~第五章 異種間コミュニケーション~
さて、やっと5話目ですね。今回はまた新たに新キャラが出ますので、是非最後まで読んでやってください。
更に社員が増えたこの日、アリーナが空間から現れる。
「あらあら、相変わらずね~」
あんたの言動も相変わらずだよ、と言いたいところだが、ここは我慢しておく。
「ア、アリーナ様!?」
そういえばエルフちゃん、前も"様"付けだったような。まあ、気にしないが。
「そういえばレイエスはここで働いていたのだったかしら?きちんとやってる?」
「はい!もちろんです!」
「本当かしら~?ライアー?」
いきなりこっちに聞いてきたよ。まあいいけど。「ええ、しっかり働いていますよ。」
「それはよかったわ。ところでそれは何かしら?」
銃を指さす。
「あぁ、これは銃という武器の一種です。」
「あら、武器なの?」
やはり銃を知らないようだ。
「試してみますか?」
「私たちは魔法があるからいいわよ。」
「そうですか...」
「アリーナ様、この方は相当すごいものを作られたのです!」
あらら、カタリナさんまでヨイショしてくださった。
「いえいえ、そんなにすごいものでもないですよ。私のいた世界では普通の物です。」
「それはどんな武器なのかしら?」
そうしてアリーナに説明をする。
「へー、ギルドに使えそうなものね~。ねぇ、コレを全世界に発表してみない?もしかしたら武器として採用するんじゃないかしら」
いきなり学会発表かよ。まあ、面白そうだけど。
「ええと、取り敢えず全世界に向けてではなく、厳密にギルドのお偉方に発表するほうがよいかと。」
「うーん、たしかにそうかもね~。じゃあ、そうしましょ!」
そんなこんなで早速ギルドへ向かう。メンバーはアリーナを除いて全員である。そうして受け付けの給仕さんにこの事を伝えると、
「アリーナ様から承っております。どうぞこちらへ」
と、普通に通ってしまった。ギルドのお偉方の事は実は全くもって知らないため、どんなお爺さんが出てくるかと思ったら、出てきたその顔には見覚えがあった。アーノルである。
「これはこれは、この間のお嬢さん!その後いかがですか?」
「先日は助けていただきどうもありがとうございました。元気にやっております。」
「いやいや、当然の事をしたまでだよ。ところで今日はどんな用事で?」
「実は新しい武器を開発したのです。今回はそれを厳密に発表したく、こちらに伺わせてもらいました。」
「ほう、武器か。詳しく聞こうではないか。」「こちらになります。」
そういって銃を差し出す。
「これはいったい?」
「"銃"という武器です。」
「銃?聞いたことないな。いったいどのように使うのかね?」
そうして説明をする。
「なんと、そんなことが!」
「殺傷能力も非常に高いため、武器になるのではないかと。」
「ふむ。ただ、量産ができない点と剣術か弓しか使ったことのない者には不向きではないかと思われるが。」
「そこで、現在こちらのカタリナさんというハイエルフ属の金属加工職人をつけさせてもらっています。もうひとつの剣術の方々の問題ですが、銃の下部に短剣用の替え刃を取り付けられるようにすればよいかと思いました。」
「替え刃を使うというのか、面白い。わかった、量産ができるまでになったら正式に公開しましょう。」
「そこでもうひとつの提案がありまして。」
「おお、言ってみなさい。」
「ギルドと提携したいのです。やはり金属も入手のメインはギルドということなので」
「ギルドと!?う、うーんまあ量産にも繋がり、ギルドはさらに発展する...うむ、いいだろう。」
するとギルド総長の隣に座っていた副総長とおぼしき女性が言う。
「総長!もう少しゆっくりお考えになってください!...あ、ライアーさんでしたか、すみませんもう少しお時間いただけないでしょうか?」
「ええ、もちろんですよ。では決まり次第こちらの住所に。必ずマスクを装着して来てください。」
「申し訳ございません、ありがとうございます。」
「いえいえ、では私共はこの辺で。」
そうして交渉は成功したと同時に保留ともなった。帰り道、夕飯を買いながら会社兼住宅に戻る。エルフさん達とは途中で別れた。
「ただいま~」
誰もいない建物に言う無事の言葉。いつもならそれでシーンとしている。が、今日は違った。
「うぅん...」
誰もいないはずの社内から声がする。急いでランプをつけると、そこには小さな女の子が。かわいい。妹にしたい。そのくらいかわいいのである。が、今ここでは不審者にすぎないので、あらかじめエルフさんに睡眠草をとって来てもらい、麻酔弾を作っておいたのでそれを今日の学会発表でギルドに紹介したMK-23に装填し、安全装置をはずす。
「うぅん...だれ...?」
眠っていたのだろうか、少しだるそうに体を起こしながらこちらを見ている。
「お話ししてくれるの...?」
どうやらまだ寝ぼけているようだ。
「え、いや、一個聞くけど、きみこそ誰?」
「いいから、お話し...」
そうして気づく。もしかしてギルドで聞いたのはこの子のことではなかったのか、と。考えれば考えるほど納得がいく。そしてもうひとつ思い出した。話を聞いてやらないと魔法で殺されるとかなんとか。じゃあ、いっそのこと聞いてやらないと言ったらどうなるか試そうじゃないか。
「ごめんね、今日は忙しいんだ。夜も遅いし、今日は一回お家に帰ろ!ね?」
「お話し、する...」
うーん、しぶとい。ちょっと話に聞くよりしつこいかもしれん。そんなことを思った矢先、いきなり向こうが攻撃を仕掛けた。
「聞かないなら、死ぬべき」
何て事言いやがる。ただ厄介だな。現時点ではこっちのほうが圧倒的に非力である。そんな事を思いながら、一応は攻撃を避けてるのはギルドのお陰かもしれない。そうして気づいた。銃を使えばいいんだ。
バンッ!
「!?...スヤァ」
どうやら相手もこちらの攻撃は予想してなかったようで、狙ったところに麻酔弾はひとっ飛び。見事麻酔は体内へ。あっという間に夢の世界へ。「ふう、この子どうしようか。とりあえずベッドで寝かせてあげよう。」
そうして翌朝。
「起きて、起きて」
誰かが体を揺さぶり、声をかけてくれる。
「うーん、、、」
あれ?そういえば昨日の女の子寝かせてあったんだっけ?
「!!」
「おはよう」
「お、おはよう。そういえば昨日泊めてあったんだっけ...」
「私のご主人...」
いきなりなにい言ってるのこの子。かわいすぎ。死んじゃいそう。一応理由を聞いてみる。
「えと、何で私がご主人なの?」
「貴方、私に勝った。だからご主人。」
あー、勝ったらご主人様系統のヤンデレなのねこの子。理解理解。いいね。そんでもって逆レ○プとかあったら申し分ない。あ、今女子だからレズになるな。まあ、レズ体験もいいな。って、なに考えてるんだ私は。
「ご主人、ご飯作る」
ご飯作れるのかなこの子。まあ、試してみるか。「じゃあ、お願いしようかな!」
「わかった。」
そういって俊足で外へ出ていった。5分後、服を篭のようにして材料を集めてきた。しかし、一瞬で食べる気が失せそうになる。色鮮やかなキノコ、ムカデのような節足動物達、目が4つもある謎の鳥、極めつけは蛍光色のミミズのようなものである。さすがに人間の食べるものじゃないと思ったが、自分はもう人間じゃないことに気づく。「調理場借りる」
「ご、ご自由に~」
さらに10分後、お皿に乗って出てきたものはやはり人間が食べれそうにないものだった。とりあえず頼んだのは自分なので一か八かで食す。ふむ、不味い。苦い。ねちゃってしてるけどボソボソしてて、カリっとする不思議な食感であった。味付けは特にないが、ミミズがなぜか酢じょっぱい。それが味の素になっているらしく、いわれてみれば大地のおいしいものってこんなものなのかと。そんな感じでぼぉっと考えていると、エルフさんが出勤してきたようだ。そして入ってきた瞬間にこう言った。
「しゃ、社長!何でこんなもの食べてるんですか!?しかもこの匂いは...全種族に効く麻酔草!今すぐ吐き出してください!」
「れも、このくひゃ味がしひぇおいしんだよ」
なんかろれつが回らないと思った瞬間、意識が途切れる。
次に意識を取り戻したのは夕方のことであった。
「うーん...?はっ!私はいったい何を!?」
「社長、気づかれましたか!よかった~」
「あの子は?」
「一応そこにいますよ。社長のそばに居ないと気が済まないようで。」
「そっか、ありがとう。その子は私を主だと思っているから、今度料理を教えるのと人間についても教えておかなくちゃね。」
「ご主人、ごめん、知らなかった。」
「大丈夫よ、心配かけたわね。レイエスももう遅いから帰りなさい。」
「で、でも」
「後はこのことやっていくわ。大丈夫。」
「そ、そうですか。ではお疲れ様でした」
「心配かけてごめんなさいね」
そうして不思議な一日は終わっていくのであった。
「小説は本文より実はあとがきを考える方が難しい。」という人が居るようですが、まったくその通りでございます。正直書かなくても良いのですが、それでも何かを伝えたいときは意外に便利だったりします。実の所、この後書きもそうですが、何も考えずに書いたりもしています。本文よりネタもないので、今回はこの辺で。
それではまた次回。