第9話 おねだり
ノートにプロットを書くのはいい。
文字数が少ないからだ。
ノートにキャラ表を書くのはいい。
書きながらすぐに確認することができるからだ。
だが小説を書くならノートよりも携帯電話に直接入力して書いていくほうが早い。
もっといえば、パソコンのほうが圧倒的に早い。
「慣れかもしんないけど、携帯電話は入力しにくい。手で持っているから、画面が揺れちゃって酔うし」
明日香は自室でベッドに寝っ転がりながら、うーんと唸りながら悩んだ。
小説の内容には悩まないが、環境作りにかかる費用については悩む。
「ここはパパの財布頼みだ!」
わたしの両親は、まだ定年退職の年ではない。
まだまだ年収の高い世代なのだ。
「遠慮容赦なく頼ろう、うん。技術は……ちょっとだけ提供できるしな」
わたしは起き上がると両手を握って拳を作り、胸の前で振って気合を入れた。
夕ご飯は鍋だ。
わたしは週末の食卓で、両親相手にネット環境を手に入れるため、プレゼンをした。
「……ん、じゃネット環境にすれば、動画のサブスクをテレビで見られると?」
わたしのプレゼンに父が興味を示した。
「そーそー。ちゃんと受信できる機器もあるし、最近のテレビだと最初から受信できる機能が付いているのもあるよ」
「通信費が気になるわね」
母が懸念を口にする。
ふふふ。それに対する策も考えてあるのだよ。
「それは格安のプランが……スマホと自宅の回線費用とセットにすれば安くなるのがあるよ」
「んー、でもなぁ。そこそこ大きな出費だな?」
父がお金のことを考えて悩んでいる。
パソコンは必須でないが、そこは上手に隠して話を進めよう。
「自宅にインターネット回線を引いて、そこにスマホを繋げば、自宅でスマホ使うときも回線使用料をお得にできるよ。自宅用の使い放題のプランを適用できるから」
「「おお」」
両親が興味を示した。
でも詐欺に引っかかりやすいかもしれない、うちの両親。
何か対策がないか、ネットで調べてみようっと。
「パソコンの管理はわたしがするし。使い方も教えるからさぁ。ねぇ~、いいでしょ~?」
ここは上目遣いと小首傾げの可愛いお子さんアピールでもしとくか。
「あークネクネするな、明日香」
「そうよ、明日香。落ち着きなさい」
チッ。不発か。
じゃ、ここでもう一押し。
「確定申告とか、手続き関係もネットから簡単にできるよ。パソコンがあれば!」
無論、携帯電話からも出来る。
でもそんなこと両親は知らないし、わたしは携帯電話からやるよりもパソコンのほうが楽だ。
「そうかぁ。しょうがないなぁ~。明日香がそこまで言うならパソコンを買って、Wi-Fiも引くか」
「そうですねぇ。お店へ行って相談してみましょうか」
父が渋々といった様子で言う隣で、母も頬に右手を当てながら悩みつつも頷いた。
「やった!」
こうしてわたしはインターネットの出来る環境とパソコンを手に入れることに成功したのである。




