ありがとう~あなたと私の日々~
松本沙弥(16)高校2年生。物心ついたときにはもう隼人といっしょにいた。父も母も他界。
泉川隼人(16)高校2年生。物心ついたときにはもう沙弥といっしょにいた。父も母も他界。
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「隼人、来たよ。」
これが私の日課。学校が終わったらまっすぐに隼人の病室へとかけてゆく。
隼人とは物心ついたころから一緒にいた。家が隣通しの上に親通しが仲良くて0歳のころから一緒にいた。
私は父が物心がついたころにはもうすでにいなく、隼人の父は悠斗が4歳のころ病気で死んだ。
そしてお互いの母は私達が中学1年生のころに乗っていた飛行機が墜落して死んだ。
隼人は自分の母も死んだのにも関わらず泣いている私を慰めてくれた。
それから二人はずっと支えあって生きてきたのだった。こんな幸せがずっと続くと思っていた。
隼人が病気に・・・ガンになる前は。
肝臓ガンだった。
しかももう手遅れだった。
隼人は私に心配をかけまいと風邪だと思っていた症状を押さえ込んでいたのだ
「よう。沙弥。ごほっ・・・もう学校は終わったのか?」
隼人は笑顔で手を振ってくる。
私もあわてて手を振ってそばにあるパイプいすに腰掛ける。
私はいつも学校に行けない隼人のために学校であった話をたくさんした。
咲(友人)と浩太(友人)は付き合ってるだとか。
赤岩(友人)は今日美香ちゃん(友人)に告白してふられたとか。
酒井先生の授業は適当だったとか。
とにかくいろんな話をした。
途中まで笑顔だったのだが・・・
「ごほっ・・・ごほっごほっ!!」
隼人の咳がはげしくてどきっとした。嫌な予感がしたのだ。
「隼人!!大丈夫?」
「大・・・丈・・・ごほっごほっがはっ!!」
赤い・・・見たくはなかったもの・・・隼人は血を吐いたのだ。
「隼人!!待ってて!!今!ナースコールを!!」
ベットのそばにあるナースコールまであと数センチってところで
「やめろ!」
びくっとして手をひっこめてしまった。
「どうして・・・」
「俺の人生はもうない。もう・・・時間がないんだ。」
「どうして・・・そんなこと言うの?ねぇ・・・」
自然と涙があふれてくる。
隼人はそんな私の涙をそっとすくい
「俺の体だ。俺が一番よくわかってるさ・・・ごほっ・・・・」
隼人は私の手をそっとにぎって無理しながら笑顔を作った。
その姿が悪いけど痛々しくて涙があふれてくる
「俺がさ・・・いなくなってもさ。俺はお前の心のなかで行き続けんだよ?・・・だから泣くなよ」
「だって・・・だってぇ・・・隼人ぉ・・・」
「俺はな・・・お前に・・・沙弥に笑顔でいてほしいんだよ。だからさ。死ぬ前に見ときたいんだよ・・・お前の笑顔が・・・」
にかっと笑ってもう一方の手で私の涙でぬれている頬をなでる。
今も絶え間なくあふれる涙も気にせず私は精一杯微笑んだ
「やっぱり・・・笑ってるほうがかわいいよな。・・・沙弥は・・・」
「ありがと・・・」
握る力がぎゅっと強くなる。
「俺・・・本当に楽しかった。沙弥のおかげだよ・・・。ありがとう・・・」
さっきとは反対に握る力が弱くなっていく
「隼人!!おいてかないで!!ひとりぼっちは・・・嫌だよ・・・」
ぽろぽろと大粒の涙は絶え間なく流れ続ける。
「ありがとう・・・本当に・・・そ・・・し・・・・て・・・また・・・な・・・」
頬をなでていた手はふと落ち、握っていた手も力が抜けて
顔を見ると目は閉じていて顔も青白くなっていた。
「嘘・・・・嘘でしょ・・・ねえ隼人・・・おきてよ・・・ねえ・・・!!!」
さっきよりも大量に涙が流れてくる。
声にならない泣き声をあげながら死を拒絶するかのように首を横に振りながら隼人にすがりつく
『沙弥~!!』
もう名前を呼んではくれない・・・
『手~つなごうぜ!』
手もつないでくれない。
もう・・・何もしてはくれない。
その日から少女は笑顔でいた。決して少年の死が悲しくなかったわけではなく・・・
少年の・・・隼人の最後の願いだからである。
『俺はな・・・お前に・・・沙弥に笑顔でいてほしいんだよ。』
「隼人・・・見てる?私ずっと笑顔でいるよ?隼人が好きって言ってくれた笑顔で・・・だからこれからもずっと見守っててね。隼人との思い出は一生・・・忘れないから・・・」
「大好きだよ・・・隼人、今までありがとう・・・これからも見守ってね・・・!」
感動なんて書いたけど大丈夫かな?
感動できますかね?