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虹花伝説

〜虹花物語〜


昔々ある国のあるお城にそれはそれは美しいお姫様、レイーズ姫がおりました。

求婚する他の国の王子様が後を立たないほど、美しく多くの人々から愛されていました。

しかし、困ったことにレイーズ姫はどの王子の求婚も受けようとしませんでした。

姫の父、その国の王様は求婚になかなか首を縦に振ろうとしないレーイーズ姫に、ほとほと困っていました。


ある時王様はレイーズ姫に聞きました。

「お前はどんな人と結婚したいんだね?」

お姫様は答えました。

「私は虹が好きです。しかし虹はめったに見ることができません。もし、どなたかが虹を私にくださったならば、私はその方と結婚しましょう」


そこで王様は世界中の王子に虹をレイーズ姫に与えたものに、娘をやると公表しました。


世界で一番小さい国の王子もその虹の話を聞きつけた王子の一人でした。勇敢なことで知られていた王子は、胸を躍らせました。


「虹をとりに行く旅か。おもしろそうだ」


王子はすぐに支度をし、旅に出ました。王子が真っ先に向かったのは、ペガサスが住んでいると言われていた険しい岩山でした。猛獣が出ることから、人々がよりつかない岩山でしたが、勇敢な王子は臣下を連れて勇猛果敢に進みました。


さまざまな危機を乗り越え頂上に着くと、王子は満月の明るい夜、天に向かってのびている崖の方に向かって一人歩き始めました。満月は世界を明るく照らし、臣下たちはその崖の高さに恐れをなして王子の後に続くことができませんでした。

王子は一番高い、崖のぎりぎりのところに立つと大声で叫びました。


「ペガサスよ。いるのなら、私に力を貸してくれ」


次の瞬間、王子の姿が崖からふと消えました。

しかしそのまた数秒後、臣下たちは王子を目にしました。

その時、王子はペガサスにまたがっており、顔には輝かしい笑顔を浮かべていました。


さて数日後、念願の大きな虹が空に出ました。

王子はペガサスにまたがり、空を飛び虹に向かって手をのばしました。

しかし、虹にその手が触れた瞬間、虹はちりぢりになって世界中に飛びちってしまいました。


王子は一度は落ち込みましたが、花と姿を変えた紫色の虹をすぐに見つけ、残りの赤、橙、黄、緑、青、藍、それぞれの色の虹を探す旅に出、全て集めるとレイーズ姫に献上しにお城へと向かいました。


虹の花を受け取ったレイーズ姫は大変喜び、またさまざまな冒険をしてきた王子の勇敢さにも惹かれ、めでたく王子と結婚することになりました。


それから二人は末永く幸せに暮らしました。




「ねぇ、素敵なおとぎ話でしょ?」


話終わるとフローラはウィルににっこり笑って言った。

ウィルは曖昧に笑って言った。

「素敵な話だね」

面白さがよく分からなかったというのが、正直な感想だ。

ローズ、リィ、ローレイ、リィは華族の村にたどり着いた次の日、フローラに花畑を案内してもらっていた。


「その前に、あんたがこの有名な、すごくすっごく有名なおとぎ話を知らなかったというのが驚きよ」

ローズが手を腰にあて、あきれたように言った。

「一国の王子が、そんな調子でいいわけ?」

ウィルはむっとして言った。

「おとぎ話なんて知らなくても困らないだろ」


「それにしても」

リィが睨みあってる二人の間に割って入る。

「これが虹花伝説に出てくる虹花なのね」

その目には一面に広がる黄色の花畑が映っていた。

「そうよ」

フローラはにっこりして答えた。

「ここにあるのは黄色の虹花レイーズ。他の6色の花はおとぎ話の中とおなじように世界のどこかで咲いてるわ」


ローズは花をよく見ようと、座り込んだ。

「バラに似てるのね」

「ええ、バラと違ってとげはないんだけどね」


「あれ……」


「どうかしたの?ローズ?」

ウィルが見ると、ローズは眉間にしわをよせていた。

「私赤の虹花レイーズ見たことがあるわ。でも、そこでは別の名前で呼ばれてたけど……」

「虹花はそれぞれの地域で別の名前で呼ばれているそうよ」

フローラが答えた。

「だから集めるのが大変なの。全ての花を集めることができるのは王族のみと言われているわ」

ウィルは即座に聞いた。

「王族が?なぜ?」

「分からないわ。勇敢だからとかそんな理由じゃなかしら。とにかく華族の私たちでもここにある黄色と、あと2、3種類の虹花の場所しかしらないわ」

「興味深いわね」

リィが考えこむようにして言った。


「それにしても…」

フローラはローズを見た。

「赤の虹花ををどこで見たの?私はその花があるのは、シャティレティ女王が創設したこの世界のNO.1を誇る学園、シャティレティ学園だと聞いていたけれど。まさかその学園に……?」

「まさか!」

ローズが慌てて言った。

「ちょっと貴族に仕えていたから、見たことがあっただけよ……」

ウィルは、少し俯いたローズを見た。貴族の話になると、いつもローズの顔が暗くなる。貴族に仕えていた時は、やはりそれだけとてもつらかったのだろうか。

「そういえば、ローレイは?」

リィがあたりを見回しながら言った。

「ローレイさんならあそこに」

フローラが指した先を見ると、花畑の後ろにあった木によりかかって寝ている。

ローズが立ちあがりながら言った。

「全く人の話を聞かないなんて、どうしようもないやつね」


「ローレイさんはおとぎ話とか花には興味がないみたいですね」


太陽が既に傾き始めていた。


「母が夕飯の支度を始めるので、私もそろそろ戻って手伝うことにしますね」

「私たちも手伝うわ」

「夕食楽しみだな」

「ちょっとあんたも手伝うのよ」

ローズがウィルを睨む。

「わ…分かってるよ」

今日はサラダが出されないといいな、とウィルは密かに考えた。


その時だった。

すやすや寝てたはずのローレイが目を開けた。


「客人のようだぞ」





読んでくださってありがとうございます。

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