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落下



俺、斎川光一の死が間違いだったとわかってから、もう三日程経っていた。




相変わらず部屋でダラけていたラウラの世話をする毎日。


「なあ、ラウラ。いくら待機って言ったって、何かやる事あるんじゃないのか?」

「何言ってるんですか光一さん。これから暫くは休み無しで働かないといけないんですよ?今の内に休んでおくのは当然じゃないですか」


ベッドに寝転び、漫画を読んでいるラウラは朝から少しも移動していない。

スナック菓子をポロポロと落としながらこちらにチラリと視線を向けた。


「ベッドでポテチ食うなよ。そこ、俺が寝る辺りだろ」


「大丈夫ですってー、後で掃除しますん・・・・」

「ピリリリリリリリリリ」


「電話だぞ」


「・・・・・・・・・・ぅえー、もうですか?」


「いいから」


渋々といった様子でラウラは電話の対応を終わらせ、拗ねた顔をこちらに向けた。


「光一さんの身体。元に戻ったそうですよ」


そうか。ようやく生き返ったという訳か。あまり実感は湧かないものだ。


「よし、なら仕事だな。とりあえずどうすればいいんだ?」

「なんでそんなやる気なんですか?私もうちょい休みたいんですけど」

「俺の一大事なんだよ。早く準備しろ」


また渋々といった様子で準備に向かうラウラ。

ようやく家に帰れるのか。

人間界はどうなっているのだろうか。

少し心配だが、まぁ何とかなるだろうと自分に言い聞かせる。

俺は将来が約束されている身だ。

何とかなってもらわないと困る。


「出来ましたよー」

黒いローブを身に纏ったラウラに声をかけられる。

「よし、行くか」

「・・・もう少しだけ休憩しません?」

「しねぇ、行くぞ」


ラウラを引っ張り玄関へ。

というか、

「どこから行くんだ?」

「・・・・せっかちですねぇ、はい」



ぱちん。

とラウラが指を鳴らす。

何をしているんだ?と聞こうと思った。




思ったところで、そんな余裕はすぐに無くなった。




気付けば仰向けで、視界いっぱいの雲。







落ちていた。

物凄い速度と、風圧がとても気持ち悪い。


息が出来ない、身体も急速に冷えているようだった。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!

半ばパニックを起こしていると、視界に黒いローブがチラリと映った。

やっとの思いでそちらに目を向けると、しまった、と言わんばかりの顔をしたラウラがこちらに向けて指を鳴らしている。


もっとも音なんて少しも聞こえなかったけれど。


「ふっざけんなよお前!!」


「ゴメンなさい。耐性つけるの忘れてました」


急に何かに守られたかのように身体が楽になる。

身体の冷えもとれ、風圧からも逃れられ、呼吸も楽になった。

落下しているのは相変わらずみたいだけど。


「わざとじゃねぇだろうな」


「そんな訳ないじゃないですか、反省してますよ」


自分の頭に軽く拳を当て、舌をだす。

可愛くねぇよ。ぶっ飛ばすぞ。


後で俺がしっかりと拳骨をかましてやろうと、心に誓いながら、恐る恐る下を見下ろす。


急速に街が近付いていた。


「ラウラ、着地は絶対に成功させろよ」

「もちろんです。ここでまた殺しちゃったら間違いなくクビですもん」


なんでこいつは自分の事しか考えられないんだよ。

もう死にたくねぇぞ、俺は。


そろそろ不思議パワーで何とかしてもらわないと。

そうラウラに告げようとした矢先。


ラウラに後ろから抱き締められた。

「よいしょーーー!!」


ぐぐぐ、と速度が緩やかに落ちていく。


なんでそこは指鳴らさないんだよ。

と言いたい所だったが、ふよんふよんと背中に大きな二つの塊が当たって何も言えなかった。











俺の背中が喜んでいた。















・・・・・拳骨は勘弁してやろうか。


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