気を使わせる奴ら
異国の神様が出てきます。
ここは、とあるビル。
現代の人類の力を象徴するかのごとく、パリの町にそびえたっている。
そんなところにやってきた一人の神様がいらっしゃった。
出身地は、世界の端っこも端っこにある、島国。
「それにしても大きいなあ・・」
ビルを見上げて思わず、そう呟くアマテラス。
昔はもっと小さい家を建てて暮らしていたはずの人間達は、今ではとんでもないでかさの建物を作っている。
「あ、お待ちしておりました。こちらでございます。」
呆けているアマテラスを見つけた、人の良さそうな金髪青年は、そう声をかけるとアマテラスを、ビルへ案内する。
実はアマテラスはフランスに来てから案内役のこの青年に世話になりっぱなしである。
この青年は今回の集会の東地区地域の神の案内担当だと言っているが、たぶんほとんどの時間を自分に割いてくれているのだろうとアマテラスは思う。
なぜなら集会は以前から行われていたことらしく、初めて参加のアマテラス以外の神は、みんな一応自国以外の言葉も話せるらしいからだ。
「皆さんもだいぶ集まっていた所でございます。」
「はあ、あの集会って結局何をするんですか?いまいちよくわからないのですが・・」
事前にもらった説明書にも、あまり内容の事は触れられていなかったため、アマテラスはずっと気になっている。
「集会何て名前ですけど、結局は、たわいもない会話をしたり、何かを食べたりするだけの事ですよ、そんなに堅苦しいものではありませんから。」
「・・・そうなんですか。」
それを聞いてちょっとは安心する、アマテラス。
しばらく歩くと、1つの部屋の前についたアマテラス達。
「こちらになります。」
青年が扉を開けるとパーティー会場のような華やかな部屋で、すでに結構他の神も来ていてなかなかにぎやかになっていた。
アマテラスは、自分の指定された席について、集会が始まるのを待つことにした。
しばらくするとアマテラスに気付いた一人の女神が、アマテラスに話しかけてくる。
が・・・・・何を言っているのかわからない・・・・
「どこの出身か聞いていらっしゃるんですよ。」
半分絶望しかけた時に、そばにいた青年がアマテラスに救いの一言をかける。
「あ、あの、日本です。あ・・・ジャパン?・・・」
アマテラスの言ったことが相手にも伝わったようで、更に相手は話しかけてくる。
今度はアマテラスの分かる言葉で。
「あなた日本から来たんだ~、私は、ウェヌスよ、よろしくね。」
「よろしくお願いします・・・あの、日本語お上手ですね。びっくりしました。」
「まあねえ、昔行ったことあるしねー、でも日本から出席してたのって、確かタカミムスビ様じゃなかったかしら?」
「高皇産霊様をご存じなんですか?」
「一応、あの人幹部だからねぇ、・・・」
「あの・・・幹部ってなんですか?・・・」
幹部というなんか重要そうな、言葉を聞いてそれの代わりに来た自分は大丈夫なのだろうかと、アマテラスは思う。
・・・こんなことなら安請け合いしなきゃよかった・・・
「まあ、初めてだから知らなくて当然よね、ホントのとこ言うと私も参加し始めたの最近だし、あんまりよく知らないけど、・・・この集会の予定を決めたりする方たちの事よ。幹部なんて、重々しい名前してるけど実際は雑用係らしいのよね。前偶然会ったときに、タカミムスビ様が言ってたわ。」
「へえ、・・・・」
タカミムスビの性格を考えると、雑用係とかがチョー嫌いそうな感じだ。
きっとめんどくさいことを押し付けてきたに違いない。
アマテラスはそう思うとなんだか嫌な予感がした。
面倒事を押し付けられたのなら、自分が面倒な事態になる可能性が超高いということではないか。
冗談ではない!!人の面倒事までをも背負いこむほど私は献身的な神ではない!!
そう思ったアマテラスは、すぐに会場を出ようとするが案内役の青年に呼び止められてしまう。
「アマテラス様、一応あなたは幹部であるタカミムスビ様の代わりにいらっしゃったので、幹部達にお会いしていただきたいのですが。」
今回第一発目の面倒事である。
ウェヌスも「がんばって~」といった感じの表情を浮かべてくる。
アマテラスは大きな溜息を吐いた。
・・・・・・・・・・・・
案内役の青年についていくと、重々しい感じの扉の前に来る。
アマテラスとしてはできれば入りたくない。
「ではこちらに幹部達がおりますので、どうぞ、」
出来るだけ抵抗しているのだが、ぐいぐいと部屋の中に入れられてしまう。
中に入ると高価そうなイスに座っている者達の視線がアマテラスに集まる。
何をどうしたらいいのかわからないアマテラスは、青年に助けを求めて振り返るが、いると思っていた金髪の彼は部屋に入ってきていなかった。
つまり部屋にはアマテラスと集会の幹部達だけ。
嫌な汗が出てくる。
「君がアマテラス君かね。」
威厳たっぷりに聞いてくる一人の幹部にアマテラスはおっかなびっくり答える。
「・・は・・はい、えっと・・・」
言い淀んでいると、もう一人別の幹部も口を開く。
「それにしてもタカミンはこんな美人なコを代わりに連れてきて、一体どういうつもりだろうね。」
「・・・たかみん?・・・」
なんだかよくわからないが、幹部たちはアマテラスの分かる言葉で話せるし、タカミムスビの代わりにアマテラスが来ていることも知っているようだ。
「驚かせて悪かったね、儂はゼウスという神じゃ。今後もよろしく頼むぞ。」
「オレ、アッラー。よろぴク!!!」
「はあ」
何をよろしくするのかわからないが、一応返事はしておく。
後々のことを考えた時、こうした方がいい気がする。
「いきなりなんじゃが、ちと頼まれてはくれないか?」
「え・・・」
「あははは、ゼウス!!明らかにヤダって顔されてるよ。」
「むう、だがこれはもともとタカミンの仕事じゃったしのう。」
困ったような顔をするゼウス。
・・・というかあんたもか!!・・・
内心突っ込みを入れながら、外では愛想笑いをするアマテラス。
「一体何の仕事ですか?」
どうせ断れないなら、さっさと済ませばいいだけのことだ。
「ふむ、実はもう何人か幹部がいるんじゃが、なかなか来ぬのじゃよ、それで部屋までいってよんできてほしいのじゃが・・・・」
「え?そういうのって案内役の方がやるのでは?」
「そいつら気が難しくて一筋縄じゃいかんのよ、だからいっつもタカミンによんでもらってたんだけどさ、今日来ないっていうのオレ等今聞いたんだよね。
だから、君が代わりに行ってくんないかなと・・・」
「ちょ!!まってください。案内の方がダメなのは分からなくもないですがなんで貴方達じゃだめなんですか?同じ幹部でしょう?」
あまりにもおかしいので、口調もいつも通りに戻ってきてしまった。
「なんかタカミンが呼ぶとくんだよ、不思議だヨねえ?」
「じゃがあいつはさすがのタカミンも苦労してたっぽいの・・・」
「あー、あいつプライドばっか高いからね・・・」
幹部二人は内輪の話で盛り上がっているが、アマテラスには全然わからない。
あいつ?プライドが高い?
「まあ、そういうことじゃ。がんばっておくれ。」
「え・・・・・ちょ!!」
そう言うが早いが、幹部二人はパーティー会場にダッシュで行ってしまった。
去り際にアッラーが
「あいつらの部屋は外にいる男に聞けばわかるかラ~んじゃ!!」
とこっちを振り向かずに走りながら叫ぶように言ったのを聞いたアマテラスは、しばらくそこを動けなかった。
ウェヌスはビーナスともいうらしい。
というか、英語の言い方がビーナスらしい。
じゃあ、ウェヌスは何語?
ゼウスはギリシャ神話の主神らしいですね。
そんでアッラーはキリスト・ユダヤ・イスラーム教の唯一神です。
今回出てきた神様はこんな奴らですね。




