アパートに帰ったら空き巣がいた。
アパートに帰ったら空き巣がいた。
覆面もつけずに、カバンにいろいろな物を詰め込んでいた。
俺より二回りほど若そうなその空き巣は、俺の帰宅に心底驚いたような顔をしていた。
とりあえず、折角久々に帰ってきたので、家の中に入って、廊下を歩いて、空き巣のいる部屋に入って、頭に浮かんだままに暴力を振るった。
衝動に任せて髪の毛を掴み、顔面を殴り続けた。
「やめて、やめてください」という声が頭をすり抜けていって、買ったばかりのビニール傘で喉の辺りを重点的に突き続けたら、動かなくなった。
しばらくぼんやりしながら久々の我が家を見回していると、ここが我が家ではないことに気づいた。
おそらく、お隣さんか誰かの部屋だと思う。
あ!この人、空き巣じゃなくて、お隣さんか!
そう気づいた時には、もう遅かった。
やっちまったと思ったし、彼への申し訳なさで胸がいっぱいになった。
それもこれも、あのクソ上司のせいだ。
あんな量の仕事押し付けやがって!
こっちはしばらく寝れてねぇっていうのに、俺が気に食わねぇからって残業させようとしてきたんだ。そうに決まってる。
あいつに仕事を押し付けられなければ、俺はもっと頭が働いて、こんなことにはならなかったんだ。
あいつが俺に仕事を押し付ける限り、不幸の連鎖は止まらねぇんだ。
けどまぁ、どうにもなんねぇよな。
* * *
とりあえず、部屋の中にたくさんゴミ袋があったので、死体は頑張って切って、その中に入れた。
お隣さん、綺麗好きだったのかな?
硬すぎてあんまり細かく切れなかったけど、まぁ、ちゃんと収まったしいいか。
ゴミ捨て場に出そうとすると、大家さんに止められてしまった。
「ちょっと! そんなゴミ出されても困るよぉ」
「はあ、やっぱそうですかね」
「当たり前だよ! そんなの、ゴミ収集車の人が受け取ってくれるわけないじゃないか!」
大家さんの後ろで、女性が悲鳴を上げた。
ゴミ捨て場に捨てられないだなんて、困ったものである。
その後、説得に成功して、結局捨てることはできた。
けれども、腹が減ったのでお隣さんの部屋で食べるものを探していたら、警察が来てしまった。
マジか。
不法侵入って、こんな早く捕まんのか。
タダ飯食えなくて残念だったな。
あと、手錠ってドラマで見るのと比べて、あんまりスマートに嵌められないんだな。
意外なことが沢山起きた、そんな一日でした。




