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新人たれ~転生者はヒキニートを目指す~  作者: 笛伊豆
第一章 0歳児

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6.どれくらい時が過ぎたのか。

 そういう毎日が延々と続く。

 前世で読んだと思う小説(ラノベ)だと、この辺りの描写はすっとばして早くても3歳くらいから始まるんだよね。

 自分で経験してそれはそうかもと思った。

 だってあまりにも動きがない。

 事件もない。

 周囲では何か起こっているかもしれないけど認識出来ないから何もないのと同じだ。

 周りはおろか自分自身のことすらよく判らないから物語(ストーリー)の作りようがない。

 それに、僕は転生者で人格的には成人だから認識出来ているけど、普通に生まれてすぐの赤ん坊は(ハード)人格(ソフト)も未完成もいいところだろう。

 つまり周りで何が起きていようが何も判らない。

 だから記憶も残らず、やっと何とか自我が安定するのが3歳頃ということか。

 神童(ギフテッド)ならもっと早いだろうけど、そういう人達ってひょっとしたら僕と同じ転生者だったのかも。


 どれくらい時が過ぎたのか。

 気がついたら僕ははいはいしながら動けるというか移動出来るようになっていた。

 ベビーベッドとかいうものはなくて床の上に敷物と布団が敷かれていて、その上に寝かされていたのでそのまま床を這っていける。

 まだ目がよく見えないのでどこかに突き当たるまで直進し、それ以上進めなくなると右か左に曲がって進む。

 疲れて止まると誰かに抱き上げられて元の場所に戻される。

 そういう毎日を送る内に身体がしっかりしてきた。

 もうきちんと坐ることも出来るし這うんじゃなくて四つ足で歩ける。

 かなり早く移動できるようになったので嬉しくて全力で前進したら何かにぶち当たった。

 痛かった(泣)。

 大声で泣いてしまったのは不覚だ。

 これではイカンと思ったんだけど、どうも精神が幼児化している気がする。

 心は肉体に引きずられるって本当だったのか。

 それでも冷静になると大人としての思考は出来るので、完全に退行したわけではなさそうだ。


 そういう毎日が当たり前になって、何か暑いなとか涼しくなったなとか寒いぞとか思っているうちに、気がついたら二本足で立ち上がっていた。

 周りの人達が何か言っているけど、まだ内容は判らない。

 何というか「音」として聞こえてくるだけなんだよ。

 それでもイントネーションなどから。どうやら日本語らしいことは判る。

 助かった。

 英語とかならまだしも異世界だったら大変だった。

 というのは僕、明らかに日本語で思考しているんだよね。


 前世で読んだことを覚えているんだけど、言語というものは人間の思考の根本を成すものなのだそうだ。

 コンピュータのプログラム言語みたいなもので、例えば英語で書いたプログラムを変換(コンパイル)して機械語にして、コンピュータはその機械語の指示通りに動く。

 脳が考えるということはシナプスの発火によるものとされているけど、その制御はまず言語で記述されるらしい。


 だから日本人の脳は基本的に日本語でプログラムされているわけで、アメリカ人だったら多分英語だ。

 ネイティヴってその言語で思考出来る人のことらしい。

 例えば日本人が英語を勉強する場合、マスターというかネイティヴ並になると英語で夢を観るようになるとか。

 それって脳のOSオペレーティングシステムがその言語でプログラムされたってことだね。

 もちろん母国語でも思考するわけで、つまり場合によってOSオペレーティングシステムを入れ替えられるようになるという。

 それにしてもプログラム言語だとかOSオペレーティングシステムだとかが当たり前に出てくるって、僕の前世はやっぱりIT技術者だったのかもしれない。

 ネットワーク、という言葉にも愛着を感じる。

 クロスオーバーしていたのかも。

 まあいいけど。

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