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  クリスマス特別編

どもども、にがトマトです。

今年ももうすぐ終わりですね。

だって今日、クリスマスですし。

バイトがようやく終わったので、夜遅くに投稿です。

キチン、馬鹿みたいに売れたー。


それじゃ、特別編でっせ。

「お前ら、明日サンタやれ」

「「は?」」



 ルークとレドルノフは、開口一番にアンリにそう言われた。


「いやいや、お前はいきなりなに言っちゃってくれてるんですか? サンタって、あのサンタ? ちゃんと理解してるんですかこのクソボッチ暴君?」

「理解してるに決まってるだろうが。クリスマスの夜、子供たちにプレゼントを配る心優しいおっさんのことだろ? それとルーク、減給」

「ぐはァ!?」


 減給には、勝てなかったよ。


「王都だけでいいから、とにかくプレゼントを配ってこい。プレゼントと袋は用意してるから」

「「正気かテメェ!?」」


 王都に、家何軒あると思ってるんだ!?

 もっと言うなら、子供何人いると思ってるんだ!?

 極めつけに、全員分あるんならその袋どんだけ重いんだ!?


「ちなみにこれは命令だ。拒否権はねェ」

「「……………………」」


 二人は黙って踵を返し、歩き出した。

 彼らの目には、きらりと光るものがあった。





 二人は赤い服と赤いズボンに着替え、とどめに白い綿がついた赤い帽子を被る。

 そしてプレゼントの入った袋を持って外に出た。

 そして。


「「寒ッッッ!!!???」」


 即座に弱音をあげた。


「弱音じゃねェ! 事実だ! なにこの服!? 通気性抜群なんですけど!?」

「ただ今の季節冬なんでございます! ありがとうございます!」

「え? お前、マッチョなのにM……」

「ブチ殺したろォかロリコン殺人鬼!!」

「だァれがロリコンだ、ゴラァ!!」

「殺人鬼でキレないのかよ!?」

「だって事実だからな!! ぶわぁぁぁぁぁぁぁぁか!!」

「あ、あ、あ、そういうこと言っちゃう? 言っちゃうのか!?」


 青筋を立てて、レドルノフは構えを取る。


「ブチ殺したるァ、シリアルキラー!!」


 ルークは刀を素早く抜刀をする。


「かかってこいよ筋肉達磨ァ!!」


 ヒョオ、と。

 二人に冷たい風が吹いた。


「「寒ッッッ!!!???」」


 ついっさきと同じことを言って、身を縮こませる。

 そして二人は同時に頷いた。


「「さっさと終わらせよう」」



 この時、二人の心は一つになった。





 ルークは念のために白の付け髭をつけて、とある家の前にきていた。

 そして彼は、とある問題に気づき、立ち尽くしていた。

 その問題とは。



(煙突がない、だと!?)



 サンタといえば、煙突から侵入ゲフンゲフン、お邪魔して、子供が用意した靴下にプレゼントを入れるのだ。

 なのに、煙突がないのだ。

 ど、どうする。


1.普通に玄関からお邪魔する。

2.壁を斬って侵入する。

3.家の人たちにバレないように忍び込む。


 理想は1なんだが、それはダメだ。

 サンタさんとは、子供に見つかっていけないのだ。

 2?

 ははは、論外に決まってるだろう。

 普通に犯罪だわ。

 故に答えは3。

 これしかないのだ。


「さて、行くか」


 決めてからの行動は、素晴らしく早かった。

 音を立てずに抜刀し、暗歩と呼ばれる暗殺術における歩法で足音を消して、窓に近づく。

 そして。


「深淵乃太刀」


 ルークが修める剣術の流派、『心境流』における奥義の一つだ。

 万物には、流れがある。

 心境流はその流れを断ち、操ることを目的として創られた流派だ。

 そしてこの技は、その到達点。

 流れを掻い潜り、断ち斬りたい流れだけを断つ。

 まぁ、要するにこの技は。



 遮蔽物を無視して、斬りたいものだけを斬るというものだ。



 ルークはこの技を用いて、刀にガラスを通り抜けさせて、ドアロックを外したのだ。

 ……奥義の無駄遣いである。


「さて、プレゼントを置いて次に行くか」


 プレゼントを配る家はここだけではないのだ。

 手早く済ませるに限る。


「くんかくんかくんかくんか、女の子はどこかな」


 色々問題しかない発言ではあるが、本人は至って真面目である。

 他人の家に上がって、年端もいかない少女の臭いを嗅ごうとすると言う、お巡りさんが飛んできそうな絵面だが、バレなきゃ犯罪じゃあないんだぜ。


「ふふふ、見つけたぞ」


 ルークは舌なめずりをして、少女の部屋へと向かう。

 これは、犯罪なんかじゃあないぜ?

 これは、仕事なんだあぜ?

 緊張して乾燥した唇を濡らしただけなんだあぜ?

 暗歩を保ったまま、少女の部屋に侵入する。


「よし、ここで正解だな」


 ルークの視界には、規則正しい寝息を立てて寝ている少女とそのベッド。

 そして、ベッドにかかっている赤い靴下である。


「あそこにプレゼントを入れれば、ここは終わりだな」


 そっと靴下の中にプレゼントを入れる。

 そしてルークは、安堵のため息をつく。



 それがいけなかった。



「サンタさん?」

(なにィ!?)


 ため息で、起こしてしまったらしい。

 この子敏感過ぎるだろ!?

 ため息で起きちゃうとか。


「ほっほっほ、起こしてしまったか、お嬢さん。そうじゃ、儂はサンタさんじゃぞ」

「……ひぐっ」

「ひぐ?」



「うわァァァあああああああああああああああああああん!! このサンタさん目が濁ってるぅ!!!!!!」

「失礼の極致!?」



 なにこの子!?

 失礼過ぎるだろ!?

 いや、それよりも。


「ど、どうしたアイシャ!?」

「なにかあったの!?」


 ご両親がやってきた。



 彼らが来た時には、そこには泣いてる娘と開けっ放しの窓しかなかった。





 レドルノフは、自分が一つ忘れていたことに気づいた。


「おっと、付け髭つけるの忘れてた」


 付け髭をつけて、これから自分が入る家を見る。

 そして、レドルノフはある一点を注視する。


「煙突見っけ」


 今自分は、サンタさんなのだ。

 サンタさんと言えば、煙突から入るものだ。

 故にィ!!


「とぅ!!」


 レドルノフは煙突まで一っ跳びで到達、いや、口の真上まできた。


「待ってろよ、良い子の子供たちィ!!」



 ズポッ!! と。

 レドルノフの腰が煙突に引っかかった。



「なん、だと」


 彼の名誉のために言っておくが、彼は太っているのではない。

 筋肉が盛り上がり過ぎて、太いのだ。

 太っているのではない。

 太いのだ。

 わかりにくかもしれないが。


「ま、負けるかァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 腰をシェイクさせて、少しずつ下へとずり落ちていく。

 頭まですっぽり煙突に収まった彼は、一度深呼吸。

 そして、カッと目を見開いて。



「うおォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」



 全身を回転させて、煙突の下へと目指す。



 どれ程の時を、そうやって回転していただろうか。

 レドルノフはとうとう下までたどり着き、彼はそこで見た。



 家族一同がこちらを見ているのを。


「「「「………………………………………………」」」」


 まぁ、煙突内とはいえ、あれだけ叫んでいれば家の中に声が響くのは自明の理だ。

 レドルノフは、ふっと笑っておもむろに袋からプレゼントを取り出し、床に置いた。


「Happy,merry Xmas!!」


 そう言って、レドルノフは体を回転させながら煙突を昇っていったのだった。

 因みに捨て台詞を翻訳すると、『幸せな幸せなクリスマス』である。

 意味不明だ。





 ルークは、今夜最後の家へと訪れていた。

 ここにプレゼントを配れば、サンタの真似事から解放されるのだ。

 ……長かった。


「けど、ここは、一筋縄じゃいかねェよな」


 なにせここは、リースの家なのだから。

 ルークのプレゼント袋には、ラルの分が入っているのだ。

 さて、行くとするか。

 一歩を踏み出す。

 そして。



 赤い帽子と服の白い髭を持った誰かと遭遇した。



(サ、サンタさんだ!!)



 いたんだ!

 サンタは本当にいたんだ!





 レドルノフは、冷や汗をかいていた。


(サンタさん、まさか本当にいたなんてな)


 細いが、良い筋肉だ。

 とてもクリスマスだけ働いている暇な老人とは思えない。

 顔もやけに若い。

 ……サンタは世襲制なんだろうか?


(さァ、どうする)



 その頃ルークも、サンタさんに遭遇したため冷や汗をかいていた。



(サンタさん、なんて威圧感を放ってやがるんだ!?)


 筋骨隆々としており、鋼のようながっしりとした体躯だ。

 しかも漏れ出ている『気』が、尋常じゃない。

 絵本に出てくるあの脂肪はどこにいったの?

 そんな筋肉だらけの体だと、子供たち泣いちゃうよ?


(けどヤベェよ、ヤッベェよ。サンタさん、怒ってるかな? サンタ騙ったこと、怒ってるかな? 謝った方が良いかな? 三百円あげたら許してくれるかな?)



 とまぁ、お察しの通り、ルークとレドルノフは本物のサンタさんと遭遇した勘違いして冷や汗をかいていた。



 二人は状況を整理してみた。

 目の前には本物の(実際は偽物だけど)サンタさん。

 もしかしたら、怒ってるかもしれない。

 サンタさんの実力は、下手すると自分と同等かそれ以上。

 自分は、紛れもない偽物のサンタ。

 となると取る手は、ただ一つ。



「「先手必勝ォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」



 ルークは袋に入れてた刀で居合いを、レドルノフは全力の正拳突きを放った。

 刀はレドルノフの脇腹を捉え、拳はルークの頬に完全に入った。



 ドギャア!!!!!! と。

 ルークとレドルノフは後方へと吹き飛ばされ、木を薙ぎ倒して岩にぶつかった。



「「ゴファ!?」」


 ルークとレドルノフは吐血した。


(や、野郎!! なんつゥ重い拳だよ!! マジでクリスマス以外働いてない暇な老人かよ!?)

(マジか、なんて常識知らずなンだサンタさん!! 子供たちに配るプレゼント入れてる袋の中に、刀入れるか普通!?)


 彼らは思い思いの愚痴をこぼし、目の前の(サンタさん)を見据える。

 そして、次こそ完全に息の根を止めようと踏み込み、肉薄した。


「「死ねェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」」


 二人の攻撃が交わる。



 一瞬手前。



「あの子たち起きちゃうでしょうがあんたらァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

「「ぎゃァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」」


 突然現れたリースに蹴り飛ばされた。

 ルークとレドルノフはゴロゴロ転がり、木に二人仲良く激突する。


「「へぶん!?」」


 はらり、と二人の付け髭が地面へと落ちた。

 それのおかげで彼らはやっと、サンタさんの正体を知る。

 そして。


「「お前かよ!!!!!!」」


 見事なシンクロであった。

 しかし、二人の意識はリースへと向けられることなる。

 頭を掴まれて顔の向きを変えさせることによって。


「ねぇ、あんたたち、なーにしてるのかしら?」

「「サ、サンタさんです」」


 リースは、にこにこ笑いながら口を開く。

 うん、凄く怖い。


「見ればわかるわよ。けど、サンタさんって、基本見つかっちゃいけないものよね? それなのにあんたら、叫んだり、爆音出したりしてたわよね? もう一度訊くわよ? なーにしてるのかしら?」

「本物のサンタさんが出たかと思ったから、やられる前にやっちまおうと思って」

「お、俺も」


 まぁ、両方偽物だった訳だが。


「ふぅん。それじゃ二人とも、今の私の格好見てみなさい?」


 そこで二人は初めて、リースの格好がおかしいことに気づいた。

 先端に綿がついた赤い帽子に、赤い服に赤のミニスカートという格好。

 いわゆる、ミニスカサンタというやつだ。


「「お前、歳考えろよ……」」



 刹那、周囲の気温が下がったような錯覚に陥った。



((あ、やっべ))


 二人は遅まきながら、自分たちの失言に気がついた。

 だって、リースの笑顔がさらに輝いたんだもん。


「ねぇ、二人とも、今思えば、サンタが複数いるのって、おかしいと思わない?」

「思いません! 全く!」

「偽物なんだから、いっぱいいてもおかしくありませんとも!」

「えぇ~、けど~♪」


 いつの間にか彼女の手には、ナイフが握られていた。



「偽物だろうと、いっぱいいると邪魔なのよね~♪」



 刹那、辺りが殺気に包まれた。


「「お、お助けェェェえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」」


 ルークとレドルノフは情けない声をあげて、踵を返して逃げ出した。


「逃がすと思う~? 今日という今日は、生まれてきたことを後悔させるんだから~」

「「ラル! ミラ! 助けてくれェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」」



 この後二人の姿を見た者は、誰もいなかったという。

次は本編です。

……え? 正月特別編ですって?

マジ勘弁してくださいバイトと試験で死ぬほど忙しいんです。



これからも、にがトマトと『リグレットアーミーズ』を応援してください。

では、また次回ー。

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