38.天使ってなんだっけ?
すみません、番外編の方がシリアスなので、こちらのテンションの落差が余りにあったせいでスランプになってました。
けど、トマトはやった。
なんとか書いた!
ということで、どうぞ。
ルシファーは十字架に磔にされていた。
そんな彼は無視され、ルークたちは話を進めている。
「それで、天界で『剣』を探し回る許可はもらえるの?」
《えぇ、構いませんよ。ただし、条件があります》
「許可は下りたわ、それじゃしゅっぱーつ♪」
《いやいや行かせませんよ!?》
立ち上がったリースの腰に、ガブリエルがしがみついた。
「許可はもらった。私は行く!」
《条件があると言ったでしょう!? それを聞かないとダメです!》
「いや! どうせ面倒なことなんでしょ!」
始まったキャットファイトを横目に、ルークたちはルシファーを十字架から降ろしてやる。
「大丈夫か?」
《大丈夫に見える?》
「お前は建前というものを知らないのか?」
《貴様ァ!!》
ルシファーは殴りかかってきた。
そしてルークも迎撃し、殴り返す。
そのまま取っ組み合いの殴り合いが始まった。
「レドルノフ、私はあっちの馬鹿二人の喧嘩止めてくるから、あの天使と死神の喧嘩止めてきてよ」
「馬鹿言うな。三秒もしないで俺が死ぬ」
ミラとレドルノフは、静かに不毛な言い争いをしている。
止めても無駄だとわかっているのだろう。
因みに二人は、醜い争いを見せまいと、器用にシュスとラルの目を塞ぎながらそれをなしていた。
「はいはい、わかりました。それで、条件ってなにかしら?」
どうやら、リースの方が折れたらしい。
渋々、といった顔でガブリエルにそう言った。
因みに、ルークも地面で伸びていた。
《条件は一つですよ。私も連れて行ってください、退屈なので》
ボイコットの手伝いをしろときた。
それに、リースは。
「なーんだそんなことか」
「「「おいおい、いいのかお前」」」
ルーク、レドルノフ、ミラが半眼になりながらそう言った。
それにリースは微笑む。
「別にいいじゃない。ガブリエルの仕事量ってね、アンリと大差ないのよ? 息抜きくらいさせてあげても罰は当たらない」
《いやいや、こいつ昼寝してたりしないから俺の頭を離してくれないかガブリエル》
《弟の頭を撫でているだけじゃないですか♪》
良い子良い子、と撫でるうちに首が一回転するんですね、わかります。
弟、という単語からわかる通り、ガブリエルとウリエルは姉弟だ。
正確には彼らだけでなく、『七天使』全員が兄弟らしい。
彼らの父親にして、原初にして全知全能の神『原神』の実子。
工作によって作られたものとは訳が違う。
故に強力な力をゆうしている。
そして、その兄弟の中にはアンリとルシファーも入るらしい。
凄い家族構成だ。
《メキメキいってる! 俺の首が、鳴らしてはいけない音を鳴らしている!?》
《安心してください、峰打ちです》
《峰もクソもあるかボケェ!!》
なんとか、ウリエルはガブリエルの魔手から逃れることができた。
それを見て、リースは言う。
「それじゃ、行くわよ」
バサリ、と。
呼応するかのように、コートを羽織る音が二つ。
「「「「「「《《ん?》》」」」」」」
《え?》
ガブリエルは青のコートを、ウリエルは茶色のコートをそれぞれ羽織った。
それに、ウリエル以外の全員の視線が彼に集中する。
そんな彼に、ガブリエルは優しく微笑む。
パキン、と。
ウリエルはまた氷の牢獄に閉じ込められた。
そう、まるで琥珀の(略)!
《あなたはここで書類仕事です》
《~~~~~~~~~ッッッ!!》
氷の牢獄は遮音性に優れているらしく、ウリエルの声は聞こえてこない。
それでも、一同には彼が何と言っているのかわかった。
ふざけんな、てめぇ!! と。
☆
ガブリエルをメンバーに加えた一同は、天界を歩いていた。
そんな中、リースは首を傾げる。
「どうした?」
「いやね、レーダーから一つ反応が消えてるのよ。何故か三つしか映らない」
「故障?」
「サイクロプスに限って、そんな雑な仕事するとは思えないけどねぇ」
件の消えてしまった反応はさて置き、まずは一つ目の反応の下に辿りついた。
そして、ガブリエルを除く全員が固まった。
一同の心情を擬音で表すならば、これが最適だろう。
チ~ン
仏壇がぽつんと置かれ、一枚の遺影が飾られている。
「なんで仏壇!?」
ルークの叫びが、全員の心情を代弁した。
その遺影の人物は人間ではなく、天使だった。
写真は白黒だから、髪の色や瞳の色はわからない。
「あれ誰よ?」
《《ミカエル》》
「あれがか」
アンリが殺した最強の天使にして、リグレット王国前王。
なんで笑顔なんだこの写真?
「『剣』は、あそこね」
目的の『剣』は、遺影の前に置かれていた。
なんで?
「さて、どうやって盗もうかしら……」
「盗むの!? 天使長がすぐ隣にいるのに、盗むの!? 怪盗死神なの!?」
「誰が怪盗よ」
ラルがガブリエルの袖を引っ張る。
《なんですか?》
「どうして、前の天使長の仏壇の前にあんなの供えてるの?」
《ああ、簡単ですよ。綺麗な真珠みたいなのが発見された。ミカエルの仏壇、そういえばなにも備えていなかった。もうこれでよくね? ということです》
ミカエルの扱いがあんまりである。
もしかして、彼は嫌われていたのだろうか?
《当たり前じゃないですかぁ。自分一人だけ下界に降りて、己を打倒し得る人間見繕って、独り占めするようなやつなんですよ?》
「へぇ、それってどういう人間…………ん? リース、どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
ミラが最強の天使をして、自分を打倒し得る人間に興味を持ったらしかったのだが、リースが少し不機嫌になった。
彼が訊くが、リースは何も答えない。
「という訳で、怪盗ジャックと怪盗タンパク質、行ってきなさい」
「「ふざけんな」」
参拝客(?)はいないが、見張りらしき筋骨隆々とした体躯の天使にあるまじき体格の天使がいるのだ。
天使にあるまじき顔で、眼を血ばらせてジャックナイフを舐め回してる見張りがいるのだ。
なんかこっち見てるし。
空いた手でおいでおいでしてる。
か、狩られる……
「こっち凝視されてるんだからもう詰みでしょうが!」
「これ強盗しろってことだよな!?」
「大丈夫、大丈夫……ねぇ、ガブリエル、あそこにたってるやつら、『階級』は?」
《座天使、上の下といったところですね。強いですよ》
「よし、行ってきなさい」
「「待てェい!!」」
話聞いてなかったのかこの女!?
天使長から強いと太鼓判押されるての聞こえてなかったの!?
「大丈夫、大丈夫。『七天使』未満はどれも等しく雑魚だから」
「お前と一緒にしないでいただけます!?」
「俺たち人間なの、ドゥユーウンダスタン!?」
リースは、にこりと笑った。
そして。
「行かなかったら、あんたたちの黒歴史及び恥ずかしい話が」
「「上等だオラァ!! 天使だろうがなんだろうがやってやらァ!!!!!!」」
二人は涙目になりながら、仏壇へと突貫する。
それに、見張りの天使たちは天使にあるまじき笑顔を咲かせた。
「「ヒャッハー、汚物は消毒じゃァ!!」」
《《ゲヒャ、テメェの血は何色だァ!?》》
☆
満身創痍となったルークとレドルノフは、『剣』をリースに渡した。
彼女は満足そうに頷き、次へと行こうとして、リースの動きが止まった。
それに、一同は訝しげな顔をする。
《どうしたんだ?》
「いやね、反応がこっちに」
《兄さあああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!》
ゴシャァ!! と。
そんな音ともに、ルシファーの肢体が横にスライドしていった。
金色の砲弾、と言えばいいのだろうか。
それがルシファーの体をくの字にして、横へと吹き飛ばしたのだ。
「……今の音、ヤバくね? たぶん、骨に内臓が刺さったぞ?」
「大丈夫よ、あいつは即死じゃなかったらどんな怪我も治せるから」
「へ、へぇ」
そんな会話を交わしてから、吹き飛ばされたルシファーを見る。
そして、さらに顔を引きつらせることになった。
《兄さんだぁ、この匂い、この体温、間違いなく兄さんだぁ》
《…………(←目を回して赤い泡を吹いている)》
ルシファーに、三つ編みにされた美しい金の長髪に紫の瞳を宿した、びっくりするほどの美貌の女の天使が抱きついているのだから。
服装は、ガブリエルと同じ深いスリットが入った貫頭衣に、紫のコートというもの。
「それにしても、こいつ誰だ?」
「サラカエル、『七天使』の一角よ。面識がそこまである訳じゃないけど、こんな顔始めてみるわ」
それに、ガブリエルは慈愛に満ちた目でサラカエルを見ながら言う。
オカンか、と言ったら烈火の如く怒りそうなので口を噤む。
《この子は、ルシファーに一番懐いていましたからね。久しぶりに会えて嬉しいのでしょう。ルシファーが堕天させられたって聞いた時、この子は『原神』を殺しに行こうとしたくらいですから……まぁ、止めましたが》
ふむふむ、成程。
「ブラコンか」
《身も蓋もないことを言わないでください》
いつまでも頬擦りをやめないサラカエルを全員で引き剥がし(全力で抵抗された)、彼女に天界にきた理由を説明した。
それにサラカエルは、不満そうに頬を膨らませる。
《天界に帰ってこないの?》
《ははは、悪いな。ミカちゃんはいないみたいだが、ちゃんとこの天界は機能してる。俺がいなくても大丈夫なんだから、俺は必要ないだろ》
というのは建前で、天使たちの報復が怖いだけなのだが。
それにサラカエルは、万力の如き力でルシファーの腕を掴んだ。
骨がきしむ音が響き渡るが、当の彼はポーカーフェイスだ。
一同はそれに、顔を引きつらせながらも尊敬の念を籠めて彼を見る。
《大丈夫よ、兄さんは私の隣にいてくれるだけでいいの。私が護ってあげるから。あ、それなら動く必要ないよね。手足は切り落とすわよ。あ、大丈夫。ご飯は私が食べさせてあげる。もちろん、く・ち・う・つ・しで♪》
《ひぃ!?》
刹那、一同はルシファーの命を諦めた。
「サラカエル、あんたから『剣』の反応が出てるんだけど、知らない?」
《剣? そんなもの、私は持ってないけど……》
「掌サイズの玉よ。それくれるのなら、一時間ルシファー貸すから」
《おい!?》
《はい、たぶんこれでしょ!?》
《あげないで!?》
ルシファーの涙目の懇願は、誰にも聞き入られることはない。
誰もが無視した。
ある者は、自分の欲望を満たすため。
そして残りの者は、命惜しさから。
《ふふふ、一時間もあれば血抜きはもちろん、ホルマリン漬けにする工程は十分に……》
《実験魔王にされるゥぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!???》
サラカエルを中心に、紫色の煙が発生し始めた。
なんだこれ……うッッッ!?
「苦しい……息が、できねェ」
「こりゃ、酸素じゃないなにかしらの気体か!?」
いつの間にかガスマスクを装着していた(それ寄越せ)リースが、解説する。
「サラカエルの司るものは、『毒』よ。そいつは、毒としてカウントされるものは大体操れるし、形状も自由自在」
因みに、ラル、ミラ、ガブリエルもガスマスクを装着していた。
なにこの差!?
「口で呼吸しない。皮膚呼吸だけで全てをまかなえば……いや意味ないか」
「「おい!?」」
ルークとレドルノフに、そこから先の記憶はない。
次回は、一週間後までにはなんとか、書ぎだい!(涙声)
では、また次回。




