないのです。
え、完結したら感想がたくさんもらえるじゃないかって?
残念ながら、世の中には完結しても感想などいただけない作品がたくさんあるのです。というか、感想が欲しいならランキングに乗ったほうがよっぽどいただくことができます。感想が欲しい、という観点で見るなら完結はおすすめできません。
【その2】なろうで作品を完結させるデメリット
では、次に避けては通れぬデメリットについて触れて行きましょう。
勉強不足の身で恐縮ではありますが、この点について触れてあるエッセイはそう多くない印象です。こちらも、先程のメリットと同じように箇条書きで記して行きたいと思います。
デメリット
・ブクマが減る。
・完結にこだわると新しい作品を書けなくなる、あるいは書きづらくなる。
・したがって書籍化チャンス、ランキングに乗るチャンスが減る。
・作者の作品への熱が冷めた時、何も書けなくなる。
デメリットに関しては、一つ目を除いて完結させるまでに発生するデメリットを記しました。
とは言いましても、ここに載せたデメリットも全て作者視点のものばかり。
読者の皆様方に置かれましては、あまり馴染みのないデメリットもあると思いますので、ここで解説させていただきます。
まずひとつ目のブクマが減るですが、これに関しては説明ももはや不要でしょう。完結したから、続きを追う必要がないのでブクマを外す。特におかしなこともない普通の心理ですが、作者にはこれが効きます。
完結、というのは読者の方が思う以上に労力と時間を割くのです。それだけの労力をさいて、完結させたとしてもブックマークは外れてしまう。これによって、作者の心には重くダメージがのしかかるのです。
では、二つ目と三つ目をまとめて見ていきましょう。物語を完結させるためには、物語の続きを書かなければいけません。つまり、自身の持っているリソースを既存の作品に費やしてしまうため、新しい作品に割くリソースがなくなってしまうのです。
作品にリソースってなんやねん。五分くらいで読めるし、書くのもそれくらいやろ!
と、思われる読者の方もいらっしゃるかも知れません。
作者の方であれば実体験として知っていることでしょうが、読者の方はなろうの1話が書かれるまでに一体どれだけの時間がかかっているのかご存知でしょうか?
これは、人によっても、1話の長さによっても異なるものなのでさくっと私の方でアンケートを取っておきました。集まったのは202票。決して多くはない数字ですが、少ないということもないはずです。
ではどのようになったのか。
私は『1時間あたり平均して一体どれだけの文字数を書くことができるか』という質問を行います。
その結果は以下の通りです。
〜1000 :42%
1000~2000 :41%
2000~3000 :10%
3000~ :7%
このような数字になりました。
小説家になろうのランキングに乗っている作品の1話あたりの文字数はだいたい1500文字から3000文字と言われています。つまり、8割以上の作者が1話を書くのに2時間、3時間近くかかっているのです。
そして、ランキングでは毎日更新が前提となります。
そのため、毎日2時間、3時間の時間を既存作に割いたあと、新作を始めようと思えばさらに時間を割かなければ行けないのです。
これが、既存作を書きながら新作を書くことがいかに厳しいかということが分かるかと思います。
では、さっさと既存作を完結させてしまえば良いのではないか。
そう思う読者の方もいらっしゃると思いますので、4つ目のデメリットと重ねて説明いたしましょう。
まず、作者というのは作品に対して抱く熱量というのはいつでも一緒というわけではありません。まるで波のように、ムラがある作者さんがほとんどだと思います。
そのため、波が沈んでしまうと一日に2時間、3時間も取って新しい話を書くというのがとても重労働に思えてしまうのです。そうして、書けなくなります。その気分転換に新作を書く、というのはありふれた行いです。
しかし、完結にこだわると書けなくなった時、その作品はエタります。
ただでさえ、完結させることにこだわらない現状でも、このエタリ率です。
もし完結を強要してしまえばどうなるか。
その結果は推して知るべしでしょう。
【その3】じゃあ完結作品を増やすためにできることって何があるの?
では、本エッセイの主題に行きましょう。
エタ作品を減らし、完結作品を増やすためにはどうするべきか。
今回は読者視点・作者視点の両方からアプローチして行きたいと思います。
『読者視点から』
まず、もっとも簡単なのは完結している作品を今まで以上に読むことです。すると、完結すると読まれるんだということが作者の側に伝わります。小説家になろうにあげている作者というのは大なり小なり多くの人に読まれたいと思って作品を投稿しています。
そのため、完結作品にPVがつくことがより多く知り渡れば完結させる作者も増えてくるでしょう。
また、PVを増やすだけではなくページ下部にある星評価やブックマークも完結作品を増やすのには有効な手です。誰だって、自分が一生懸命書いたものを評価されたら嬉しいものです。
それが、完成したものであれば尚更です。
ですので、読者の視点からエタ作品を減らそうとするのであれば、完結した作品を読む、評価をする、ブックマークを入れる、ということになります。
とても簡単なことですね。
つまり、完結した方がメリットがあるということを作者の側に伝えることが大切なのです。実利は大切です。
『作者視点から』
では次に作者視点で参りましょう。
私が物語を完結させる上で大切なのは大きく分けて2つあると思います。
1つ目、プロット。
厳密に書く必要はありませんが、始まりから完結までの大まかなプロットが用意してあれば今までより容易に完結させることができるでしょう(激ウマギャグ)。
いえ、これは決して冗談ではありません。
完結まで行かない理由の1つに、最後のシーンが思いつかないからというのがあるのです。しかし、予め考えておけばそのような事態を避けることができます。
2つ目、完璧にこだわらないこと。
ある意味で、これが一番大切かも知れません。人は誰しも自分の作ったものの完成度を上げたがるもの。そのため、あーでもないこーでもないと悩むものです。それ自体は大変素晴らしいことですが、しかしいつまでも悩んでいても作品は完結しないのです。
ですので、完璧思考を捨てて一度『これでいいや』と思ってしまうことも大切です。
そして、一度完結させると完結癖が付きます。
どうすれば物語を上手く完結させることができるのか、ということが段々と分かってきます。
こればっかりは、完結させないと身につきません。
最初から上手くいくことなんて、世の中そう多くありません。
それは、完結に関しても同じです。
ほら、小説家になろうに出てくる主人公たちもモンスターを倒してレベルアップしているじゃないですか。作者は物語を完結させることで完結力がレベルアップするのです。
【その4】最後に
さて、皆様。いかがでしたでしょうか?
なるべく、誰でもできる再現性の高いものを抽出して皆様に提示させていただきました。
では最後に一言でこのエッセイをまとめましょう。
物語がエタるのは、作者にとって完結させることのメリットが薄いから。
これだけです。
つまり、完結作品を増やすのであれば、完結することに対してメリットを付与すれば良いのです。他ならぬ、貴方が。
たった1人で? と、お思いでしょうか。
1人でできることなどたかが知れてる。と、お思いでしょうか?
残念ながら、それは大きな勘違いです。
作者にとって、ブックマークの数字が1つ増えることがどれだけ大きなことか。
作者にとって、評価の星の数字が1つ増えることがどれだけありがたいことか。
これは、実際に書いてみないことには分からないものです。
しかし、1人でも多くの方に読まれたいと思ってしまうのが作者の性というものなのです。
そう、1人でも良いのです。
このエッセイが、皆様のよきなろうライフの一助となれば幸いです。
では。
【その5】作者の個人的一意見
ここからは個人的な意見となります。ですので、ここまで読んで満足という方は読み飛ばしていたても構いません。
正直、私は完結させろと他人に強要することも言うこともできません。
それは、これまでなろうに連載している全ての作品を完結させているからこそ思うことです。
完結、というのは非常に大きなエネルギーを使います。
読者の視点であればまだしも、一作者として同じ物書きにそれだけのエネルギーを使えと強要することは、出来ないのです。
なろうには、自分も書いてみようと楽しんで書き始めた方々がたくさんいます。
私は、完結ということを意識しすぎてガチガチになるよりも、自由に楽しんで創作することができれば、それが一番だと思っています。
それが、私の個人的な意見です。
まぁ、私はこれからも全ての作品を完結させていきますのでよろしくお願いいたします。
ではでは。
ここに記載していないエタりの原因に思ったよりもランキングで伸びなかったから、というのがあります。
つまり、自分が期待していた以上の評価がその作品では得られなかったことからエタるのです。
しかし、これについても完結させることで読まれるようになりポイントが入り、完結作のほうがランキングを上がれるようになれば、この問題も解決します。
つまり、エタを防ぐのは貴方のブックマークと星評価なのです!
このエッセイが面白いと思っていただけたのなら、ぜひこのページ下にある『ブックマーク』と『★★★★★』にしていただけると幸いです。貴方のワンクリックがエタを減らすのですから!