お疲れ気味の竜宮さん
「刀士郎さーん、疲れたー、だっこー」
「おう、こい」
私はソファでくつろいでいた刀士郎さんに正面から抱きついた。
すると、彼は太い腕を私の体に巻きつけ、ただ寄りかかればいいだけにしてくれる。
いわゆる対面座位。
だけど、今はやましい気持ちなんてこれっぽっちもなくて、純粋に刀士郎さんと密着していたいだけだ。
「よしよし、ユイはいつも家事がんばってくれてっからな。ユイと結婚してホントよかったぜ」
「えへへー」
頭なでなでしてもらいながらベタ褒めされるの超好き!
世の中には奥さんを褒めない旦那様が多いらしいけど、刀士郎さんと一緒だとまるっきり都市伝説に思える。
「……なあ、ユイ」
「なんですか?」
刀士郎さんがちょっぴり神妙な顔をした。
「俺と結婚してよかったのか?」
あー、これは刀士郎さんの悪い癖が出てますねぇ。
私は沈黙で話の続きを促す。
「正直、高校卒業と同時に結婚なんて早すぎたなって思ってるんだ。ユイにだっていろんな選択肢があったのに、俺はそれを根こそぎ奪っちまった」
刀士郎さんは、普段はすっごく頼りがいがある分、たまにこうして落ち込んでしまうことがある。
強面だけど中身は繊細なのだ。
今だって捨てられた子犬みたいな目をしていてたまらなく可愛い。
「友達と遊ぶ時間も何かを学ぶ時間もない。昨日聞いたんだ、道場を見学しにきた専業主婦の人から。ずっと家の中にいるのは退屈だって。結婚をもう少し遅らせればよかったって。だから、ユイもこれでよかったのかなって……」
「よかったに決まってるじゃないですか」
私は即答した。
刀士郎さんがぴくりと動いた。
「私は刀士郎さんと結婚してよかったです。確かに他の人と比べて選択肢は少なくなっちゃったけど、この幸せがあるなら構いません」
「ユイ……」
「物事を悪い方向に考えちゃうのは疲れている証拠です。刀士郎さんはがんばり屋さんだから特にそうなりやすいんです。ほら、おっぱい触って元気出して?」
私は立ち膝になって刀士郎さんの頭を胸に抱く。
お母さん直伝の励まし方だ。
「ん……」
刀士郎さんは私のおっぱいに頬ずりし、熱い吐息で服越しに肌をくすぐった。
あちゃー、下着外しておけばよかったなぁ。
とはいえノーブラで生活するのはいろいろと不都合がある。
仕方ないので、そこは脱がす楽しみが増えたということにしておいてもらおう。
「ユイ、シたい」
片手で私のお尻を撫でつつ、もう片方の手でブラのホックを外そうとする刀士郎さん。
呼吸はさっきよりも荒々しい。
ヤる気まんまんだ。
「はいっ、いっぱい気持ちよくなりましょうねっ」
かくいう私も抑えきれず、腰を前後に動かし始めていた。