幹部を呼べ その四
分かりづらい表現は、ちょいちょい直しますんでよろしくです。
空気、火気、水気、土気、の言葉にあるように、日本では古来より様々なものに【気】は宿っていると考えられた。
その【気】は精霊と考えられ、この精霊の集合体が、日本では力を持った神なのである。
これが古来の自然崇拝における八百万の神の存在であり、現代も細々とだがその存在は残っている。
この【気】を元に日本の八百万の神は、力を使い様々な事をしてきたのである。
ただ、大陸や遠方の国に伝わる神の持つ力は少し性格が違って、人智を超える神力は彼らが望めば源泉の様に滾々とわき出てくる。非常に楽な方法で力を使うことができるが、日本の神々の場合、力は自らの内にある【気】を消費するため使用勝手が悪いのだ。
簡単に言うと、日本の神様は力を使うと、めっさ疲れる・・・・
***
アマテラスの放った【気】を感じて夸蛾氏達は身構える。
「主様に従える我々に刃向かうつもりか?」
「そんなことしませんよ、つかれるもん。何でもいいから早くその天帝様とか言うのに会わせなさい。」
「駄目だ、駄目だ、さっきから同じことを言わせるな!!」
アマテラスは思った。
多分この二人に話しをしたところで絶対に会わせてはもらえないだろう。
だったら逆転の発想である。この二人に伝えてもらえばいいのではないか。
「じゃあ、伝えてほしいことがあるんだけど・・・・」
「我々に命じていのは天帝様だけだ!!どこの馬の骨とも知らぬ神に命令を受ける筋合いはない。」
「いいじゃん!!伝えてよ!!」
「ダメだ。」
「つーか、キモイしずーずうしいわ。あんた何様のつもり?」
何様のつもり?と聞かれても非常に返答に困る。
神様のつもり・・・・・だ。
「あんたみたいなブッサイク見てるだけで気分が悪くなるわ!!さっさと消えなさい!!」
ぶちり・・・・
切れた。
アマテラスは切れた。
だいぶ爆発寸前だったのを我慢していたが確実に切れた。
ほんとに切れた。手の施しようが無いほどに切れた。
「大体あんたみたいな・・・・きゃっ!!」
アマテラスはさっきからとんでもない暴言を吐いてくる少女の腕をガシリっと捕まえる。
「なっなにをっ!!!はっはなせえ!!」
捕まえられながらも悪態をついてくる少女にアマテラスは優しく語りかける。
微笑んではいるが、目は笑っていない。
「さっ、案内して?ねっ。」
「う、うるさい!!このブッ・・・・いたいたいいたい!!!!」
アマテラスは少女の言葉を皆まで言わせず、呆然としている少年の方に向き直る。
「案内してくれるよね?」
少年にはその時何か黒いものが見えた気がする。
自らの主のもとへ急ぐ夸蛾氏達。後ろにはアマテラスがついてきている。
背中に感じる存在に冷や汗をかきながら、ようやく主の部屋にたどり着く。
「主様。来客でございます。」
「入れ!!!」
夸蛾氏の言葉に重々しく答える主様と呼ばれる男。
「いいか?今回は特別だぞ?普段なら貴様の様な・・・・」
「能書きたれてないで、さっさと入れてよ・・・」
「・・・・・・」
ビシャリッ・・・と効果音がつきそうなくらいに言い放たれ夸蛾氏は黙りこんでしまった。
そんな夸蛾氏の様子にはお構いなしでアマテラスはドアの扉に手をかける。
「失礼します。」
そう言うと、アマテラスは扉を開けた。
部屋の中を見てみると、薄い布がかかっていて顔が良く見えないが部屋の床より一段高くなった所に誰か座っている。
貴方が幹部の方ですか?と聞こうとしたアマテラスはその言葉を言う前に、夸蛾氏の二人に後ろから押さえつけられて座らせられる。
「ちょっと何すんですか!!」
抗議するアマテラスに小さな声で夸蛾氏の少年は、答える。
「天帝様の前では皆が土下座をするのだ。だからお前もやれ!!」
「な、何で私がそんなことしなきゃいけないんですか!!!」
目の前に本人がいるので、アマテラスも夸蛾氏達にだけ聞こえるように聞く。
そうこうしていると、一段高くに座っている神が口を開く。
「夸蛾氏の二子よ・・・・」
「はい!!天帝様何でございましょう?」
「この無礼な小娘はなんだ?朕の部屋に入る際はいつも地面に頭をつけるように言えと、お前達に言っておいたはずだが?」
不機嫌そうな声で主と呼ばれる神は夸蛾氏達に問う。
「ももも申し訳ございません・・・彼女はまだここの礼儀すら知らない野蛮な神でございまして・・・・」
「ふんっ、まあいい・・・おい小娘、朕に何の用だ?」
「えっと、もう集会が始まるので早く来いと他の幹部の方が・・・・」
「ふんっ、そんなことか。・・・・勝手に集会でも何でも始めればよいのにのう?」
「はいそうでございますね。」
「天帝様素敵です~~」
同意を求めた声に夸蛾氏達はすぐさま答える。
「そうじゃろ、そうじゃろ、なんたって朕の言葉じゃからのう。」
「ちょっと、何言ってるか分かんないですが、何でもいいんではやく行ってください。」
「貴様!!主様に無礼であるぞ!!」
無礼と言うか・・・常識的に考えての発言だが、夸蛾氏達には気に入らないらしい。
天帝も不愉快そうに顔をゆがめる。
「小娘、あまりこの朕になめた口を聞くでないぞ?・・・」
アマテラスのしゃべり方でなめた口ならば、一体誰がなめた口ではないのだろうか・・・
あっ・・・夸蛾氏とか?・・・・
だがアマテラスはもう丁寧に言いなおすほど心にゆとりが無い。
先ほどの【気】の使いすぎか、はたまた、これまでずっと気を使いすぎたせいか・・・
どちらかは分からないがほんとにアマテラスとしてはイライラ度マックスである。
基本アマテラスは、悲しくて泣いたりはするが、怒ったりということは滅多にない。
そのアマテラスがこめかみに青筋を浮かべているというのは、アマテラスを知るものが見たらゆゆしき事態である。
「何でもいいから早く行ってください。」
「黙れ小娘!!朕は何者からも指図は受けぬ。」
「これは指図じゃなくて、お・願・い、なんですが・・・・」
「どっちでも同じじゃ、朕に願いなどと・・・身の程を知るがいい。」
全く言うことを聞く気配が無い。
かといってこういう態度をとる者に下手に出るのもなんか癪だ。
どうせ下手で出たところで、ただ相手をつけあがらせるにすぎないだろう。
だが、やってみもしないで決めつけるよりも、とりあえず、不本意ながら、嫌々、仕方なしに、やってみる。
「天帝様の様な、すごく偉くて、カッコよくて、頭良くて、素晴らしい神様がいなければ、集会など開く意味もございません。もしよろしければこの下らない集会にぜひお越しくださり、天帝様の力でこの集会を素晴らしいものにしてください。」
明らかに棒読みで大根もいいところだが、なんと天帝は喰いついてきた。
「ほほ~う、そこまで言うなら・・・・朕も考えないこともないぞ?」
すごく上から目線で気になるが、彼もこのビルに来ているということは全然集会に行く気が無いわけではないだろう。
もう少し押せば行くと言うかもしれない。
「そうです。天帝様が行けば皆さんも感激して、頭を下げまくるに違いありません。」
「はっはっは、そうじゃな朕が行けばそうなるに違いない。では早速行く準備でもしようかのう。」
その言葉を聞いてアマテラスは心の中でガッツポーズをする。
これで頼まれた仕事は終わりだ。
もうめんどくさいこともないし、後は集会で適当に相槌を打つだけでいい。
「お待ちください天帝様!!何やらこの者先ほどまでと明らかに態度が違います!!きっと何かよからぬことを考えているのです!!」
全て丸く収まりそうだったのに、夸蛾氏がぶち壊しにする発言をぶっ放した。
ほんとに空気が読めない奴らである。
アマテラスは内心で盛大に舌打ちをした。神としてはあんまりよろしくないことだが・・・
「何を言っておる?朕に会って態度を変えるのは当り前であろう?なぜなら朕は特別なのじゃから。」
ちょっと不安だったが、大丈夫だ・・・予想以上に頭が弱いらしい。
アマテラスは顔にぎこちない笑顔を張り付けて、そうですねー。なんて言いながらごまかして、まだ何か言おうとした夸蛾氏を天帝に気付かれぬように睨めば夸蛾氏は顔を青くして、たちまちに口を閉ざす。
アマテラスはとりあえずこれ以上の長居は不要と素早く挨拶をして返事も聞かず、すぐに天帝の部屋を逃げ出した。
天帝・・・・・
「天命」や「革命」などを人間界に下す神です。
中国の神話における世界の支配者らしいです。
中国の神話では天帝以外の神は、基本、天帝のしもべっていう考え方らしいですね。




