ラッキースケベの竜宮さん
私はコスプレが趣味だ。
可愛い服を着たいのはもちろん、いろんな格好をすることで夫婦関係のマンネリ化を防げるし、何より旦那様に喜んでもらえる。
「今日はどれにしようかな〜」
私はタンスの前で唸った。
昨日の夜は婦警さんの衣装を使った。
私が刀士郎さんの体を隅々まで取り調べるという設定だったのだけれど、いつのまにか攻守が逆転してしまい、結局〝テロリストに捕まってひどいことをされちゃう婦警さんごっこ〟をして楽しんだ。
手錠で自由を奪われたあと、刀士郎さんの好き勝手に体をまさぐられたときがいちばん燃えたなぁ。
そしてたっぷり焦らされた挙句、最後には……
「おっといけない。私としたことが妄想の海に沈んでいました」
現実に急浮上し、衣装選びを再開する。
そろそろ妄想癖を治さないと。
もう妄想で自分を慰めなくてもいい環境なんだし。
「あ、これ……」
メイド服を見つけた。
学生時代、クラスの出し物でメイド喫茶を開いたときのものだ。
刀士郎さんがこれを着た私を見たとき、ぽかんと口を開けてしばらく見惚れていたことは今でもはっきりと覚えている。
あの反応がきっかけでコスプレにハマったんだっけ。
「……よし」
今日はメイドさんで行こう。
私は意気込んでシャツを捲り上げた。
「ユイー? 俺のスマホ知らな──、あっ」
「あっ」
しかし、ちょうどブラを露出したところで刀士郎さんが入ってきた。
「ちょっ、刀士郎さん!!」
胸が引っかかってシャツを戻すのに手こずる(この前測ったときは確かEカップだった)。
身長は150センチくらいしかないのにここまで育ったのは、言うまでもなく刀士郎さんに散々もてあそばれたせいだ。
やっとおなかを隠した頃、私は恥ずかしくて涙目になってしまっていた。
「刀士郎さん〜……!」
「その表情イイ、もっと睨みつけてくれ」
怒ったつもりだけど逆に興奮させてしまったらしい、刀士郎さんも頰を赤らめる。
「なんかこう、ラッキースケベっていいよな、新鮮で。眼福眼福」
「知りませんよ、そんなこと! 出てって!」
「ふははははは!」
刀士郎さんは悪役のような高笑いを響かせながら消え去った。
「もう、えっちなんだから」
私は刀士郎さんがいたところにあっかんべーをする。
……でも、ラッキースケベだと下着を見ただけであんなに喜んでくれるんだ。
うん、これからこっそりラッキースケベの練習をしておこう。