45.かわいいから許すと言っても、限度がある
どうも、にがトマトです。
読みにくいとのことで、スペース弄りしてるんですが、中々終わらないです。
己の未熟さのあまり、精神ダメージを凄く受けているせいで。
赤面するしかないですー。
てゆか、昔の自分の作品もう見たくない!!
では、どうぞ
ルークたちは起床し、朝ご飯を摂っていた。
作ったのは三ツ星シェフも真っ青な腕を誇る筋肉こと、レドルノフである。
いやぁ、美味美味。
そんな中。
「という訳で、今日はとある化生に会いに行きます」
そんなことを突然言われて、当然一同は理解できるはずもない。
理解させる暇すら与えねェ! とばかりにリースは続けた。
「その化生は、分類的には『神獣』とされてるわ。私が契約してる、ウロボロスと同類ね」
「あぁ、あの大きくなったり小さくなったりする、蛇か」
ラルが、思い出すように呟いた。
しかしその顔は渋いものであったため、愉快なものではないことは明らかだが。
「はいは~い、リース。質問」
「なに? ミラ?」
手をあげて質問をしたミラに、リースは発言権を与えた。
「そもそも、化生ってなに?」
「そうね。詳しく言うと長くなるから簡単に言うけど、逸れ者よ」
逸れ者とはまた、穏やかな言い方ではない。
しかし、間違ったことは言ってないとばかりにリースは続けた。
「世界は、調和によって保たれてる。その調和の外の存在が、化生。俗に言う怪物、物の怪や妖怪っていうのが、それよ」
「へぇ、調和から外れた存在、ね」
レドルノフの含みのある言葉に、一同は首を傾げる。
しかし彼はそのまま、思ったままの言葉を発した。
「リースも調和から外れてるから、最早化生げぼっ!?」
言葉の途中で、リースが彼の喉に掌底を見舞った。
とてつもなく痛そうだ。
「失礼ね。髪の毛からつま先まで、純粋な人間、よ?」
おい、なんで最後自信なくした?
レドルノフを見ろよ。
え? 冗談だよね? って顔してるぞ?
「うん、気にせず次に行きましょう。お願いだから、このことを考えさせないで。自分のことは、人間だと思いたいから」
少しだけ暗くなったその顔に、皆は何も言えなくなり、その話題が再び出ることはなかった。
☆
ルークたちがたどり着いたのは、洞窟だった。
ただし、馬鹿みたいにデカい。
入り口だけでも、高さ五メートルはあるだろう。
「なんだこりゃ、でっか」
「まぁ、中にいるやつを考えたら、これくらいないと出入りできないでしょうしね」
「てことは、デカいんだな、そいつ」
ため息しか出ない。
「あぁ、それと、余り気を抜かない方がいいわよ?」
「「「「へ?」」」」」
刹那、洞窟から五つの影が飛び出してきた。
その影は、ルーク、レドルノフ、ミラ、シュス、ラルの顔に、びたーんと擬音が出てきそうな勢いで張りつく!
「あーあ、言わんこっちゃない」
張りついているのは、チワワ(シュスに)! トイプードル(ラルに)! ポメラニアン(ミラに)!! ブルドッグ(ルークに)!! サァアアベルタイガァ(レドルノフに)!!!!!!
「いや俺だけ明らかにおかしいだろ!!!???」
それぞれ、犬たちは張りついた者たちの顔をベロベロと舐めている。
そして猫科肉食動物は、筋肉の腕にガブガブ。
「いててててててて!! マジ洒落にならないからやめて!!」
とても痛そうである。
けれどリースは知ったこちゃねぇ、とばかりに続けた。
「この洞窟の中には、沢山の愛玩動物や猛獣が棲みついてるのよ。入口手前だから、こんな程度だけど、中には化生もいる。精々気をつけなさい?」
「なんでリースだけ、襲われないの?」
「気配消してからだけど?」
ラルのなんでもない問いに、リースは事もなげにそう答えた。
それに皆、ずるいとばかりの顔をしたが、彼女はそれに素知らぬ顔をする。
一同は、顔がベッタベタだというのに。
「あ、やば。これ、マジ、死ぬ!」
そしてレドルノフは、腕に血がダラダラだというのに!!
☆
ルークたちは犬を顔から引きはがし、ダッシュで逃げてきた。
しかしワンコたちは深追いしてこず、入り口で伏せしていた。
あの眼は完全に、狩人のそれ。
愛玩動物がしていい眼では断じてなかった。
そしてレドルノフは、サーベルタイガーに跨っている。
……なんだか似た光景を、前にも見たことがあるような気が、気のせいだ。
「わかってると思うけど、これは修行も兼ねてるから」
リースは散歩でもしてるかのような軽い足取りで先導しながら、口を開く。
だがここは奥行きは深く、天井は高く、横幅も広い洞窟である。
因みに、光源はなく薄暗いから、けっこう怖い。
しかし、足場も良いとは言えない此処でも、彼女の歩みに澱みはない。
「足場は悪く、視界も良くはない。物陰から襲ってくる動物たち。ここなら命の危険あんまりないから、うってつけよ。だから、レドルノフ、今すぐ降りなさい」
「……はい」
それに、ルークは渋面で言う。
「つっても、ここの動物たち殺気がないんだよなァ。お蔭で、対応に困るんだよ」
もし、殺気をもって襲ってくるのであれば、ルークは迷わずそいつを斬る。
しかし、ここの動物たちはじゃれついてくるだけで、害意は皆無なのだ。
流石にこれを斬るのは気が引ける。
「大丈夫よ。そうねぇ」
「ワン!!」
リースが気配を断つのを辞めるのと同時に、物陰からゴールデンレトリバーが襲い掛かった。
それに彼女は一切動じず、腕を振り上げ、
「ほいっと」
「キュゥン……」
鼻を思いきりプッシュしてやった。
それにゴールデンレトリバーは、生気が抜けたかのようにその場に伏せる。
「大体の動物の急所は、眼球と鼻よ。目は可哀想だから、こうやって鼻を押してやれば撃退できる」
ごめんねぇ、と謝りながらリースは頭をなでてやる。
それにゴールデンレトリバーは、気持ちよさそうに目を細めた。
「所で、ラル、ミラ」
「「なに?」」
「懐にしまってる犬を出しなさい」
笑顔と共に発せられたその言葉に、二人は肩を跳ねさせた。
しかし死神は逃がさない!
その魔手は、何人も逃がしましぇん!!
「見てよ、リース! こんなにかわいいんだよ!!」
「そうだよ! このつぶらな瞳に、なんの不満があるのさ!!」
逃げられないと判断した二人は、開き直るという逆ギレ紛いも甚だしい行為に打って出た!
穢れのない、子供二人(内一人は精神年齢が)の輝かしいまでの笑顔で追いうちもかける!
それにリースは、一瞬だがくらっときた。
きて、しまった。
しかし。
「その子たちを、飼うつもりなんでしょう? だめよ。二人はともかく、私はよく出張するからね。家主不在で、あんたたちはちゃんと面倒を見られる? そんな家庭環境の所で、ペットを飼うなんて認められない。そんな無責任なことをするつもり?」
心を鬼にして、ぴしゃりと叱った。
それに二人は、しゅんとした。
「はいはい、それじゃ、ポイしなさい。ポイ」
「うぅ……」
「わかった……」
二人は渋々ながら、犬たちを放した。
犬たちは、え? 解放しちゃうの? と言わんばかりの顔である。
「ルーク、あそこ見てみろよ。パンちゃんが犬捕まえてるぞ?」
「は!? パンちゃん、うちじゃ飼えないからな!!」
《振りなんですね、わかります》
「違います!!」
このままだと犬ごと持ってルークの精神世界に逃げられかねないため、彼はパンちゃんの両手首を掴んで、持ち上げた。
《嫌ぁ! 離して! 変態! ロリコン! お巡りさん、この腐った魚の目です!!》
「うるせぇ! 騒ぐな!」
「ルーク、お前……」
「シュゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウス!!!??? どう考えても違うよね!? 俺皆の家計護ってるだけだよね!?」
ならば昇給を望めばいいだけなのだが、それが通るとは思えないし、なにされるかわからないという恐怖もある。
社畜根性である。
「なぁ、みんな」
「「「「あァ!?」」」」
レドルノフの言葉に、リース以外の全員は睨みを効かせることで答えた。
あんまりじゃないだろうか。
しかしそれに心を折ることなく、彼はそのまま言った。
先程から思っている言葉を。
「こんなに騒いでたら、動物たちが寄ってくるんじゃないのか?」
衝撃の発言。
それに、彼らは。
「「「「あ……」」」」
今気がついた、本当だ、とばかりの顔と間の抜けた声を漏らした。
彼の発言を肯定するかのように、隠れるスペース足りなかっただろ、と叫びたくなるような数の子犬たちが彼らを襲った。
☆
「「「「「ひどい目に遭った……」」」」」
「ははは」
そうボヤいた五人を、リースは笑った。
うん、率直に言うと、凄くイラっとしたよ。
ここまでくるのに、子犬たちに体を隅から隅まで、散々舐め回されたのだ。
「でも、まぁ、犬たちを心配する必要は、もうないな」
彼らは今、洞窟の最奥まで、きていたつもりだった。
そう、つもりだったのだ。
今彼らが目にしているのは、荒野だ。
草木はなく、水は枯れ果てた、寂しい荒野。
洞窟を歩いていたら光が見えて、開けた空間に出た。
ここが終点かと思いきや、まさか逆に洞窟より広い場所に出ようとは。
「しっかし、これは流石に摩訶不思議なんてモンじゃねェ。なんだこりゃ」
ルークの呟きに、レドルノフが臭いを探るように、鼻をひくつかせた。
「獣は、そこかしこにいるな。けど、それだけだ。それ以外の、生命体の臭いは一切しない」
「うぇ、文字通り荒れ果ててるな」
レドルノフの調査結果に、シュスは顔をしかめる。
しかしそれを、全く意識に入れず、別のことに思考を割いてるものがいた。
「リース、どうかしたの?」
「ラル、気配、近辺に何かいないか、探してみなさい」
「え、いきなり、どうしたの?」
「いいから」
「う、うん」
彼女に言われて、ラルは周りの気配を探り始めた。
しかし、彼はすぐに顔をしかめる。
誰かが潜んでいるような、それらしき気配を感じ取れなかったからだ。
「ふふ、まだまだね」
「リース、ちょっと意地悪すぎない? 私も気配探ってみたけど、誰かいるような気配はないよ?」
意地悪そうに笑ったリースに、ミラが物申した。
彼の言う通り、気配などない。
事実、超人の域にいるルークやレドルノフですら、それを気取れていないようなのだ。
「馬鹿ねぇ。気配を探るだけが、相手の位置を掴む手段じゃないのよ? 例えば、視線とか」
言われて初めて、違和に気づけた。
今、自分たちは見られている。
それも、複数にだ。
《ふむ、我らに気づくとは。そこな女は、只人に非ずか》
とん、と。
そんな軽い音が聞こえそうな程までに、軽やかに着地をしたような体勢で、一頭の狼が現れた。
毛並みは茶色の、鋭い眼光の狼。
四肢は皮膚が張り裂けんばかりの筋肉に覆われており、体躯は鋼のようだ。
その狼が、上位種特有の威圧感を以て、話しかけてくる。
《して、何用だ、人の子よ。ここは見ての通り、何もない。そこな獣たちと戯れている内に、迷い込んだだけなのならば、疾く来た道を引き返すが善い。さすれば、我が何かをすることはない》
帰れ、と端的にこの狼は言っているのだ。
しかしそれで、はいわかりました、なんてことは言わない。
「私たちが会いにきたのは、あんたたちのボスよ。後方で舌なめずりして待ち構えてる小動物たちでも、あんたみたいな三下でもない」
「ちょっ、おま」
何故そこで、普通に頭と会わせてくれと言わないんだ、この女は!?
《……吼えたな、娘。その大口、肉片に成り果てて尚、叩けるか試してやる》
ほーら、狼さんも怒っちゃったよ。
どうするんだ、これ。
「……なにボサっとしてるの? ほら、あんたたち、戦闘準備」
「「「「「は!?」」」」」
待て、この女、なんて言った?
「全員で協力して、この狼君と闘うの。勝てなかったら、そうねぇ、罰ゲーム、いっとく?」
いや、そこ、飲みにいっとく、じゃないんだからさ。
しかし。
「あァ、クソ、やりゃァいいンだろ、やりゃァ!!」
ルークは、勢い良く抜刀した。
やらないという選択肢は、ない。
ここで拒否などしてみろ、どうなるかわかったモンじゃない。
「よろしい。ラル、アスタルテを呼ぶのはなしよ。独りでやるのならともかく、全員でやる訳だしね」
「うぅ、はい」
「ミラ、シュス、あんたたちも自分の力でちゃんと頑張りなさい」
「俺は、その、後衛だから、うん」
「は、ははは」
細かい指示だ。
ため息しか出ない。
「全員、無茶はするなよ。前は、俺とレドルノフが出るからな。行けるな、筋肉?」
「たりめぇだ、お前こそ、しくじるなよ? ロリコン」
「「……………………野郎ぶっ殺したるァ!!」」
ルークは大上段からの振り下ろしを。
レドルノフは、ジャブを。
その狙う先は。
《その流れで何故我の方に攻撃を仕掛けてくるのだ、貴様ら!!》
こうして、荒野に居つく狼の『化生』との闘いは始まった。
短くしすぎはいけない、と思って引き延ばしたら、二話構成になってしまった。
く、不覚。
近況報告
バイクでちょっとドジっちゃいました。
痛いです。




