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ろくろっくびは月を見るのか

作者: N

「ろくろっくびは月を見るのでしょうか」

空になった箱を弄びながら君が言う。

「見ているうちに、どんどん首が伸びてしまいそうだよねぇ」

自分の声はなんだか高くて耳障りだから、なるべく小さな声で返事をした。

「遠くのものを見ようとすると、自分の首がそこめがけて行ってしまうんだから、ゆっくり眺めることができないのかな。」君の声は低くて落ち着いていて、とても好きだ、そう思う。

ふと君は手元のメータに目を遣ると、ガチャガチャと酸素ボンベの交換する。

「そうだねぇ」

私と君は月を見ていた。

「いつか私たちは、あそこで暮らすのだろうか」

君が言う。

「そしたら、私たちだって月が見れなくなるね」

「それは困るな。私は月から月を眺めたい」

窓を外からくじらが覆い、まるで夜のようになった。「私はここからで十分だなぁ」引き出しから提灯アンコウを取り出してテーブルに置く。

「近くなりすぎては、結局何も見えなくなりますよ。私たちはろくろっくびでは無いのですから、ゆっくり遠くから眺めていましょうよ」

「それもそうですね」

今日も私の家は白く染まり、数匹の魚たちと眠りについた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 不思議な世界観ですね。超未来の海底都市が舞台なんでしょうか?それとも異世界?なんにせよ独特の雰囲気があってとても癒やされました。 提灯アンコウをインテリアとして使っているのが個人的にぐっと…
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