第44話 打ち合わせ
書籍化のお誘いのあった新作は、ランキング好調でよく読まれている。
せっかくなら1巻で綺麗に終了ではなく、続刊を考えてみませんか? と出版社さんから言われて、わたしはその気になった。
幸い、キャラクターはしっかり考えるほうだ。
ノートに書いている。
紙に書くのはいい。
すぐに見られる。
ファイルにしちゃうと、開いて本文書いて、開いて本文書いて、とチラチラ見ながら進めていくから大変だ。
プリンターを買ったので、デジタル文具で入力してキャラクター表をプリントアウトして、ノートに貼り付けるというワザも使える。
そこに書き込みをしていくから、キャラクターの作りこみはしっかりできている。
とはいえ、名前を考えるのは苦手だ。
異世界恋愛ファンタジーの名前って、太郎と花子ではいかんのか?
などと関係のないことを考えて気分転換しつつ書く。
仕事をしながらでも無理なく書けた。
そう。
無理なく書けた。
ここで過去形になっていくのである。
『二巻の書き直しの案を送りますねー。構成から変えちゃいましょう。あと一巻の校正は、終わり次第送りますので、確認のほう、お願いします』
「あ、はい」
『あとですねぇ~……』
携帯電話は便利だ。
どこでも簡単に打ち合わせできる。
今が夜で、わたしが風呂上りホコホコ状態でも打ち合わせは可能だ。
「こんな時間まで仕事とか大変ですね」
『ははは。仕事が趣味みたいなものですから』
担当さんは陽気である。
わたしはこの後、すぐ寝る予定なのだが、担当さんは何時に寝る予定なのだろうか?
ちょっと不思議に思いながら、わたしは電話を切った。
もう寝る。
明日は仕事だから寝る。
「ん~……」
わたしはデジタル文具をちょっとだけ見つめて、やっぱり予定通り寝ることにした。




