学校、友人、想い人
私立 瀬戸高等学校
俺が通う高校で、県内一の進学校である。
中学生だったころの俺は学年でも最低レベルの学力だったけれど、このままでは駄目だと気づいた俺は、必死の勉強により、この学校に進学することが出来た。
頑張ったのにな、無駄になっちまった。
でも、まあいいか。
大切な友人も出来た、好きな人も、出来た。
将来殺人を犯す俺だ。迷惑をかけることになるよりはよっぽどいい。
そんなことを考えているともう昼休憩になっていた。
やばいな、授業全然頭に入っていなかった。
まあ、いいか。
「光一、食堂行こうぜー」
友人のセイヤに声をかけられる
こいつとももう少しでお別れか。
食堂にて食事をとる。二人そろって今日はカレーを食べることにした。
気分が落ちていても腹は減るもんだな。
「おい光一、空さんいるじゃん。話しかけて来いよ」
俺のひそかな思い人、空という女の子は友人2人と少し離れた席で食事をとっていた。
「いいよ、今日は」
「・・・お前、どうしたんだ?いつもは周りが引くくらいガンガンアピールしてんのに、それに遅刻・・はいつものことだけど授業中もずっと上の空だったじゃねえか」
「・・・ちょっと体調が悪くてな」
「・・・・・そうか、なんかあるなら相談乗るからいつでも言えよな」
「ああ、ありがとう」
食事を終えた俺は早々に教室に戻る。
「いいお友達ですねぇ」
「ラウラ、いたのか」
「言ったでしょ、常に貴方といますよ、いつ自暴自棄に陥るとも限りませんから」
「余計なお世話だ、人なんて殺さねーよ、俺は」
「そうですか、ならいいんですけどね、何か願い事、思いつきましたか?」
「漠然としすぎてなぁ、例えば、どんなことが出来るんだ?」
「何でもできますよ、しようと思えば。許可できるかは別の話ですけどね」
「今まで叶えた願いってのは何が有ったんだ?」
「そうですねぇ、お金持ちになりたいとか、今朝も言った好きな人と両思いになれる、とか、透明人間や空を飛びたいって人もいましたねぇ」
「ほんとに何でも出来るんだな」
「空さんでしたっけ?可愛い人でしたね、彼女にしちゃいましょうよ」
「言っただろ、そんなことしても虚しいだけだ」
「頑固ですね、でも早く決めてくださいね、暇なんですよ」
「知らねぇよ、もう授業始まるんだよ。散歩でもして来い」
午後の授業もあっという間に終わり、気づけばもう放課後になっていた。
帰り道、俺が死ぬ予定の交差点。
何も珍しくない普通の道。いつも目にしている光景なのに、俺は見ることが出来なかった。
「なぁ、飯、なにが食いたい?」
「え?ご馳走してくれるんですか?」
「お前だって腹くらい減るだろ、違うのか?」
「いや、ほんとはペコペコですけど」
「じゃあ遠慮なく言ってみろ」
「じゃぁオムライスで!!」
「結構子供っぽい所あるんだな」
「あ、バカにしましたね」
「そんなことねぇよ、オムライスか、よし!スーパー寄って帰るぞ今日は確か玉子が安いんだ、急ぐぞ」
俺は交差点から逃げるように足を進めた。