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41.道具がしゃべる。怖くね?

申し訳ありませんでした。

本当だったもっと早く投降できたんですが、データが消えちゃったんです。

そのせいで持ちべが下がってしまい、ここまで遅れてしまいました。


謝罪はここまで。

どうぞ。

 ルークたちはやっと、天界を出ることにした。

 しかしそれに、待ったをかける者が一人。


《ちょォォっとお待ちを! まだ私との契りを交わしてませんよォ!?》

《ダメ! 剣士さんは私のモゴゴゴ》

「ややこしくなるからお前は黙ってようか」


 またいきなり現れたパンちゃんが事態をややこしくしそうになったので、ルークは口をふさぐ。

 それに彼女は不満そうな顔をするが、無視。


《逃がしません! 逃がしませんよォ! こんなゲスメンを逃がしてなるものですかァ!》

「その言い方アレだからやめていただけませんかねェ!?」

《何故です!? 最上の褒め言葉じゃないですか!》


 嗚呼、ダメだ。

 こいつの価値観と、人間の価値観がズレてる。

 いや、天使だから当たり前なのかもしれないが。

 少し不憫に思ったのか、ガブリエルが助け舟を出す。


《そこまでクズがいいのなら、『原神』でいいじゃないですか?》

《夜這いしてあなたに私を叩かせてあんあん鳴いてやりましょうか?》

《あなたの場合それが脅しになるのが怖いですね!》


 吐き捨てるように言ったメタトロン。

 その彼女の言葉に、ルークは眉をひそめた。


「『原神』って、アンリやガブリエルの父親、だよな? 嫌われてんの?」

「とんでもないクズ野郎だそうよ。リグレット王国の前王は、『天使長』ミカエルってことは知ってるでしょ? それは『天使』にある役割を課したことの結果なの。詰まり、リグレット王国に置いたのはそいつだし、時たま自分の魂の一部を人間として生まれ落とさせて、下界を引っ掻きますからね」

「迷惑だなぁ……」


 それにメタトロンは、同意するかのように地面に唾を吐きかける。


《その通りですよ。私もまぁ、被害者に位置します。なにせ突然拉致られて、目が覚めたら天使に改造させられてたんですからね》

「え? メタトロンって、元は人間だったのか?」

《まぁ、そうですね。人間だったころの記憶はもうありませんが、元は人間でした。拉致られた理由、なんだと思います? 可愛かったから、つい、だそうですよ。ははは、殺意湧きましたよ》


 メタトロンはナーヴァスになってしまった。

 そしてその隙に。


「ルシファー、今だ!」

《あいよ、じゃあなみんな。転移》

《ああ、卑怯者!! ますます惚れました! お願い、抱いて!!》



 勘弁してくれ、と。

 ルークは内心呟いた。





 アンリ・クリエイロウは仕事中毒である。

 それは自他ともに認める公然の事実だ。

 そして今は、リグレット王国の国王。



 だが彼は、元は只の一般人であった。



 どこにでもいた、只の村人Aだ、アンリだけに。

 そんな彼には、リースから『宿題』を課されている。


「政治の勉強とかやってらんねー」


 そう、政治学の勉強である。

 主君において必須と言える帝王学は、彼女は諦めている。

 なにせ帝王学というのは、学とこそついているものの、厳密には学問とは言えない。

 上に建つ人間として全体的な知識や経験、心構えといったものを指すからだ。

 こういうのは幼少からやらねば意味はないし、今のままでも彼は国民から人気があるのだから問題ない。


 だが国の舵取りができないのは問題である。


 この国の政を仕切っているのは、リースと官僚たち。

 そこにアンリの意思は反映されど、意見は全く介入していない。

 いわゆる傀儡である。

 そしてそれを本人は自覚し、善しとしているのだから救えない。

 これはマズイと考えたリースや官僚たちは、彼も政に参加できるように、政治学を学ばせようとしているのだが、結果はこの通り。

 本人がまったくやる気を見せない。


「という訳で、俺は書類とランデ」

「なんですって?」

「ブルァァァアアアアアアアアアアアアアア!?」


 突然の背後からの声に、アンリは無様に椅子から転げ落ちた。

 どれ位無様かと言うと、見た人間に浮かぶのが呆れや嗤いではなく、感嘆である位だ。

 しかし声の主こと、リース・アフェイシャンはそれに一切取り合わず、机を一瞥し、花のような笑みを作った。


「アンリ、この書類に手をつけてるってことは、当然私の出した宿題は終わってるのよねぇ?」

「ち、違うんだ、リース! これは、そう、息抜きだ!」


 どんな息抜きだ、とルシファーの転移によってここに到着したルークたちはそう心の中で突っ込みながらため息を吐いた。

 それにアンリが、ルークたちも帰ってきていたことに気がつく。


「お。もう『剣』は全部集め終わったのか?」

「まぁ、なんとかな」

《正確には、俺が既に集めてた以外の、だな》


 ルークの答えを、ルシファーが補足をする。


《今は、地獄に保管してある『剣』をアスモデウスに頼んで持ってきてもらってるところだ》


 アスモデウス、という単語に一同は思わず顔をしかめた。

 アスモデウスとは、『七つの大罪』が“色欲”が司る悪魔。

 そして、彼らが知る中で最も変態性が飛びぬけて強い存在であった。

 彼の姿を思い浮かべ、誰もが顔をしかめ。



《なんか呼ばれた気がしたので来ちゃいました☆》



 件の悪魔がやってきた。

 雪のように白い髪に黄色の瞳を宿した、中性的な顔立ちのスーツを身に纏った紳士然とした男だ。

 しかしこいつは紳士は紳士でも、変態紳士である。


《おーっす、アっちゃん。『玉』持ってきてくれた?》

《えぇ、もちろんです☆ いや~、それにしても安心しましたよ☆ やっとこれで力が戻るのですからね☆》

《ふははは、いやマジですんませんした》


 誤魔化しの高笑いをあげると、アスモデウスの目が細まったのでルシファーは迷わず謝った。

 悪いのは自分ということを理解しているから、素直に謝った。


《さて、それじゃ中央に置いてくれや。力を元に戻そうぜ》

《ふぅ、これで今後、人間たちに後れを取るような醜態を晒さずに済むということですか☆》

《つってもお前じゃ、アンリちゃんとかには勝てねェぞ?》

《アレらはちょっと特殊でーす☆》


 アレ呼ばわりに、流石の三人も頬を引きつらせるしかなかった。

 しかしアスモデウスは一切意に介さず、球をポケットから三つ取り出した。


「お前、そのポケットどうなってんの?」

《それは乙女の秘密です☆》

「うん、さらっと体女に変えてんじゃねェ」


 アスモデウスは体を女にしたまま、すでに七つの『剣』が置かれている場所に三つの『剣』を置いた。

 そして、彼はルシファーに向き直る。

 いやそれはアスモデウスだけではなく、アンリたちも同様であった。


「それじゃ、やってくれや」

《あいよー》


 ごほん、とルシファーは咳払い。

 そして。



《いでよ、ジェェェンローーーーーーーン!! 我が願い

「やめろォ!!」

《グボァ!?》


 ルシファーの絶叫は、アンリの魔槍の射撃によって遮られた。

 安心しろ、刃はしっかり向けてある。


《安心できるか! 俺じゃなかったら死んでたわ!》

「やかましいわ! お前が口走りそうになったことに比べりゃ些事じゃボケ!!」

《長男の死を些事って言うあたりほんと容赦ねェな、アンリちゃん!》


 アンリの射撃で強かに腰を打ったのか、ルシファーは腰を擦りながら立ち上がる。

 そして、くわっと凄い剣幕で彼に叫ぶ。


《俺は真剣にやったのに!》

「あれのどこが真剣だ」

《球を集めたら龍が願いを叶えてくれるんだろォ!?》

「その龍よりデカい力持ったお前がそれを言うか?」


 一言呟くことで願いを叶えられる不思議能力のことですね、わかります。


《ルシファー☆ 流石の私にも限度というものがりまーす☆ いい加減にしないと、怒りますよ☆》

《すんませんしたぁ!! 謝るからズボンのチャックから手を離してェ!!》

《んっんー、残念でーす☆》


 何が残念なのか、それを聞いて良いことは何一つないだろう。

 華麗に流したルシファーは、頭をかく。


《てゆうか、参ったな。正直、球を全部集めて一ヵ所に置けば、勝手に『剣』に戻るものと思ってたんだが》

「はァ? お前、つぅことは行き当たりばったりてことか?」


 ルークのその言葉には、苛立ちが混じっていた。

 なにせ彼は『剣』探しに付き合わされたのだ。

 声にこそ出さないものの、他の面々の心情も似たようなものであった。


《全盛期の俺ならともかく、今の俺じゃこの封印は解けないんだよ。ちっとばかりこいつは強すぎる》

「……アンリ、お前で封印を解けないのか?」


 レドルノフが名案、と言わんばかりにそう提案した。

 しかしそれにアンリは頭を振る。


「悪いが、俺にもこの封印は手に負えん。なにせ俺の得意分野はどっちかっていうと空間系の魔術だ。まぁ、破壊系のも軒並み使えから、壊すことはできるぞ? 『剣』ごとぶっ壊すことになるが」

《やめてぇ!? それだけはやめてぇ!?》

「つってもなァ……」


 手詰まり、とは正にこのこと。

 封印は解けない。

 されど壊すことは難しい。

 皆が頭を悩ませていると。



《ぱっぱらぱ~ん♪》



 と、陽気な声と共に現れた幼女を。


「ちょっと今真剣に悩んでるから少し黙れ」

《いたたたたたたたたたた、頭グリグリやめてぇ!!》


 その叫びに、一瞬だがルークは顔をしかめた。

 頭に響いた結果だろう。

 その一瞬の隙を突いて、幼女ことパンちゃんはグリグリから脱け出す。


《もう、せっかく私が封印解いてあげようと思ったのに!》


 彼女の叫びに、誰もが驚いたような顔をした。

 それにパンちゃんは大きく頷く。


《私は二割程度とはいえ、あの(・・)『原神』と同じ力を使えるのよ? 詰まり、封印のエキスパートなの!》


 思い当たる節は、ある。

 彼女は二年もの歳月をかけたものの、圧倒的な格上であるパンドラを短い間封印したのだから。

 既に編まれた、そこにある封印を解除するくらいなら、朝飯前だろう。


「じゃあ、どれ位で封印を解けるんだ?」

《うぅん、そうねぇ。『原神』と同じ力を使えると言っても、所詮は二割。ざっと十五分くらいかしら》

「よ~し、やれ。今すぐやれ」

《じゃあお菓子ちょうだい!》

「だそうだ、アンリ」

「わかった。お前の給料から天引きしといてやる」

「それじゃ意味ねェだろがクソ暴君!!」


 そんな醜い口論を横目に、パンちゃんは『剣』を腕一杯に抱え込む。

 そして、てとてとと走り、王の間を出ていく、直前。

 彼女は顔だけをこちらに向けて。


《覗かないでね?》

「どこの鶴の恩返しだ」





 十五分後、パンちゃんが一振りの剣を腕に抱えながら王の間に戻ってきた。

 無駄な装飾は一切施されていないが、誰もが感嘆の息を吐くであろう、刃がない白剣。

 刀身、鍔、柄があるだけという、武骨ともいえるが、神秘が内包されているのか、だれの目も虜にするほどの美しい剣だ。

 儀礼用の剣として、これ程のものはそうあるまい。


《よし、それじゃ力を取り返すとしますかね》

「……具体的な方法は分かってるんだろうな」

《当然。こいつは元来儀礼用、詰まる所儀式に使われる道具だ。こいつ一つで、敵対者の力を抜き取るっつぅ儀式をできるモンのな》

「それで?」


 ルシファーの遠回しの言い方に、イライラしているルークが問う。

 それに彼は苦笑しながら、結論を述べた。


《詰まり、こいつをぶっ壊せば儀式は破綻し、行き場を失った力は元あるべき場所に戻るんだ》

「ん? てことは、玉を砕くでもありだったんじゃないのか?」

《……………………………………………………あ》


 ルシファーのその声に、一同のフラストレーションが静かに高まった。

 それを悟った彼は、咳払いをしてなんとか発言権を維持、いや、固持する。

 このままだと殺されかねない。


《だ、大丈夫だ。後は破壊するだけなんだからさ。それくらいなら俺でもできるから、し~んぱいないさ~♪》

「「「「「「「《なら早くやれ》」」」」」」」

《デス☆》


 その催促にルシファーは元気な返事を返し、素早く剣に向き直る。

 そして。



《はか

『させるかァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!』

《グボァ!?》


 突然跳ね上がった剣が(・・・・・・・・)、その刀身でルシファーの横顔を殴り飛ばした。

 そう、剣が一人で浮かび、ルシファーを攻撃したのだ。

 あまりの出来事に、その場にいる者は全員硬直する。

 しかしそんな彼らの様子など歯牙にもかけず、剣は浮かんだまま脳内に直接声を響かせた。



『やっと自由になれたって言うのに、殺されて堪りますかってんですよ! 逆にぶっ殺すぞ!』




次回で、今回の騒ぎはお終いです。

そろそろストーリーを動かすとしましょう。

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