人外たちが織り成すハロウィン~ハロウィン特別編~
どもども、にがトマトです。
ハロウィンですので、こゆことを書かせてもらいました。
遊びのようなものなので、四コマ風に読んでください。
……え?
特別編より本編書け?
読者の皆様、実はですね、I am スランプ。
本当はこれ、十月三十日に投稿するつもりだったのになぁ……
時間稼ぎですごめんなさい。
ルーク一家のハロウィン
てとてと、とそんな足音が聞こえる。
ルークはそれをスルーしながら、再び眠りにつく―――ことはできなかった。
バァァン!! と。
寝室のふすまが勢いよく開け放たれた。
《トリック・オア・トリート!!》
そんな少女の叫びとともに、寝ていたルークの腹に凄まじい衝撃が走った。
具体的に言うと、腹に重いなにかがのしかかってきたのである。
「ぐぼぁ!?」
衝撃で肺の酸素が強制的に吐き出されて、ルークは死にかける。
そのまま眠りにつこうとし。
《お菓子ちょーだい》
腹の上で暴れまわる幼女の拳に、意識を覚醒させられた。
幼女ことパンちゃんに非難の目、というか睨みつけながらルークは叫ぶ。
「て、てめぇ、ざけんな!! 人の眠りを妨げやがって!!」
パンちゃんは彼の叫びに頬を膨らませる。
今彼女は、三角帽子にローブという魔女のコスプレをしている状態だ。
《今はハロウィンっていうイベントやってる最中なんでしょ? お菓子もらえるんでしょ? だからちょ~だい》
「ふざけんなクソガキ。俺はな、アンリからもらえた久々の休日をエンジョイしてるんだ。邪魔するな」
《ダメ人間! クソニート!》
「誰がニートだ!?」
こいつは腐っても神だ。
その頭には叡智が詰まっている。
つまり何が言いたいかといいと、口喧嘩では勝てないということだ。
「チッ、わあったよ」
《わーい》
ルークは渋々起き上がり、手にあるものを手渡した。
「ほい、カロリーメート」
《いつもの朝食じゃない!?》
会話が一段ぶっ飛んでいる。
カロリーメートを朝食としている時点で、おかしいということに気づいただろうか。
《やぁだ! もうこれ飽きたぁ! チョコレートとかクッキーがいい!》
「やかましい。こっそり食ってたの、知ってるんだからな俺」
会話が完全に親子であるが、当の本人たちは気づかずスルー。
《それはそれ。これはこれ》
「仕方ねェな。その代りに、ちょっと口を開けてみ。あ~ん、て」
《なんで?》
「いいから」
パンちゃんは不思議そうに首を傾げながらも、『あ~ん』といいながら口を大きく開ける。
ルークは彼女の口の中を見て、頷いた。
「うん、虫歯発見」
《え!!!???》
驚愕に顔を歪ませるパンちゃんを無視して、ルークは彼女の首根っこを掴んだ。
ジタバタ暴れるが、無駄無駄ァ。
「やっぱり歯磨きをおろそかにしてやがったな、クソガキが。ほら、歯医者行くぞ、歯医者」
《待って待って、剣士さん!! 私は神様なのよ!? 虫歯程度で歯医者さんに行く必要なんて、どこにもナッシングなの!》
誰がどう見ても、パンちゃんは歯医者を怖がっているようにしか見えない。
そんな彼女に、ルークは聖人が如くの笑みを湛えてこう言った。
「問答無用だクソガキ」
《うわ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!》
ハロウィンの朝は、こうして始まった。
お菓子? 少なくともパンちゃんには与えられなかったとさ。
リース一家のハロウィン
リース・アフェイシャンはリビングで怯えていた。
ガタガタ震えていた。
それはもう、生まれたての小鹿が可愛く見えるくらいに震えていた。
そんな彼女を、ミラとラルは少し離れたところから見ている。
「ねぇミラ、リースあれはさすがに怯えすぎじゃない?」
「まぁ私もそう思うけど、怖いものは仕方ないよ」
人間最強一角にして、“神の領域”に至った達人である彼女を、ここまで怯えさせるものとは、一体なんなのか。
「買い物で見かけた仮装に、あそこまでビビるなんてね」
「私たちお金持ってなかったから、なにも買えずに戻ってきちゃったよ」
そう、リースは仮装のお化けにここまでビビっているのだ。
彼女だって、中身は人間の、子供であることはわかっている。
だがそれでも怖いのだ。
ハロウィンが今日だなんて知らなかったのだ。
そして、ゴーストキチンもここまでくれば病気である。
「う~ん、でもずっと怯えてもらってたら困るし、ラル、ちょっと励ましに行こう」
「うん」
良い子たちである。
不甲斐ない大人に呆れるのではなく、激励に行こうというのだから。
しかし。
「「うっ」」
その心は一瞬折られそうになった。
なにせリースの目は、濁っていたのだから。
恐怖で濁って、いつも澄んでいるはずの綺麗な瞳が、ちょっと形容しがたい色になっているのだから。
「リ、リース、大丈夫だよ。あんなの、ただの子供たちの遊びなんだからさ」
「そ、そうだよ。僕たちだっているんだから」
それでも諦めないのだから、本当にいい子たちである。
しかしリースはそれらを無視し、口を開く。
「ラル、ミラ、あんたたちは、仮装なんてしちゃダメよ? 私は、あんたたちを殺したくないからね」
「「ええぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!???」」
まさかの衝撃宣言であった。
思わず素っ頓狂な声をあげてしまったくらいには。
「私は、次仮装したやつを目にいれたら、そいつを殺す」
「ラル、リースを今すぐ縛りつけよう! こんなリースを外に出したら、大変なことになる!!」
「うん! たぶん、というか絶対に外に出ないだろうけど、念のために縛る!!」
だが、それは遅かった。
「トリック・オア・トリート! なーんてな、遊びにきたぞー!!」
フランケンシュタインの仮装をしたレドルノフが、リースの家に遊びにやってきたのだから。
「「あ……」」
ミラとラルの視界から、リースの姿は消えていた。
足運びの超高等技術『縮地』だ。
三人の意識の間隙を縫い、リースはレドルノフに肉薄していた。
「消えてなくなれ、悪霊退散!!」
「ぎゃァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」
その日初めて、ミラとラルは、リースの全力を見た。
アンリのハロウィン
アンリは、キツネ先生の家へとやってきていた。
「という訳なんですよ、先生」
「貴様ら、情けなくないのか? 『天使』に打ち勝ったくせに、物の怪に怖れる自分が」
「「いいえ、まったく」」
今日がハロウィンだということを理解していた二人は、彼女の小屋へと避難したのだ。
現在王城は、ハロウィンパーティーの真っ最中で、アンリは戦々恐々とし、逃げてきたという訳だ。
まぁ、王様がいないから臣下たちは血眼で彼のことを探しているので、パーティーは中止となっているのだが。
「ふむ、ケイトはどうしたのだ?」
「あいつなら、幽霊モードで世捨て人状態になってますよ」
ケイトは仮装した大臣を視界に入れた刹那、幽霊モードとなって世界全てから逃げ出したのだ。
まぁ、明日には戻ってくるだろうが。
「ふむ、それにしても、物の怪の仮装か。面白いの」
「どこがですか。俺からしたら、妖怪大行進で恐ろしいったらありゃしないっすよ」
くつくつと笑いながら、キツネ先生は立ち上がった。
そして、パチン、と指を鳴らす。
刹那、虚空より何かの服が現れた。
「……先生、なにしようとしてるんですか?」
「決まっておろう。仮装じゃよ。『へろいん』とやらを楽しもうとしてるだけじゃ」
「それ危ない薬です。そしてそういうのは、俺がいないところか、リュウの前でやってください」
かっかっか、と笑いながらキツネ先生は笑う。
「断る。主がいるからこそ面白いのだし、リュウの前でやっては、あいつを喜ばせるだけじゃからな」
「クソ、この人やっぱ意地が悪い!」
アンリは立ち上がり、脱兎の如く逃げ出そうとする。
しかしそれは、できなかった。
ドガン!! と。
足がもつれ、こけてしまったから。
「し、しまった!? 足が痺れちまってる!」
「阿呆め。こんなこともあろうかと、茶に足が痺れやすくなる薬を混ぜさせてもらった」
「何に使うか全くわからない、その薬!!」
なんでそんなの作ったこの存在ハロウィン!
ていうかあんた、仮装なんてする必要ないでしょうが!
「くっくっく、まぁ、時間はたっぷりあるしの。色んな仮装をして、貴様の反応を見るとしよう」
「い、いやァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
アンリは情けなく、生娘のような悲鳴をあげた。
では、本編で会いましょ~。
読んでくれてありがと~。




