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14.謝罪

微妙なタイトル?

えぇ、そうであろうとも、そうだとも!

だって思いつかなかったんだもの!


あ、自分今朝野口英世と福沢諭吉が一緒に踊っている夢を見ました。

もう、自分だめかもしれません。


どうぞ~。

「あの女ァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 リースに襲われた翌日、アンリは拠点で大絶叫した。

 彼はファミレスにて支払いを済ませて、拠点へと帰ってきたのである。

 彼は請求書の額を見たら、絶望したのである。

 あァ、絶望したね!

 だって。


 リースが食ったパフェ代まで請求されたもんな!


 あいつ、自分が食ったもんくらい自分で払えよ!

 食べたのお前だろうが!


「落ち着けよ、アンリ」


 親友のリュウが、そんなことを言ってきた。

 お・ち・つ・け☆ だと!?


「これが落ち着いていられるか! 俺は知らぬ間にパフェ奢らされてたんだぞ!?」

「いや、それ以外に怒ることがあるだろうが」

「ないね!」


 アンリの言葉に、リュウは目眩した。

 そのまま気絶するか殴るかを悩んだが、彼はもう一歩のところで踏みとどまった。

 大人である。


「それよりアンリ、こんなものが届いてたぞ」

「なんだ?」


 リュウから差し出された手紙を手に取る。


「どこからだ?」

「教会」

「あ!?」


 思わずアンリは声を荒げてしまった。

 だが当然のことであろう。

 手紙が届くということは、こちらはやっこさんに尻尾を掴まれてるも同然なのだから。


「用件は?」

「さぁ? 俺は中を見てないしな。まぁ、大体予想はついてるが」


 封を開けて、中を見る。

 中身は、こう書かれていた。


『ウチの暗殺者が粗相をしでかしちゃってごめんね~♪ お詫びしたいから、正午に博物館まで来てペロ~☆』


 手紙を破り捨てた。

 そして、アンリは万感の思いを込めてこう叫んだ。


「これ謝る気ねェだろォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


 本日二度目の絶叫だった。





 アンリはリュウを連れて博物館に来ていた。

 ケイトも来ているのだが、彼には隠れてもらっている。

 あいつは『教会』に警戒されているらしいし。


「アンリ、本当に『教会』のお偉いさんに会うのか?」

「あぁ、『教会』の連中ってのはちょい語弊があるんだ?」

「どういうことだ?」


 首を傾げるリュウに、アンリは神妙な顔で答える。


「俺が会いたいのは、リースなんだよ」

「ウェーズさんを、殺したやつか」

「そうだ。だが今思ったら、ちょいと妙なところがあってな」

「妙?」

「あぁ、あいつ、なんかやけに親切だったんだよな」


 リースは凄腕の暗殺者だ。

 そんな彼女が、ターゲットの命を助けるようなことをした。

 これは、おかしいとしか言いようがない。

 彼女がいくら腕がいいからと言って、そんなことをこれまでずっと続けてきたら、命がいくつあっても足りない。

 にも拘らず、アンリの命だけは助けようとした。

 なにか理由があるはずだ。

 それを知りたいのだ。


「はぁ、わかったよ。でも、どうやって話をするつもりだ?」

「まぁ、考えはある」

「上手くいきそうか、それ?」

「さあなぁ。それよりも、リュウ」

「なんだ?」

「今、何時?」

「午後三時を回ったところだな」

「はっはっは、大遅刻じゃねェか」


 アンリの額には、青筋が浮かんでいた。

 待ち合わせは正午だったのだ。

 それなのに、午後三時になっても姿すら見せない。

 しかも、呼びつけといてそれである。

 彼の中で怒りのボルテージはマックスになっていた。

 そこで、リュウ以外の声が聞こえてきた。


「いやぁ、久しぶりにきたが、やっぱり凄いな。見応えがある」

「まさしくその通りですな」

「…………」


 上機嫌な男と従者らしき男、そして不機嫌そうなリースがやってきた。

 あれが『教会』御一行様なのだろう。

 肩にまでかかる白髪の藍色の瞳の眼鏡をかけた上機嫌な男が、アンリたちの姿を認めた。

 そして、従者らしき男に目を向ける。


「いかん。遅れたかな?」

「そのようですな」


 えぇ、それはもう盛大に。

 三時間も遅刻するとか、てめぇら社会人以前に人としてどうよ。

 男は片手をあげて、フレンドリーに語りかけながら歩み寄ろうとしてくる。


「やぁやぁ、遅れて申し訳」

それ以上近づくな(・・・・・・・・)


 ぴたり、と男の足が止まった。

 アンリは不機嫌そうに、言葉を紡ぐ。


「それで? 面の皮の厚さでは天下一品の『教会』が、俺たちに一体なにを謝罪したいんだ? あァ、それ以上こっちくるなよ? 一歩近づくごとに、俺はお前への信頼ポイントは一下がるから」


 そもそも信頼ポイントはゼロなのだ。

 つまり、マイナスになるということになる。

 男は、仕方なしと言わんばかり肩をすくめた。


「やれやれ、嫌われちゃったみたいだな。初めまして、『教会』の教祖を務めている、ナルサス・レイクルードと申します」

「名前はどうでもいいよ。早く用件だけを言え」


 その言葉に、ナルサスは苦笑しながら手を振る。


「まぁまぁ、そう目くじらを立てずに。別に私たちは、君たちと争いに来た訳じゃあないんだよ」

「はっ、信じられるかよ」


 アンリはリースを見た。


「てめぇら、そこのリース・アフェイシャンを派遣して俺を殺そうとしただろうが。実際、死ぬ一歩手前だったんだ」


 ナルサスは、眼鏡を外し苦笑を崩さずに言った。


「今回、私たちが謝罪したいところは、そこなんですよ。彼女は『教会』への想いが強すぎて、勝手に(・・・)あなたの抹殺に乗り出した。ここは彼女の首でもなんでも差し出すところなのでしょうが、それは『教会』を思ってのこと。彼女の命を救いつつ、なんとか手打ちにしたいのです」

「あァ、いいぜ。手打ちにしよう。こちらの要求は一つだけだし」

「そうなんですか? いやぁ、よかった。よかった」


 アンリはにっこりと笑って、要求を突き付けた。



「リース・アフェイシャンの身柄を引き渡してもらおうか」



 ナルサスの表情が止まった。

 これは、我ながら良い案だと思う。

 身柄さえあれば尋問なりして、ウェーズのことを訊きだせるし、人格によっては仲間にしてもいいと思っている。

 参謀タイプがいないから、頭がキレるやつは一人でも多く欲しいのだ。


「まさか、要求を拒むのか? これ以上ない妥協案だぞ?」

「……理由を伺っても?」

「俺は、今回の件はそいつの身柄引き渡しで水に流す。そうすれば、手打ちと言う条件クリア。そして、身柄を引き渡すだけなんだからそいつの命は取られない」

「彼女が殺されない保証はないのですが」

「おいおい」


 アンリは声を荒げた。


「お前、自分が言ったこともう忘れたのか? 手打ちとリース・アフェイシャンの命を望む、だ。忘れたとは言わせねぇぞ?」


 それにナルサスは、笑った。



知ったことか(・・・・・・)



 パキン、と。

 ナルサスは握力だけで眼鏡を握り潰した。


「……なんだと?」


 アンリは、不機嫌そうな声を出した。

 しかし、ナルサスはそんなこともお構いなしに口を開く。


「下でに出てりゃァ、調子に乗りやがる!! いいか!? テメェみたいな汚らしいゴキブリにも劣るようなやつが何人死のうが何兆人死のうが、知ったことか!!」


 ナルサスは身を乗り出し、宣言するように言った。


「グダグダ抜かさず話を聞けェ!! 身の程知らずのクソガキども!!」


 それにアンリは、一度息を吐いた。

 ここで怒りださなかった自分を褒めてやりたかった。

 リュウも怒りに顔を歪ませながらも、なんとか耐えてくれてる。



 だが、耐えられなかった人間が一人いた。



「身の程知らずだと?」


 刹那、ケイトがアンリの後ろにいた。

 手には、黄金の槍『グングニル』がある。

 ケイトの出現に、ナルサスはまったく動揺しなかった。


「おぉ、君が『天使』様方の住居を破壊して回ったという、『修羅』ケイト・シャンブラーだね。噂は、かねがね。初めまして、ナルサス・レイクルードと言う」

「初めまして、レイクルード。そしてさようなら」


 ケイトはゆっくりと穂先をナルサスへと向けた。


「お前は俺たちを侮辱した。お前ここから生きて帰れると思うなよ、ぶち殺すぞ人間」


 気迫、いや、鬼迫というべきか。

『教会』の人間に、それが向けられた。

 しかし、ナルサスは笑みを絶やさない。

 余裕を崩さない。


「おぉ、おぉ、怖い怖い! そぉんな恐ろしいボディーガードに武器を向けられては落ち着いて話もできない! そっちがその気なら、こちらも拮抗状態を作る(・・・・・・・)としよう」


 パチン! と。

 ナルサスは指を鳴らした。

 そして。



オォォォォォォォォォ(・・・・・・・・・・)ォォォォォォォォォォ(・・・・・・・・・・)ォォォォォォォォォォ(・・・・・・・・・・)ドォォォォォォ(・・・・・・・)ォォォォォォォォォォ(・・・・・・・・・・)ォォォォォォル(・・・・・・・)!!!!!!」



 絶叫。

 声が木霊し、全員の人間の鼓膜を叩く。

 そして、アンリたちの向かい側の通路から、人影が現れた。

 黒のオールバックに漆黒の双眸、肌も褐色の鍛え抜かれた体躯の男。

 服装は、白のTシャツに黒のロングコートを羽織り、Gパンという組み合わせ。

 男は、ただ歩いてくるだけ。


 アンリたちは、理解した。


 こいつが、オードル・シリアなのだと。

『鬼』とまで称された、怪物なのだと。

 見ただけでわかる。

 こいつは、『人間(・・)じゃ絶対に勝てない(・・・・・・・・・)

 それに。


最高だァ(・・・・)


 ケイトは笑い、『グングニル』を突き出す。

 それにナルサスは目を見開き、叫ぶ。


「おい、アンリ・クリエイロウ! 今すぐ『修羅』を止めろ! オードルを出したのは、抑止力のつもりだったんだぞ!」

「あぁ、無理。こうなったら俺じゃ止められん」


 慌てる二人をケイトは無視して、たまらないとばかりに嗤い、オードルへと歩き出す。

 それにオードルは目を細め、ケイトへと歩き出す。


「あァ、イイねイイね最高だ! そうだ、これこれこれこれ、これだよ! 俺が『喰う』べきなのは、これなんだよ!! 蚊とスライムをプチプチ潰してレベルアップを待つなんざ気が遠くなっちまう!! さァ、やろうぜ。Hurry,hurry,hurry!!」


 対するオードルは拳と掌を打ち鳴らす。


「最近のガキは血気ばかり盛んで、礼儀がなってねェな。教養と拳をしこたまぶち込んでやるから掛かってこい」


 まさに一触即発。

『人間』には止められない。

 ただし。



 力づくでは。



 リースはオードルの服の袖を引っ張った。


「リース?」

「お願い、やめて」


 オードルは肩をすくめ、『練気』をやめて『気』を静めた。

 対して、ケイトは。


「ごがァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」


 絶叫していた。

 彼の関節は、あらぬ方向へと曲がりまくっていた。

 それをやったのは、アンリたちではない。

 そもそも、『人間』ではない。


《まったく、時と場所を弁えろ、馬鹿が》


 頭からつま先までローブで隠した者が、ケイトのすぐ隣にいた。

『戦神』オーディン。

 アンリは、ケイトが迷惑をかけそうになったら呼んでくれと彼から言われていたのだ。

 今迷惑をかけられそうになったので、この瞬間に呼んだのだ。


「なんとか、戦闘は回避できたようだ」

「あぁ、そうだな」


 二人は安堵の息を吐いた。

 彼らにとって、一触即発になりかけた人外(・・)は切り札だ。

 しかも、彼らはその切り札の底を知らない(・・・・・・・・・・)

 こんな場所で潰し合ってもらっては困るのだ。


「それで? 教祖様、一体どうするつもりだ?」

「ふむ、それならこちらの要求を言おう」

「謝罪はどこに行った?」

「はっ、貴様のようなボロ雑巾に誰が謝罪などするか!」

「てめぇ……」


 アンリの脅すような声は、やはりナルサスは無視した。


「貴様の組織、まるごと『教会』の傘下に入れ。貴様ら全員、『天使』様方のために使い潰されろ」


 理不尽な要求だった。


「はっ、話にならねェ。そんなの呑むと本気で思ってるのか?」

「呑まなければ、皆殺しだが? オードルは抑止力のつもりで出したが、貴様らが敵になるというのなら、迷わずこいつを投入するぞ?」

「どうぞ、ご勝手に。確かに『黒い鬼(オーガ・シュバルツ)』は怖いが、ぶつからなきゃいいだけの話だ。オードル以外を皆殺しにさえできりゃ、こっちの勝ちだ」


 アンリの言葉に、ナルサスは嘲笑を返した。


「できると思っているのか? はっきり言って、世界中どこを探しても、オードルに勝てる人間などいない。これは身内贔屓でもなんでもなく、単純な事実であり、要所に置けばいやおうなしにぶつかるだろう」

「なんなら試してみるか?」

「あァ、いいとも。『修羅』が戦闘不能な今、オードルに対抗できるものならな」



《それについては、俺がいるけどな》



 オーディンが、口を挟んできた。


《一応止めるためとはいえ、ケイトを使い物にしなくしたのは、俺だ。こいつの代わり位は、務めてやる》

「だとさ」

「はっ、いいだろう。ならば戦争だ」


 ナルサスは、両手を広げた。



「今ここで、開戦といこうじゃないか!!」



 博物館に、ナルサスの叫びが木霊した。

今回は結構早く投稿しましたが、次回はどうなるかわかりません。

まぁ、七日以内には投稿しますがね。

たぶん、きっと、maybe。


え?

ケイトのキャラぶれてないかって?

こんなもんですよ。

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